猫の行動は月の満ち欠けに影響されている?
猫は、光を調節するために瞳孔を開いたり細めたりし、その様子がまるで月の満ち欠けのようだということから、月の動物と言われたことがありました。
西洋では、月の動物である猫は魔女の使いだと言われ、迫害を受けた歴史もあります。
満月や新月になると猫の行動が変わるというのは、このようなイメージに引きずられてのことではないかと考えておられる方も多いでしょう。
一方で人間も、月の満ち欠けで体調やメンタルが変化したり、満月の夜は出産率や事件・事故の発生率が高くなるなどと言われています。
今回は、あまり神秘的でオカルティックなイメージに引きずられず、少し科学的な視点も取り入れて、月の満ち欠けと猫の行動の変化について考えてみたいと思います。
人間の場合は?
月の満ち欠けと人間の精神状態や健康状態の関連に関しては、A.L.リーバー博士が著した『月の魔力』という書籍に書かれているバイオタイド理論が有名です。月の満ち欠けが、人の健康や精神面に影響を及ぼし、満月になると出産率や事件、事故の発生率が高くなるなどとする理論です。
その後の科学者による検証の結果、この理論は否定されました。仮説と一致する結果の出た月のデータだけを採用したなど、統計手法に問題があったとされています。
月の満ち欠けが地球に与える影響
では、月の満ち欠けが地球に何も影響を与えていないのかといえば、それは違います。
地球は太陽の周りを公転し、月は地球の周りを公転しています。この位置関係により、地球からは月に太陽の光が当たっている面だけを見ることができます。そのため、月が周期的に満ちたり欠けたりするように見えるのです。
そして、月、地球、太陽の順で一直線に並んだ時(上図左下)が満月、地球、月、太陽の順に一直線に並んだ時(上図左上)が新月になります。この一直線の状態に並んだ時に、地球は一直線の両側の方向に、月や太陽の引力とその反対側の遠心力とに引っ張られて膨らむような形になり、その他の部分はへこむような形になります。
とはいえ地形が変わるわけではなく、地球の表面は海なので潮の満ち引きとなって現れる訳です。
月の満ち欠けが猫に影響を与えていると考えられる理由
猫は、満月になるとのんびりとリラックスした行動になり、新月になると活動的になると言われています。
月の満ち欠けが、なぜ猫にそのような行動を引き起こすのかという理由について、考えていきましょう。
1.狩の習性の名残説
これが最もよく耳にする説だと思います。猫は野生生活をしていた頃、夕方と明け方の薄暗がりの中で狩をしていました。目の構造により微かな光があれば昼間と同様の視力を発揮するのです。
しかし満月でいつもより明るいと、逆に獲物に見つかりやすく、狩がやりづらかったため、満月の夜には休むようになったという説です。
2.天敵に狙われる心配がない説
これもよく耳にする説だと思います。猫はとても優秀なハンターですが、天敵がいない訳ではありません。油断をしていると、いつ自分が獲物になるか分かりません。
そこで、新月の暗い時の方が安心して活動できる、という説です。
3.引力の影響説
「気象病」という言葉をご存知でしょうか。気象の変化や一定の気象条件下では、症状が悪化したり発作が誘発されたりするという病気です。
関節リウマチや神経痛、偏頭痛、気管支喘息、心筋梗塞、脳出血、胆石症などによく起こると言われています。
猫にも、似たような現象が生じます。筆者が以前一緒に暮らしていた脳腫瘍の猫は、低気圧が接近して急激に気圧が下がると、非常に体調が悪化して発作を起こしやすくなりました。
満月や新月の際の満潮、干潮は太陽や月の引力や遠心力により引き起こされます。この引力等の影響が一種の気象病のように猫を始め、さまざまな動植物にも影響を与えているのではないかという考え方です。
まとめ
いずれの説も、科学的に証明されているものではありません。しかし、いずれも「もしかするとそうかもしれない」と思わせるような考え方だと思います。
この先、さらに科学の進歩により多くのことが解明されていくと、「満月の夜は」とか「新月の夜は」という伝承についても、信憑性が出てくるかもしれません。