マンホールから子猫の鳴き声が!
2017年9月22日(金)、兵庫県川辺郡猪名川のマンションの敷地内のマンホールから「子猫たちの鳴き声がする!」と、管理人さんに小学生たちが報せてきました。
それを訊いた管理人さんは、マンションの住人の中で動物たちのための啓発活動をしている高村さん(※)母娘がいる事を知っていたため、さっそくその相談の連絡を入れました。
(※ご本人の許可を得て名前を出させて頂いております)
高村さんが管理人さんから子猫たちのことで連絡を受けた時、娘さんは動物看護士の仕事中だったため、お母さんの方が対応されたそうです。
▲動物啓発活動をしている高村さんの娘さん(左)
子猫を救うために消防隊が出動
日本ではあまり知られていないのですが、こういう事態が発生した場合は、消防署に通報すれば救出に駆けつけてくれるそうです。
それを知っていた高村さんのお母さんは、すぐに地元の消防署に通報し、救助要請を行いました。
子供達の訴え「救助されても保護する人がいなければ殺処分に・・・」
管理人さんから高村さんのことを訊いた小学生たちも彼女の家に駆け付けてきて、「助けてください!」と必死に懇願したそうです。
更に驚くことに小学生の口からこんな言葉も飛び出してきました。
「救助されても保健所に連れていかないでください!」
『そうなんです。救助されても保護する人がいなかったらせっかく助けられても、そのまま保健所(動物愛護センター)へ送られ殺処分になるのです。大人も知らない人もいるのに、この子たちはそれも知っていて、必死で命を守ろうとしていました。』
救助活動開始と中止
『レスキューが到着し、消防士さんがマンホールの中に入ったり、放水したりいろんな方法で試みてくださり、一匹は救出できました。』
しかしながら、もう1匹は、どうしても救出できませんでした。
やがて日が暮れてしまい、暗くなったことで救助活動は中止となってしまったのです。
そしてそれ以降、救助活動が再開されることはありませんでした。
残念ながら、もう一匹に関しては救出不可能と判断されてしまったようです。
消防隊もいつまでも子猫の救出活動を続けるわけにはいかなかったのでしょう。散々手を尽くした結果、これは仕方がない結果でした。
取り残された1匹
しかし、マンホールの中に取り残されてしまった1匹は、その後もずっと鳴き続けていました。やがて子猫の鳴き声もだんだんか細くなっていったそうです。
子猫の体力も、もう限界が来ていました。
翌日の23日(土)、出勤前の娘の友佳さんが、朝、子猫の声がマンホールの入り口付近で聞こえていることに気が付きました。
そこで友佳さんは自分で子猫の救出を試みました。
友佳さんは、大胆にも周囲の人たちに自分の足を持ってもらい、上半身宙吊りの状態でマンホールの中を覗き込みました。そして腕を思い切り伸ばしてみたのですが、子猫は怖がって近寄って来てはくれなかったそうです。
それでしかたなく、一旦、友佳さんは仕事に出かけました。
”絶対助ける!”その強い思いで…
しかし、子猫の事が気になった友佳さんは午前10時半頃、またマンホールに戻って来て、再び周囲の人たちに足を持ってもらい上半身宙吊りのまま、今回は手鏡で中の様子を見ながら、もう一方には餌を持ち、子猫が近寄ってくるのを辛抱強く待ったそうです。
すると徐々に子猫が近づいてきて、餌をもっている友佳さんの手に噛みついてきた瞬間、子猫の首を捕まえ、そのまま引き上げることに成功したのです!
『周りは思っていた以上に人が集まっていて、拍手と歓声に包まれて、私はこの子猫を抱きしめて泣くことしか出来ませんでした。』
その後の子猫たち
子猫たちは動物病院にて点滴をしてもらい、2匹とも元気にしているそうです。
『服はドロドロ、今もお腹に出来た青アザが痛いですが、この兄弟の元気な姿を見るとへっちゃらです(*´ェ`*)』
消防隊に最初に救出されたのはキジネコ、その翌日に友佳さんによって救出されたクロネコ。
「怖かったね。本当によく頑張ったね。」
友佳さんからのメッセージ
『3日前から何人かが気付いていて、助けようとはしていそうで、でも、消防署が動いてくれることを知らなかったみたいです。
本当にたくさんの人が夜中も子猫に励ましの声をかけに来たり、餌を放り込んでみたり(子どもはお菓子を投げ入れてくれてたよう)、役場の人がお仕事は休みにも関わらず見に来てくれていたり……
暖かい人がたくさんいること、小さな命を必死で助けようとした人がたくさんいること、それが嬉しくて、もっともっとそんな人たちの心を動かして、今よりもっと動物たちのために何かしてくれる人を増やしたいと思いました。
二人ともすごく運のいい子たち。
きっとこうして気付かれずに命を落としていく野良猫の子猫もたくさんいるでしょう。
そんな不幸な野良猫の子猫をなくすためにも、TNR(捕獲して避妊去勢手術して戻す)が大切です。
そして、ゆっくり家族探し頑張ります!!!』
取り残された子猫を体をはって助けてくれた友佳さんは、普段から動物たちのためのパネル展で啓発活動を行っています。
『プロテクトあにまる』
高村友佳さんとそのお母さんは、お二人で”プロテクトあにまる”という名で動物のための啓発活動をされており、賛同してくれる仲間たちと共に、主に殺処分、野良猫問題、毛皮、動物実験、被災地の動物たちなどについて、パネル展や浅田美代子さんが始めた動物愛護関係(下記詳細あり)の署名活動などの動物たちのための啓発活動、更に、TNRや猫の保護活動もされています。
▼「動物の愛護及び管理に関する法律」改正を求める署名活動の詳細はこちらから
https://www.change.org/
【ねこちゃんほんぽ】という猫専門の大きな情報サイトに、プロテクトあにまるのことを載せていただけることとなり、そこに載せる活動をまとめた動画を制作してみました!記事にしていただけたら、またお知らせします♡
不幸な動物たちを減らすために・・・プロテクトあにまるさんの投稿 2017年12月2日土曜日
最後に
筆者はこれまで米国での犬猫達の消防隊のレスキューのお話を何度か書いてきましたが、日本でも通報すれば消防隊が動いてくれるのだという事を今回の子猫レスキューのお話をFBで偶然見るまで知りませんでした。
米国の場合は、壁や道路を切断してでも、その奥に確かに存在している動物の命が助かるまではどんな困難な状況でも、救助活動は続けられますが、日本の場合は、そこまではやらないという事なのですね…。これが人間であれば、当然、暗くなっても、助かるまで救出活動は続けられますが、犬猫の場合はそうではないという事は少し残念です。もしかしたら日本の消防隊員には、規則の壁や時間制限などがあるのかもしれませんね。しかしながら、今回の消防隊員の皆さんはできる限りの事をやられたと思います。
ですが小学生たちが、助けてほしいと必死で願った命です。この国の政府では、犬猫に対する考え方が”物”扱いという中で、この小学生たちは子猫も”大切な命”として認識していたわけです。そのまっすぐな気持ちに大人たちはちゃんと応えるべきではなかったでしょうか。
幸い今回の場合は、1人の民間の女性が立ち上がってくれました。彼女には目の前にある命に対して規則の壁や時間制限などはありませんでした。最後まで諦めることなく、勇敢にも確かにそこにまだ存在している、取り残されていた小さな命を救ってくれました。
消えかかった小さな命を助けてくれた救いの女神は、動物たちの啓発活動を普段から行っている若い女性でした。筆者は彼女の勇気ある行動に大きな拍手を送りたいと思います。どうかみなさまも彼女の活動を理解し、そして応援してあげてください。
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