「猫」の語源や由来4つ!諸説や漢字の成り立ちを解説

「猫」の語源や由来4つ!諸説や漢字の成り立ちを解説

猫がどのように日本にやってきて人々に溶け込んでいったのかは、文献や芸術作品、遺跡などから少しずつ分かってきており、書籍やテレビなどでも紹介されています。しかし、なぜ「ねこ」と呼ばれるようになり、「猫」という漢字になったのかについては、諸説あるものの詳細は分かっていません。今回は、「猫」の語源や由来、漢字の成り立ちなどをご紹介します。

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ネコの日本史

浮世絵の中の猫

ネコは紀元前2世紀頃(弥生時代)には既に日本におり、7世紀の初めには人々の作業場に自由に出入りしていたことが、分かっています。また奈良時代の後期には、仏教の経典と共に中国からやってきたネコ達が唐猫と珍重され、上流階級のペットとして飼われていました。

このようなネコに関する日本史はすでにいろいろなメディアで紹介されてきていますので、ネコ好きな方達にはよく知られています。

では、ネコが「ねこ」と呼ばれるようになった語源や由来、「猫」という漢字の成り立ちなどについてはどうでしょうか。実は諸説あるものの、詳細は分かっていません。

そこで今回は、「猫」の語源や由来、漢字の成り立ちに関する代表的な説をいくつかご紹介したいと思います。

なぜ「ねこ」と言うの?

鼠を狙う猫

1.「ねこま」が略されて定着した

平安時代の延喜末頃(918頃)に編集された漢和薬名辞書の「本草和名」や承平年間(931-938)に編集された漢和辞書「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」の中に、「禰古萬(ねこま)」という言葉が載っていて、ネコのことを指しているといわれています。

他にも、漢字表記には「鼠小待」「鼠神」「寝熊」「鼠熊」「寝駒」など諸説あり、いずれにしても「ねこま」と呼ばれていたものの、やがて「ま」が省略されて「ねこ」になったという説です。

ただし、本草和名や和名類聚抄よりも古い文献である「新訳華厳経音義私記」(奈良時代末(794)頃成立)や「日本霊異記」(823年頃成立)、「新撰字鏡」(892年頃成立)などに、既に「ねこ(尼古)(禰己)(袮古)」の記載があるため、「ねこま」が語源という説には反対意見も多いようです。

2.よく寝る動物だから

肉食動物であるネコは体力を温存するため非常によく眠り、1日の内の約16時間程を睡眠時間に充てます。そのため、「寝子」や「睡獣(ねむりけもの)」「寝好」などから「ねこ」と呼ばれるようになったという説です。

3.ネズミ好きだから

江戸時代の書物の中には、『「鼠を好む」から「ねこ」に変化した』と記されているものがあるといわれています。

4.鳴き声から

現代人の私達がネコのことを「にゃんこ」と呼ぶように、鳴き声から「ねこ」と呼ぶようになったという説があります。

私達が使っている「にゃーにゃー」という表現は、江戸時代に生まれたようです。それ以前は「ねうねう」と表記されていました。平安時代は「ねんねん」と発音したようですが、鎌倉時代以降は表記と同じく「ねうねう」と発音されるようになったようです。

この「ねうねう」の「ね」に小さい者を意味する「こ」を付けて「ねこ」と呼んだという説です。

ちなみに犬の鳴き声は、平安時代が「ひよ」、室町時代が「びよ」「びょう」で、江戸時代から「わん」となったようです。今でも、狂言では犬の鳴き声を「びょうびょう」と表現します。

「猫」という漢字の成り立ち

田んぼを守る猫

昔は「狸」がネコだった

中国では、ネコを「猫」と「狸」の2つの漢字で表し、飼い猫を「猫」、野生の猫を「狸」として使い分けているようです。ちなみにタヌキは、「狢(らく)」とか「狸」という漢字で表すそうです。

日本でも、平安時代まではネコを「狸」で表していたといわれています。日本霊異記に書かれているネコの説話も、「狸」と表記されているものを指しています。また、本草和名では、「家狸、一名猫、和名禰古萬」と書かれています。

ネコは、平安時代は貴族に、室町時代頃から庶民にも飼われるようになっていきました。日本での漢字表記が「猫」だけになったのも、飼い猫の普及に関係しているのかもしれません。

「猫」という文字の構成

「猫」という漢字は、けものへんに苗という2つの漢字でできています。「苗」をさらに分解すると、くさかんむりと「田」という文字になります。

けものへんは、耳を立てた犬を象形化したもので獣という意味を表し、狩猟を行う動物によく使われます。くさかんむりは、並んで生えている草を象形化したもので、「田」の字は区画された耕地を象形化したものです。

「猫」の成り立ち

「猫」という漢字の成り立ちにも諸説あります。主なものを下記にご紹介しましょう。

漢字の構成からの解釈
区画された耕地に生える作物を荒らすネズミを捕まえてくれる獣という意味から、けものへん、くさかんむり、田を組み合わせて「猫」となったという説です。
ネコの様子が苗と似ているから
ネコの体はしなやかでとても細いため、その姿や身のこなしが苗に似ていることからけものへんと苗を組み合わせて「猫」となったという説です。
鳴き声から
苗という漢字は、ビョウとかミョウと読みます。この読み方がネコの鳴き声に似ているからけものへんと苗を組み合わせて「猫」となったという説です。ちなみに、中国語で猫の鳴き声を表す漢字は口偏に苗の組み合わせで、ミャオと読むそうです。

まとめ

神社の鳥居と

日本では、ネコと共に日本にやってきたと思われる「猫」と「狸」という漢字、そして古来から日本で使われていた「ねこま(表記は禰古萬など)・ねこ(表記は禰己など)」という4つの言葉が、ネコを表していたようです。その詳細な使い分け、現在の言葉の使われ方が定着した経緯などは不明です。

しかし諸説を総合的に考えると、『日本では昔からネコのことを「ねこ」とか「ねこま」と呼んでおり、当て字でさまざまに表記されていた。やがて仏教と共に中国からネコが「狸・猫」という漢字と共に日本にやってきて、上流階級やがて庶民の間に飼われていく。その過程で飼い猫を表す「猫」が漢字表記として定着した。』という仮説が成り立ちそうです。

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