排水溝に落ちた子猫
2013年9月 日曜日の昼下がり、息子さんが子猫の鳴き声に気付き、姿を探してみると、どうやら約3m20cmの排水溝の底まで子猫が落ちてしまった模様。排水溝の中を覗き、構造を調べてみると、人が入れる広さはなく、救出は難しそうだったため、翌日消防署に助けを求めましたが「道路を掘り返す事はできません」「奥さん、猫は地下で住んでるんとちがいますか?」という言葉を残して撤退してしまったそうです。
しかし、どうにか助ける方法はないかと過去の事例等をインターネットで調べ、ロープを垂らす等の方法を考えるものの、子猫がいる排水溝の底までの構造を考えると得られた救出方法での救出は絶望的だったそうです。
しかし、物は試しだとシーツで作ったロープの先にソーセージを括り付け垂らしてみると、子猫を救出する事はできなかったものの、先に括り付けておいたソーセージはなくなっており、『これで少しは生きながらえるのでは…」と思う反面、『真っ暗な菅の中で流れる雨水に濡れながら生き延びても…この先どうするのだ』と暗澹たる気持ちになったといいます。しかし、疲れて眠っている時以外は『ニャオニャオー』と必死で鳴き続ける子猫を放ってはおけなかったそうです。
子猫の鳴き声が聞こえない
9月1日、排水溝に落ちた子猫を発見してから、救出方法を模索しながら家にあったソーセージをロープに括り付けて与える日々が続いていました。しかし、それから2、3日したある日、猫の鳴き声が聞こえなくなったそうです。
『その間、雨も降って雨水溝から流れ込んだだろうし、水に浸かって弱ってしまったのだろうか、もう死んでしまったのかもしれない。その日の夜は子猫に手を合わせそっと謝りました。』
一度は諦めかけたご夫婦でしたが、数日後、出掛けようとした旦那さんが家の中に飛び込んできて言った『鳴き声がする!エサをやれ!』その一言から、子猫救出大作戦は再開されたのです。
奥さんは、猫缶とソーセージを買いにスーパーへ走りました。ソーセージの塩分が気になるものの、ソーセージは紐を通してロープに固定する事ができるため、この際そんな事は言ってられないと、急いで猫缶とソーセージをロープで排水溝の中へ降ろしました。
引き上げた猫缶とソーセージもキレイに無くなっており『生きているんだ。生きようとしているんだ』と胸が熱くなったと同時に、お腹がすいていて「何が何でも食べようとする」状態であれば、何とか救出できるかもしれない、この時初めて旦那さんは子猫を『助けられる』と思ったそうです。
ペットボトル救出大作戦
そこでどのような仕掛けで救出できるのか試行錯誤した結果、たどり着いたのが「ペットボトル大作戦」だったそうです。ペットボトル大作戦も一筋縄ではいかず、何度も改良をしながら、救出用ペットボトルが4作目に突入した日、雨水溝の穴からペットボトルを投入。
(救出方法の詳細はこちら⇒http://090713.at.webry.info/)
ガサガサという音、ロープが動く…『入った』一呼吸…二呼吸…『引き上げる!』一気に引き上げる事ができたペットボトルの中には
『入ってる!!』
子猫救出大作戦から9日目、旦那さんの手によって深くて暗い排水溝の中から子猫は救出されました。
奥さんは『何回も何回も諦めかけましたが『わしが絶対助けたる!』と言った旦那。言葉通りやってくれました。思わず万歳三唱しました。鳴き声だけで見た事もなかった子猫。やっと地上に引き揚げてやることができました。案の定、下半身はずぶぬれで長いしっぽもべちゃべちゃでした。今の季節だから助かったのかも。それにしても9日間よくがんばったなあ。猫ちゃん』と子猫の無事を心から喜ばれました。
こちらは救出直後のお写真。9日間、真っ暗で冷たい排水溝の中で、ご夫婦の声だけを頼りに強く生きた子猫。救出された時には、既にご夫婦の事を心から信頼していたのですね。
無事救出された子猫は「ココ」という素敵な名前を付けてもらい、現在もご夫婦の元で幸せに暮らしているそうです。
そして現在、ココちゃんにはナナちゃんという妹猫ちゃんが居るそうです。ココちゃんが救出された翌年、『また排水溝の中から子猫の鳴き声がする?!』ご夫婦の救出大作戦がまた始まった…のは、また別のお話し。
(ナナちゃん救出大作戦⇒http://blog.livedoor.jp/ryokichi777/)
奥様より頂いたコメント:
【ココ救出から4年目になった記念日にちなんで、娘が「実家猫ココ救出まとめ」を作ってくれ、たくさんの反響をいただきました。もう4年も経っているのですが、引きあげたペットボトルにココが入っていた時のなんともいえないうれしさが、今もよみがえります」】
実家猫ココ救出まとめ⇒http://blog.livedoor.jp/ryokichi777/
ご協力ありがとうございました!
(記事内の写真、動画はご本人様に許可を頂いて掲載しております。無断転載、保存等は厳禁ですのでご了承ください。)
まとめ
ご夫婦の「絶対助ける」という諦めない気持ち、本当に尊敬します。自分なら助ける事ができただろうか…とさえ思います。「目の前にある命を救いたい」ご夫婦の温かい気持ちがココちゃんにも届いていたのでしょうね。
ご夫婦の勇士が少しでも多くの方に届き、ひとりひとりが目の前の命を救いたいと思う気持ちの糧になれば、救われる命も増えるかもしれません。そしてまた私自身も、ご夫婦を見習っていざという時に、目の前の命を守る事ができる人間になれるよう、心構えしておきたいと思います。