1.「すべての猫」に帰巣本能があるわけではない
猫の帰巣本能についての研究はあまり進んでいないようですが、過去に研究が全くされていないわけではありません。
過去には「猫を自宅から離れた場所に連れて行き、その場所から放ってみて家に帰ることが出来るかどうか」という実験がされたこともあります。その実験結果によると「子猫を出産したばかりの母猫が子猫のもとに戻ろうとする」本能はあるように感じます。
また実験をする中で家に戻ることが出来なかった猫などもいるようです。これは若い猫に多かったのだそうです。
現実に「すべての猫」に帰巣本能があるとするならば、迷子になったままの猫がいることに疑問を抱いている方もおられますし、こういう話を聞いたりすると「すべての猫」に帰巣本能があるとは言えない可能性もありますね。
2.猫は何らかの形で自宅の方角を知ることが出来る
猫には太陽の位置から家の方角を知ることが出来る能力があるのではないかと考えた方が空の全く見えない屋根付きの迷路を作り、町からたくさんの飼い猫を借りて家から離れた場所で自宅の方向を割り出せるかの実験を行ったそうです。
こちらの実験で使用されたのは放射線状に24ヵ所の出口のある迷路だったのですが、実験に参加した多くの猫が自宅の方角である出口にたどり着くという結果が出ています。
この実験で猫たちは箱に入れられ、外を見ることが出来ない状態で実験場所に連れて来られていたのですが、「曲がり角から頭の中で補正して自宅の方向を特定出来る猫がいたのではないか」という指摘もあったそうで、後日猫を眠らせた状態で迷路の場所まで連れて来て再度の実験が行われました。
以前とは違い、眠っていて曲がり角などを認識出来る状態ではなかったはずの猫たちですが、実験の結果はやはり同じように自宅の方向の出口を選んだ猫が多数だったそうです。
この結果から猫には「磁場を感知する能力があるのではないか」と考える人も出て来たそうです。実際に猫が何を察知していたのかまでは解明出来ていませんが、自宅の方向を知ることの出来る何らかの能力が備わっている可能性は高そうですね。
3.「帰巣本能」では説明のつかない事例もある
猫に対する「帰巣本能の実験」は「自宅に帰ることが出来るか」というものがほとんどですが、それだけでは説明のつかない事例もあります。
それは猫が自宅を出ている間に飼い主さんが引っ越してしまった事例です。
一例として、新しい環境を猫が嫌うことを懸念した飼い主さんが知人に愛猫を託した後に引っ越しをしたのですが、数日後に知人宅から行方不明になった猫が、絶対に知り得ないはずの飼い主さんの新居にたどり着いた…というケースもあるそうです。
中には数千キロもの距離を何年もかけてたどり着いたという事例もありますが、こちらは飼い主さんの新居であるため「帰巣本能」には当てはまりませんし、ならばどうして飼い主さんの新居に現れることが出来たのかの説明も出来ません。
確かに飼い主さんと住んでいる自宅に帰ることが出来るという話なら「帰巣本能」の説もあるのかも知れませんが、愛猫が一度も暮らしたことのない引っ越し先に行くことが出来たのはどうしてなのか不思議に思ってしまいますよね。
まとめ
旅先で迷子になってしまった愛猫が自力で帰宅したという話に「柄の似た別の猫なのではないか」という意見が出たこともあったそうですが、マイクロチップから行方不明になってしまった飼い猫自身であると証明されている事例もあるようですね。
こういった話を聞くと「猫には帰巣本能がある」という話も頷きたくなりますが、そうすると逆に迷い猫が一定数存在することに疑問を抱いてしまいますよね。
そのため「すべての猫」に帰巣本能があるわけではない、という説が濃厚なのではと思います。もちろん人間と同じように「帰りたいけど方向音痴で家の場所が分からない」猫や「縄張りのボスに追い立てられるうちに家から離れてしまい帰れない」猫もいるのではと思いますが。
何にしても家から出てしまった愛猫に「帰巣本能」があるにしてもないにしても、飼い猫が外の世界を歩くのはとても危険です。日頃から愛猫の脱走防止対策は万全にしておくように心がけることが大切ですね。