猫ってどんな動物なんだろう?
東日本大震災以降、ペット同伴の避難所が増えてきていますが、ペットと一緒に過ごせる避難所はまだ少ないのが現状です。
2020年9月の台風10号で開設されたペット同伴可能な避難所でも、ペット連れではない避難者からの苦情が寄せられ、多くの課題が残されていると報道されています。
それでも2021年豪雨の際に、福岡県久留米市にテント型のパーテーション内でペットと一緒に過ごせるような避難所が開設されるなど、少しずつ変わってきています。
一方、自分自身の身に置き換えて考えると、不安になる猫の飼い主さんも多いのではないでしょうか。
猫は知らない人や動物に馴染めず、過剰なストレスを溜め込んでしまうからです。
愛猫のためにも、私達飼い主はもっと猫のことをよく知り、日頃からトレーニングも含めて色々な準備が必要だということが分かります。
今回は、猫の飼い主さんには知っておいていただきたい猫の特徴について整理します。
知っておきたい猫の特徴
1.寿命
室内飼育と良質なフードの普及、そして予防医療を含めた獣医療の発展のおかげで飼い猫の平均寿命は延び、15歳を超えました。
動物病院の待合室の壁には、20歳を過ぎた長寿の猫達を祝う写真が飾られていたりもします。
とはいえ、のら猫として外で生活している猫達の平均寿命は、今でも3〜4歳程度だと考えられています。
やはり、猫には整った環境で安全に暮らせる生活が必要だといえるでしょう。
2.食べ物
猫は、完全肉食性です。蔵の中に蓄えられている穀物を狙うネズミは食べますが、穀物には目もくれません。
だからこそ、猫と人は「Win-Win」の関係で、共に暮す道を選べたのです。
猫には、猫に必要な栄養素や栄養バランスがあります。勝手に人間の食べ物やドッグフードを与えてはいけません。
手作り食を食べさせたいと考えておられる飼い主さんは、しっかりと猫の栄養学を学ぶ必要があります。
3.繁殖能力
猫はとても繁殖能力の高い動物です。生後6ヵ月で妊娠できる身体になります。
交尾をした刺激で排卵が起こるため、交尾をすればほぼ確実に妊娠します。
そして環境さえ整えば、一年中いつでも交尾や出産ができます。
妊娠期間は約2ヵ月、一度に産まれる子猫は平均5頭、授乳期間も約2ヵ月と、とにかく繁殖サイクルが短いのも特徴です。
環境省では、1頭のメス猫が1年後に20頭以上、2年後に80頭以上、3年後に2000頭以上に増えると試算しています。
4.狩猟本能
人間に依存せずに暮らしていた頃の猫は、単独生活が基本でした。
そのため、餌を得るための狩りも単独で行います。猫の身体は非常に狩りに適したようにできています。
身を潜めて獲物を待ち伏せし、飛びかかって鋭い爪で攻撃し、前肢で抱え込んでから喉元に噛み付き犬歯で仕留めます。
この本能は現代の猫にも受け継がれ、遊びという形で今も狩りを行わずにはいられません。
5.縄張り
単独で確実に獲物を捕えて暮らしていくためには、縄張りがとても重要です。
それは今でも同じで、猫にとって縄張りを守ることは何よりも大切なこととなっています。
ただし、十分に餌を確保できる環境であれば、猫は他の猫達とも縄張りを共有することができます。
縄張りを共有するために、時間や高さをずらすなど、猫達はお互いにさまざまな工夫をこらしています。
そして、ニオイを中心にお互いの情報を交換しあっています。
6.学習能力
猫は、非常に学習能力が高い動物でもあります。一度経験した危険なことは、二度と行いません。
同じように、何度か経験した良いことについても学習し、繰り返すようになります。
猫を犬のようなスタイルでしつけることは難しいですが、猫の学習能力をうまく活用してしつけることは、十分に可能です。
まとめ
猫は野生時代の性質を色濃く残しているため、身体はとても小さいですが、ライオンやトラ、チーター、ピューマといった大型ネコ科動物たちの身体能力や習性をそのまま小型化したような動物だといえます。
餌を人間に依存しているため自律する必要がなく、いつまでも子猫の気分が抜けない面はありますが、身体能力も五感の精度も狩猟本能も、まさに野生そのものだといえるのです。
いわば、人間の横で眠る小さなワイルドキャットです。
そんな猫達に、人間の社会の中で生きていくための術を教えるのは飼い主の役目です。
猫達の生態、習性、本能、能力などを理解し、上手に人間社会の中で暮らしていけるようにすることで、災害時や飼い主の不幸などといった万が一の際にも、猫達自身を守るための能力を与えることができるのです。