猫の気を引こうとする行動
猫は群れを作らずに、単独で縄張りを守って生活する動物です。それはたしかに事実ですが、全く社会性がないというわけではありません。社会性がなければ、人や他の動物たちと一緒に暮らすことはできません。ただ猫の社会性は、人間や犬の社会性とは異なっているため、なかなか理解しづらいだけなのです。
人と一緒に暮らしている猫にとって、一緒に暮らしている飼い主さんは自分の母親のような存在です。ただ世話をしてもらえれば良いという訳ではなく、猫も、ちゃんとスキンシップを図って信頼の絆を築きたいと願っているのです。
そのため、飼い主さんの関心が自分から離れていると、気を引きたいと願っていろいろなアピールをします。愛猫が飼い主さんの気を引こうとするための行動や、その行動への応え方について解説します。
1.飼い主さんに体をこすりつけて甘える
いつの間にか足元や机の上などに来て、そっと飼い主さんの体に自分の体をこすりつけて甘えてきます。
外出からの帰宅時などとは異なり、在宅していたものの、ずっと忙しくて愛猫にかまっていられなかったときに見せるこの行動は、愛猫からの「ちょっとはこっちにも関心を向けてよ!」というサインだと考えられます。
2.少し高めの甘えた声で鳴く
少し離れた場所から、いつもとはちょっと異なる少し高めの甘えたような声で鳴いている時も、自分に関心を寄せてほしいというサインかもしれません。
もし、愛猫にこのような行動が見られた時は、少しご自身の行動を振り返ってみてください。ちょっと長い時間放っておきすぎたのではありませんか。
3.わざと怒られるようなことをする
飼い主さんが嫌がるようなことをわざとすることがあります。実は、それも愛猫からの「もっとこっちを見て!」というサインの一つです。
愛猫はいつも飼い主さんの行動を観察しています。何をすれば褒めてくれるのか、そして何をすれば叱られるのかも熟知しています。
放っておかれた猫にとっては、叱られるのもまた飼い主さんからの楽しいコミュニケーションです。なぜって、叱っているときの飼い主さんは、自分のことを見て、考えてくれているのですから。
4.視線の先に割り込んでくる
本や新聞を読んでいると愛猫が本や新聞の上に座ってしまう、ノートパソコンで作業をしているとキーボードの上に乗ってしまう、テレビを見ているとディスプレイの前に腰を下ろしてしまう。そんな光景、よくありませんか。
これも、愛猫から飼い主さんへの「ねぇ、私のこと忘れてない?」というサインです。あまりにも自分を無視して他のことに熱中している飼い主さんの視線に割り込むことで、自分を思い出させようという作戦のようです。
気を引こうとする行動への応え方
猫は群れを作らずに、単独で縄張りを守って生活する動物です。だからといって、全く社会性がないわけではなく、猫なりの社会性を持っています。猫も、飼い主さんとコミュニケーションを図り、同じ縄張りを共有する仲間としての絆を築きたいと願っているのです。
飼い主さんには飼い主さんの生活があり、忙しい日もあるでしょう。また忙しい日が暫く続くといった時期もあるかもしれません。しかし、できるだけ時間を作り、愛猫と一緒に遊んだりスキンシップを図る時間を作りましょう。
それができない時には、せめて愛猫からの「こっちを見てよ!」サインに応えてあげましょう。たった5分、一緒に遊んだり優しく声をかけながら体を撫でてあげるだけでも良いです。
ただし、タイミングによってはそれどころではないという場合もあるでしょう。どうしてもすぐにはかまってあげられない時は、心を鬼にして無視してください。そして用事が一段落したら、しっかりコミュニケーションを図ってあげてください。
愛猫のサインがしつこくても、大声で怒鳴りつけたり大げさな反応をしてはいけません。愛猫は飼い主さんのその反応に対して「関心を向けてくれた!」と喜んでしまいます。
猫は一度そういう経験をしてしまうと、次からも構ってもらえるまでしつこくアピールをし続け、作業のじゃまをされることになってしまいます。無視すべき時には、心を鬼にして、しっかり無視し続けることが大切です。
まとめ
飼い主さんの気を引きたいときに猫が見せる行動として、よく知られている行動をご紹介しました。
しかし、猫が気を引きたいときに見せる行動が、これで全てというわけではありません。なぜなら、愛猫の行動というものは、飼い主さんとの交流の中で作られていくものだからです。
猫は、日ごろの飼い主さんとのやり取りの中で、猫なりにさまざまなことを学習していきます。こうすればどう反応するのかということを学びながら、自分が取るべき行動を決めていくのです。
飼い主さんがそのことをしっかりと理解した上で愛猫とのコミュニケーションを図れば、お互いに誤解すること無くスムーズに交流を図れるようになるはずです。ともあれ、まずは愛猫に寂しい思いをさせないようにしてあげてくださいね。