猫を撫でると目を閉じるのはナゼ?
愛猫が気持ちよさそうに喉をゴロゴロ鳴らしている時や、ご家族のお腹などを前足でふみふみしているとき、目を細めていることがありませんか。そういう時の愛猫は、安心しきっているように見えます。
愛猫を撫でている時にも、よく目を閉じてうっとりしたような表情をすることがあります。この時も見るからに気持ちよさそうなのですが、しばらく撫でていると急に怒り出すことも。本当に気持ちが良くて目を閉じていたのでしょうか。
今回は、撫でている時や撫でようとした時に目を閉じる猫の心理や、猫が心地よいと満足してくれる、満点といえる撫で方について考えてみたいと思います。
撫でると目を閉じるときの猫の心理
では、撫でると目を閉じる猫の心理とはいったいどのようなものなのでしょうか。
1.安心
目を閉じるという行為には、眠いだけではなく、眩しい光や異物から目を守るといった意味合いもあります。また、「愛情表現」「信頼」「安心」「リラックス」といった感情があらわれているともいわれています。
撫でられながら目を閉じている猫をよく見かけますが、この時の猫も、撫でている人を信頼し、安心している状態だと考えられています。
そもそも猫は警戒心が強く、信頼していない人には近づきませんし、触らせもしません。撫でさせてくれる事自体が、信頼されていることの証だといえます。しかも目を閉じて撫でられているのであれば、すっかり安心して身を任せてくれているのだと考えられます。
2.気持ちが良い
撫でられながら目を閉じている時に、どう見てもうっとりしているようにしか見えない表情をしている場合があります。ただし、どこを撫でても目を閉じてうっとりするというわけではありません。
個体差はありますが、猫には撫でられると気持ち良い部位と、そうでもない部位、そしてあまり触ってほしくない部位があります。一般的に、撫でられると気持ちよくなる部位は、あごの下、おでこ、耳の付け根、頬のあたりです。
これらは、自分のニオイが強くついている分泌物を出す臭腺がある部位です。猫は、臭腺から出る分泌物を擦り付けて、縄張りを主張します。実は、臭腺のある部位は常にむず痒いため、角張っているような場所をみつけると擦り付けたくなるのです。
そのため、臭腺のあるあたりは少し掻くようにすると、目を閉じてうっとりしたような表情を浮かべることが多いようです。
3.怖い
撫でようとして猫の頭の上から急に手を下ろすように近づけると、脅威に感じた猫は反射的に目をぎゅっと固く閉じることがあります。これは襲われると感じて反射的にとった、身を守るための反応です。
猫は優秀なハンターであると同時に、より強い捕食者から狙われる獲物でもあるため、ご家族の敵意のない行動でも、とっさに防衛的な反応を示すことがあるのです。
どんなに安心し信頼していても、ご家族が無意識に脅威的な行動を繰り返すと、愛猫は信頼しつつも常に警戒を怠れないという状況に置かれてしまいます。撫でる際には、手を顔の下の方から近づけて、あごの下から撫でていくようにする等の配慮をしましょう。
猫が心地よくなる満点の撫で方
愛猫に心地よくなってもらうための満点の撫で方で大切なポイントは「撫でる部位」「撫でるタイミング」「撫で方」「やめるタイミング」です。この4つのポイントについて解説します。
撫でる部位
猫には撫でられると気持ち良い部位とそうでもない部位、触られたくない部位があることを意識しましょう。個体差があるため、気持ち良い部位や嫌がる部位を断定はできません。
しかし、先にご紹介した顔周りを喜ぶ猫は多く、肉球やお腹、足、口や耳の中、しっぽ、陰部などを嫌がる猫も多いようです。普段の愛猫とのスキンシップから、愛猫が喜ぶ撫でポイントをみつけてあげましょう。
撫でるタイミング
これも個体差がありますが、愛猫が自ら近づいてきて頭などを擦り付けてきた時は、撫でてほしいタイミングでしょう。また、食事中やトイレの中にいる時、眠っている時は、触ってほしくないタイミングだと考えられます。
これも、愛猫の様子をよく観察し、愛猫の立場に立って考えてあげると良いでしょう。
撫で方
撫でる時は、手のひら全体を使い、毛並みに沿って撫でるようにしましょう。毛並みに逆らうと刺激が強すぎてストレスになることがあります。いきなり激しく撫でるのではなく、最初はゆっくりと優しく撫で、愛猫の様子を見ながら喜ぶ撫で方をみつけましょう。
撫でる部位によっても、撫で方を工夫してみましょう。例えば尻尾の付け根のあたりは、撫でるよりも軽くぽんぽんと叩くようにすると喜ぶ場合があります。あごの下などは、掻くようにすると喜ぶ子もいます。
やめるタイミング
猫は、気持ち良い刺激でも長時間続くと不快感に切り替わることがあります。そのため、「さっきまで気持ちよさそうだったのに、急に怒り出した」という経験をされたご家族も多いのではないでしょうか。
満点の撫で方の仕上げは、やめ時の見極めです。どんなに気持ちよさそうでも、撫で続けていると嫌がり始めます。それを察知し、嫌がり始めたらそっと解放してあげましょう。
下記のような様子が、やめ時の目安です。
- しっぽを激しく振り始める
- 耳を後ろに倒す
- 低い唸り声を出す
- その場から離れようとする
まとめ
愛猫とのコミュニケーションのとり方にはいろいろありますが、その中の一つが「撫でる」です。もともと警戒心の強い猫は、好きでもない人には近づきませんし、撫でさせてもくれません。撫でさせてくれる事自体が、猫からの愛情の証といえるでしょう。
ただし、どんな撫で方でも喜ぶわけではありません。大切なのは、撫でられている時の様子をよく観察し、愛猫が心地よくなる撫で方や嫌になったタイミングを把握することです。
猫に喜ばれる撫で方で、信頼の絆を築いていきたいものです。