猫の『被毛』には役割がある!その種類や機能など5つ

猫の『被毛』には役割がある!その種類や機能など5つ

猫には全身に毛が生えています。砂漠出身の生き物だというのに、なぜこんなにびっちり生えているのか不思議だと思いませんか?その理由は、猫の毛には生きるための工夫がちりばめられているから。ここでは、その秘密を5つご紹介します。

1.オーバーコートとアンダーコート

森を背にする長毛猫

猫の毛は基本的に二重構造です。

表面を覆う長くて太い毛は「オーバーコート」、肌近くに密集する短くて柔らかい毛が「アンダーコート」と呼ばれ、両方で衣類と同じ役目をします。

オーバーコートは文字通り「上着」です。

見た目(模様)を決め、直射日光や雨風を太い丈夫な毛でさえぎって体へのダメージを減らします。

そしてアンダーコートは「下着」です。

柔らかい毛に空気をたっぷり含ませ断熱層を作り、暑さ寒さから身を守ります。

二重構造の例外猫たち

寒い地方にいる猫は、毛を長くし、毛の密度を上げて寒さに耐えました。

その代表がノルウェージャンフォレストキャットですが、サイベリアンは毛を三重(トリプルコート)にして厳しい寒さに対抗しました。

またシングルコートに分類されるメインクーンは、アンダーコートを長くして断熱効果UPを図っています。

逆に赤道直下の暑くて湿度の高い地方では毛を短くし、保温性の高いアンダーコートをほぼなくして、体温の上昇を防ぎました。

シンガプーラやシャムがその代表で、彼らは体に張り付くような薄い被毛を持っています。

2.ひげ

猫のひげ

被毛の一部が変化して長くて太い毛になったのが「ヒゲ」です。

「感覚毛」と呼ばれるヒゲはいわばセンサーで、闇夜の草むらを通るときや相手への距離を図るときなどに使います。

ヒゲの根元には神経が集中し、わずかな振動でも感知できるようになっています。

3.耳毛と房毛

猫の左耳

耳の前面にある毛が「耳毛(タフト)」、耳の先にあるのが「房毛(リンクスティップ=オオヤマネコの耳毛)」です。

目立つ目立たないはありますが、これはどの猫でも持っています。

耳毛は耳の穴を保護するまつげ的存在、房毛は音や振動をより繊細に感じるセンサーだといわれています。

個体差はありますが、特別長い耳毛を持つのがサイベリアン、長い房毛で有名なのは、オオヤマネコによく似たメインクーンです。

4.肉球周りの毛

猫の肉球と毛

一般的に「タフト」とは、毛や糸を束ねたもののことをいいます。

猫の場合は、長毛種の肉球の間に生えてくる長い毛のことを指します。

肉球タフトの役目はストッパーです。

保温の意味もあるかもしれませんが、雪原を歩くときに毛があると滑り止めになるのです。

本来なら傷みが激しくどんどん短くなるはずですが、家庭内では減らないのでカットする必要があります。

5.タテガミ

横たわるペルシャの白

猫にも、ライオンのタテガミに相当するものがあります。

オス猫の顔が大きく横に張り出しているのがそれで、少したるんだ皮膚に毛が密集し、喧嘩のときには危険な首筋と喉を守る楯となります。

またこの楯が大きいほど守りの強さを示すので、相手をひるませる武器にもなります。

しかし去勢手術をした猫はこのオスの特徴があらわれにくく、あまり目立たなくなります。

まとめ

猫のひげ

猫にとって「毛」は衣類であり、プロテクターであり、センサーでもあります。

それは野生の生き物として生きていくために、長い年月をかけて猫が獲得した宝物。

人と同居する上では、抜け毛やアレルギーなど問題点もいくつかありますが、愛猫の宝物ではありますので、上手に付き合っていきたいですね。

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