猫が寒さに弱いと言われる3つの理由
童謡『雪』の歌詞にも出てくるように、一般的に「犬は寒さに強く、猫は寒さに弱い」というイメージが定着しています。
今回は、「猫は寒さに弱い」と言われている理由を調査し、まとめてみました。
1.祖先が北アフリカ出身のリビアヤマネコだから
よく知られているように、現在世界各地で人と一緒に暮らしているイエネコの祖先は、北アフリカ出身のリビアヤマネコです。
しかも、イエネコは人と一緒に暮らすようになっても、祖先の遺伝や習性を色濃く引き継いでいるといわれています。
そのため、暑い砂漠での暮らしに適しており、寒さには弱いといわれているのです。
2.人や犬に比べて筋肉量が少ないから
猫の瞬発力はとても優れていますが、持続力のある筋肉はあまり発達していません。
そのため、人や犬と比べて全体的に筋肉量が少ないのです。
筋肉は収縮する際に多くの熱量を生み出して体温を上昇させます。
その結果、筋肉が少ない猫は体温を上げる力が弱く、寒さに弱いといわれているのです。
3.我慢をせずに行動に移すから
猫は、我慢をしません。よほど特殊な事情がない限り、寒さに震えて耐えているということはありません。
自分でさっさと居心地の良い場所を探して、寒さをしのぎます。
その様子を見て、人々は猫は寒さに弱いというようになったようです。
結局猫は寒さに弱いのか
結論からいうと、猫はたしかに寒さには弱いといえるでしょう。
しかし、自分で対処する能力をもっていますので、健康な成猫であれば、環境さえ整えてあげれば、自分で暖かい場所を探して無事に越冬できる動物だと考えて良さそうです。
もちろん、寒い地域で生まれたダブルコートの長毛種は比較的寒さに強く、暑い地域で生まれたシングルコートの短毛種は寒さに弱いといった品種による差異や、個体差もあります。
愛猫の耐寒性については、しっかりと観察をして把握してあげる必要があるでしょう。
また、筋肉量が少なく体温調節能力がまだ発達していない子猫や、筋力を始め各種能力が衰えている老猫、また病気の猫などは、寒さに対して自力で対応できないことがあります。
そのような場合は、飼い主さんが注意深く防寒対策を施す必要があるでしょう。
では、猫のための寒さ対策として重要なポイントについて、見ていきましょう。
猫のための寒さ対策4つのポイント
1.快適な温度と湿度を一定に保つ
猫にとって寒さは大敵ですが、自力で居心地の良い場所を見つけて寒さをしのぐことができます。
猫にとってダメージが強いのは、激しい寒暖差です。
冷え切った部屋を暖房器具で急激に温めるといった行為は、猫がいる場所では避けた方が良いでしょう。
できれば、エアコンなどで室温や湿度を一定に保つような対策を考えてください。
猫にとって快適な温度は20〜28℃、湿度は50〜60%だといわれています。
愛猫の様子を観察しながら、愛猫にとっての快適な温度を見つけてあげましょう。
特に、子猫や老猫の場合は少し高めの温度設定が良いかもしれません。
また、トイレや餌場が寒いところにあると、排泄や食事をしたがらなくなる場合がありますのでトイレや餌場の環境も考慮しましょう。
さらに、猫にとって暑くなりすぎた場合に避難できるような場所を用意しておくことも大切です。
2.寝床の防寒対策
時間帯によって室内の環境は変化します。
昼間は日差しの当たる窓際で、夜間は冷気のこない部屋の中央や温かい空気が集まる高い位置など、愛猫にとって寝心地のよく温かい寝床を複数箇所に設置しましょう。
また、毛布などを敷いて、いつでも潜り込めるような環境を作ってあげましょう。
3.こまめにブラッシングを行う
猫は寒くなると全身の被毛を膨らませ、毛の間に空気の層を作って体温が逃げるのを防ぎます。
しかし、毛玉ができていると空気の層を上手に作れませんので、こまめにブラッシングを行なってあげましょう。
また、ブラッシングは皮膚の血行も良くしてくれます。
4.暖房器具による事故への対策を行う
ストーブやカイロなどの暖房器具は、やけどや低温やけどの原因となりやすいので、注意が必要です。
こたつも、長時間入ったままだと酸欠や熱中症のリスクがありますので、時々布団をめくる等の対策をしましょう。
まとめ
猫は、たしかに寒さに強いとはいえません。
しかし健康な成猫は、自力で対処する能力をもっています。
防寒対策を施すと同時に、猫が自由に動ける範囲内に、暑すぎたり寒すぎたりした場合に避難できるような場所を作ってあげることが大切です。
また、体温調節能力が低い子猫や老猫、病気の猫の場合は、自力での対処も難しいため、特に注意が必要です。
暖房器具による事故への対処も考慮して、安全に冬を越せるように配慮しましょう。