三毛猫のオス
三毛猫のオスが百万匹に一匹の希少種だということは、猫好きな皆さまならご存知ですよね? ではどのような状況下で誕生するのか、三毛猫のオスの遺伝子はどのような型を持っているのかご存知でしょうか?
三毛猫のオスや猫の神秘を、まるで小説かブログを読むように楽しく学べる本・『三毛猫の遺伝学』(著者:ローラ・グールド氏)をご紹介いたします。
三毛猫のオスの遺伝子型
百万匹に一匹といわれる三毛猫のオスの遺伝子はどのようになっているのでしょうか?! 実は三毛猫のオスの遺伝子型は2パターン(XXY型(クラインフェルター症候群)とモザイク)があり、生殖能力のないネコと生殖能力ありのネコがいます。そして生殖能力ありの三毛猫のオス(と三毛猫のメス)から産まれる子供でも、やはり三毛猫のオスが産まれてくる確率は非常に低いのですからほんとうに不思議ですよね。
ちなみにドラマ『ねこタクシー』で主役を務めたみーすけ君は、なんと生殖能力を持った三毛猫のオスだそうですよ! そんな希少な猫が元野良だったというのですから、更にビックリですね。
三毛猫のオスにまつわる物語(本)
この『三毛猫の遺伝学』内では三毛猫のオスにまつわる物語として『ラモーナ物語』という話が出てきます。飼っている三毛猫に子供が産まれるのを楽しみにしていた少年がいたのですが、一向に産まれないので調べると、それは三毛猫のオスでした。それが判ったあと、その三毛猫のオスのお蔭で少年が有名になり裕福になるといったお話です。
執筆者(私)自身は子供の頃に読んだ『ミケ大王の冒険』という児童文学が印象的でした。しかしこの本を買ってみようとインターネットで探してみると……残念ながら全く出てきませんでした。
ちなみにこんな内容でした。主人公の三毛猫のオスは百万匹に一匹の希少猫だということで自ら『ミケ大王』と名乗り威張り散らしていました。話が進むとミケ大王に朝寝坊を説教(歌を作って歌う)するニワトリが出てきたり、他の動物が出てきたりと動物好きな子供が読んでいて楽しいお話です。その楽しいストーリーの中で、怠惰な生活を送る子供たちをミケ大王になぞらえて戒めているのでしょう。
この『ミケ大王の冒険』も『ラモーナ物語』もアメリカの著者さんの本(児童文学)なのですが、このことからも特にアメリカでは三毛猫のオスが注目されているという世相がうかがえますね。
『三毛猫の遺伝学』って、どんな本?
遺伝学というと小難しく聞こえますが、まるでブログか小説を読んでいるかのように楽しく読み進められる一冊です。著者ローラ・グールド氏のネコ大好き熱が伝わってきます。研究過程と共に著者さんの人間らしさが垣間見える本です。
あまりネタばれしてはいけませんので詳しくは書きませんが、著者さんが遺伝子研究の資料を借りようとした時に腹の立つ図書館員に当たったという話は思わずクスっと笑ってしまいました。
三毛猫の遺伝学を追求(解明)するのが本の主題ではあるのですが、話は著者さんの飼い猫ちゃんたち(三毛猫のオスのジョージ君と茶トラのマックス君)の話や遺伝子研究の過程で壁にぶつかって悩むエピソードなどを絡めて進んでいきます。
学術的な単語もバンバン登場しますがそれも解りやすく解説されていますので、あまり遺伝子学に興味がない人でも猫好きなら興味深く読み進められるでしょう。
『三毛猫の遺伝学』では三毛猫のオス以外の猫にまつわる話も学べる!
著者さんは本当に猫が大好きなのですね。三毛猫のオスだけではなく、猫にまつわる神話や歴史話などもこの本にはたくさん載っています。
例えば家猫飼育の発祥はエジプトであるという話や、エジプトの猫の女神『パシュト』の神話。特にエジプト人は猫を愛してやまない人種だそうで、猫を弔う時には自らの眉毛を落として服喪したというのです。
反対にヨーロッパでは宗教的に猫を迫害した時期がありました。それはあの『魔女狩り』の時期と同時期です(黒猫が魔女の仲間とされていたからですね)。
他にもあの猫好きでも有名なマホメットのエピソードや、日本での猫エピソード、イギリスで19世紀後半に猫愛護協会(キャット・ファンシー)が発足した話など、猫にまつわる話や雑学が盛りだくさん!
そして著者さんの猫ちゃん2匹・マックス君とジョージ君の話も日記のように綴られています。
まとめ
『三毛猫の遺伝学』は三毛猫のオスの遺伝子以外にも猫の歴史や生態がまるごと楽しく学べる一冊です。
『三毛猫の遺伝学』は1997年9月30日に初版発行された古い本ですので、なかなか取り寄せられる書店がないかもしれません。しかしインターネットのショッピングサイト(Amazonなど)では現在も入手可能です(中古ですが)。また、図書館でも取り扱っている地域が多くあります。図書館で借りるなら無料です。ぜひ探してみてくださいね!