【獣医師執筆】高齢猫や病院嫌いの猫も安心♪今話題の『往診専門動物病院』とは?

【獣医師執筆】高齢猫や病院嫌いの猫も安心♪今話題の『往診専門動物病院』とは?

猫を飼っていると、ワクチン接種や体調不良の時に動物病院へ連れていく機会があると思います。いざ、動物病院に連れていくとき、猫の様子はどうでしたか? 慣れない移動用バッグに入ってくれずに逃げ回り、移動中は鳴き続け、動物病院の待合室では緊張のあまり固まってしまい、診察中は怖さのあまりパニックになってしまった…。 こんな経験のせいで、その後動物病院に連れていくことをためらうようになってしまった方もいるかと思います。 そんな飼い主さんにとっては朗報(?)です! 最近、動物病院が苦手な猫が安心できるように、自宅で診療をしてくれる往診専門の動物病院が話題になっているのをご存じでしょうか。今回は、その「往診専門動物病院」について解説いたします。

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往診専門動物病院とは

ペット往診車

「往診」とは、ヒト医療で行っているような、通院できない患者様の要請を受けておこなう「訪問診療」や「往診」という医療サービスと同様に、何らかの原因で通院できないペットを獣医師がご自宅にお伺いして行う診療のことです。

以前から「往診」を行っている動物病院はありましたが、今まで治療を続けてきた一部の猫の通院が困難になった場合に特別に往診で対応するというものでした。また、往診を行うとしても、通常は通院してくる猫たちの治療をしているため、診療のないお昼の時間だけに限られたサービスでした。

しかし、最近は動物病院が特別な事情で行う往診ではなく、往診そのものを専門とする動物病院が増えてきました。

違いはやはり「往診専門」というところです。往診専門の動物病院のため、今までの動物病院のように通院用の決まった施設があるわけではありません。必要な医療機器を持参し、ご自宅で治療をすることを専門にした動物病院なのです。

往診のメリット

キャリーで車から運ばれる猫

では、「往診専門動物病院」を選択することでどんなメリットが生じるのか、いくつかご紹介します。

1.通院や動物病院で猫が受けるストレスの軽減

猫はそもそも家から出ることがストレスになりやすい動物です。

生まれてからほとんどの時間を家の中で生活している猫にとって、外出はとてもストレスになります。ましてや見知らぬヒトや犬の鳴き声がする動物病院の待合室は、猫にとってはとても怖い場所です。また、私も経験がありますが、診察室でパニックになって逃げだそうとする猫や逆に怒って触れなくなってしまう猫もいます。

その点、慣れ親しんだ自宅で診察ができる往診では、猫が病院の待合室や診察で感じるストレスを最小限に抑えられます。

実際、この理由で往診を依頼される飼い主さんは多くいます。そして診察・治療後に「動物病院の通院では困難だった治療が、自宅で受けられたおかげでとてもスムーズだった」と喜んで頂いています。

このように、完全室内飼いの猫にとって、往診はとても合ったサービスだと実感することが少なくありません。

2.通院による猫の体力の消耗の軽減

先ほど、「通院が猫のストレスになる」とお伝えしましたが、それ以上に寝たきりの猫や、慢性疾患やガンの末期、ターミナルケアが必要な猫にとっては、通院による体力の消耗が心配になります。特にこのような状態の場合、治療を行うために通院回数が多くなってしまうこともあり、飼い主さんのなかには治療に対して前向きに捉えられず、悩んでしまう方も多いようです。

その点、往診だと通院による余計な体力の消耗の心配がなく、必要な治療を必要なタイミングで受けることができる点は大きなメリットになると思います。

3.飼い主さんの通院の手間の軽減

動物病院への通院は、往復時間や順番待ちの時間、診察にかかる時間などをトータルすると、2〜3時間はかかってしまうこともあります。そうなると、家事や仕事が忙しい方は動物病院が空いている間に、まとまった時間を取ること自体難しいことも多いと思います。

その点往診は、予約した時間に獣医師が自宅へお伺いするので、診察を受けるまでの時間のロスがありません。自宅でいつもの家事や仕事をしながら待っていることが出来るので、忙しい飼い主さまにはうれしいサービスになります。

4.ひとつひとつ丁寧な診療が受けられる

動物病院は常に混雑しているところが多く、1つ1つの診察がどうしても流れ作業のようになってしまい、1匹の猫を十分に診る時間がとれないのが現状です。

しかし往診の場合は、予約制で1件あたり1時間程度の時間をとっているので、自宅で飼い主さんとゆっくりコミュニケーションを取りながら診療することができます。

また、猫を治療する上で、飼育状況や住環境の整備は、大切な要因になることがありますので、実際に自宅を拝見しながら適切なアドバイスを行うこともできます。

「今までの動物病院で、ここまで先生に話を聞いてもらえたことはなかった」「治療以外にも、猫にとって安心して暮らせる環境の相談ができてうれしい」など、往診を経験された飼い主の皆様からの嬉しい声も多くいただいています。

往診で出来ること、出来ないこと

キャリーで車から運ばれる猫

「往診だと大したことはできない」と思っている方も多いかもしれませんが、実はそんなことありません。

最近では検査機器もポータブルのものがあるため、血液検査やエコー検査は十分行うことができますし、動物病院で行っている診療内容の多くは往診でも可能です。特に内科治療は診断から治療まで往診を行っているなかで、あまり困ったことはありません。

ただ、往診で出来ないことがあるのも確かです。

麻酔を使った手術、入院が必要な治療、そして、緊急性の高い症状への対応は、ご自宅まで移動が必要な往診では手遅れになってしまうことがあります。そのため「どんな治療が必要か」「どんな症状なのか」など、猫の様子によって動物病院に通院するか、往診を依頼して自宅に来てもらうか決めてもらえればと思います。

また、往診専門動物病院でも「できること」「できないこと」は異なります。まず、往診を依頼する際に、どのような治療を希望しているかを相談していただくと良いでしょう。

往診を利用するにはどうすれば良いか

スマホで検索する男性と猫

実際に往診を利用したい場合、まずはインターネットを利用してご自宅に来てくれる往診専門動物病院があるかを検索してみましょう。

東京都、神奈川県では、アニホック往診専門動物病院の他にも、10件前後の往診動物病院があります。私たちアニホック往診専門動物病院は、東京23区と23区に隣接した地域が往診対象エリアになりますので、その地域の方はお電話か予約フォームから予約をお受けすることができます。

また、それぞれ行っている治療内容や診療費も異なります。往診の場合、「通常費用」のほかに「往診費用」がかかることが一般的です。また、獣医療は「自由診療」のため、動物病院によって料金が異なります。安い方が良いというわけでもないので、まずはお電話かメールでお問合せして頂くと良いと思います。

まとめ

子犬と子猫が嬉しそうに寝ている写真

動物の医療も高度化し、猫の平均寿命も延びてきています。その為、様々な状態に適切な獣医療を受けられる「選択肢」が必要になっています。

その選択肢の1つに「往診」がなれるように、私たちも努力し続けたいと思います。

執筆者プロフィール

株式会社TYL 取締役 アニホックグループ 総獣医師長 藤野洋氏近影

株式会社TYL 取締役
アニホックグループ 総獣医師長(https://anihoc.com/
藤野 洋(ふじの ひろし)

日本大学生物資源科学部(旧 農獣医学部) 獣医学科卒業後、獣医師としてペットの総合商社に入社。主に獣医師として小動物臨床に従事しながら、ペット用品及び生体販売、フランチャイズ展開の知見を深める。

2007年3月に株式会社フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

2017年3月に株式会社フジフィールドをファンドに株式譲渡。動物病院のグループ化とIPOの土台を築くために、譲渡先であるファンド出資の会社にて代表取締役としてM&A推進と既存グループ動物病院及び店舗の運営全般を行う。

2021年2月TYLに取締役として参画。

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