「猫は個体と液体、両方になりうるか?」を証明した論文
- 「猫は個体と液体、両方になりうるか?」
- 2017年のイグノーベル物理学賞を受賞したテーマ
「猫は個体と液体、両方になりうるか?」という変わった研究テーマで2017年のイグ・ノーベル物理学賞を受賞したのは、フランスのファルダン氏。
「猫は個体」という一般常識を覆すようなこの論文に、世間の注目が集まりました。さて、猫が液体になる。という事は一体どのような事なのでしょうか?
なぜ猫が液体になりえるのか?その定義とは
- 液体の定義:体積は一定だが容器の形に合わせて変化するもの
- 猫:箱やガラス瓶など、様々な形状の物に合わせて入る事ができ変化する
- 「猫=液体」となる
そもそも液体の定義とは、「体積は一定だが容器の形に合わせて変化するもの」です。ファルダン氏によれば、猫は箱やガラス瓶、カゴ、ワイングラスなど、様々な形状の容器にピッタリと入り、その形を容器に合わせて自在に変えることから「猫=液体」と定義できる、との事。
確かに、狭い所が好きな猫は液体同様、容器がどんな形をしていようと、そこにピッタリと体の形を沿わせて、液体のように変形することができます。白猫であればまるでミルクのように、黒猫であればコーヒー、に見えなくもありません。茶白猫であれば「混ざりかけのコーヒー牛乳?」でしょうか。
論文の中では、様々な形に変形した猫の写真と共に、その変形具合や動きの様子が詳細に述べられ、猫が液体の定義に適っている事が証明されています。
猫が液体といえる落下の定義
例えば、液体を空中に放り投げると形を変えながら落ちていきますが、猫も同じように、丸くなったり伸びたりしながら落下していきます。
猫が液体といえる水の表面の親和性
他にも、猫と水の表面の親和性(猫が水面に触れてもあまり波立たない)や壁にくっついた猫の液体のような粘着性、床を液体さながらに、スムーズに移動する猫の様子などが、説明されています。とても説得力のある論文です。
原文はこちらから。P16,17,30に掲載されています。
イグ・ノーベル賞受賞論文の参考になった「猫は液体」に関する記事
猫が液体であると唱えたイグ・ノーベル賞受賞者のファルダン氏が書いた論文の元になったと言われるのが、boredpandaという情報サイトの「猫が液体である15の証拠」
猫が液体のように様々な形の容器に入る画像が多く掲載されており(「15の証拠」と言いつつ、13枚しか画像がありませんが)、猫が液体であることを証明しています。
ファルダン氏の論文に掲載された画像もあります。液体のようにありえない体勢ですっぽりと容器にハマる猫たち…一体ナニモノなのでしょうか?この記事を流動学的に説明したのが、ファルダン氏の論文という訳です。
猫が軟体動物っぽいのに気づいていた方は多いでしょうが、まさかまさかの“液体”だったとは…!もはや、ダーウィンもビックリの結論となりました。
猫と液体に関する論文が話題となったイグ・ノーベル賞とは?
イグ・ノーベル賞はAnnals of Improbable Reserchという雑誌が主催し、授賞式はハーバード大学の関係組織がスポンサーとなっている、ノーベル賞のパロディです。1991年から毎年、10部門の賞を授与しています。(10部門は毎年異なるようです。)
イグ・ノーベル賞のコンセプト
「最初に人々を笑わせ、それから考えさせる」というのが、イグ・ノーベル賞のコンセプト。イグ・ノーベル賞は誰でも参加が可能です。思わずプッと笑ってしまうけど、なるほど、と納得してしまう証明が出来る事柄があったら是非、挑戦してみてください!
まとめ
今回は「猫は個体と液体、両方になりうるか?」という事についてご紹介しました。
猫が液体と言われれば、頭ごなしに否定しずらいのは、確かです。持てばびろ〜んと長〜く伸びる体、狭い所はにゅるっと通り抜ける柔軟性、まるで水あめか何かの液体のよう…。
個人的には、猫の流動性には個体差があるように感じます。全体的に柔らかいのは確かですが、猫によってそこそこ柔らかい子、もうふにゃっふにゃの子、様々です。
この事は、我が家の猫たちが、証明してくれています。我が家には3匹の愛猫がいますが、2匹いるメスは平均的な流動性、もう1匹のオスは、かなり液体のように流動性が高いです。
それにしても「猫は液体なのか?」という説を見事に証明したファルダン氏には、賞賛の拍手を送るしかありません。このような興味深い研究が、これからも世に出てくることを、楽しみにしたいですね。