暗くて長いトンネル内での子猫救出劇

通報
米国マサチューセッツ州とコネチカット州を結ぶルート90にあるテッド・ウイリアム・トンネル内で、子猫がうろついていると複数のドライバー達からの目撃情報がマサチューセッツ州警察に寄せられました。

専門家へ救援要請
通報を受けた同州警察は、すぐにボストンを拠点として活動している『ボストン・アニマル・レスキュー・リーグ(ARL)』に子猫の救助要請をしました。
捜索
トンネルの全長は約2.6kmもありました。交通量の大変多いトンネルです。そこで子猫がどこにいるのか、まず監視カメラでの捜索が行われました。その結果、子猫はトンネル内の壁にある穴に隠れているのがわかりました。

救出活動
州警察は、安全に子猫が救助されるために、トンネル内での車の通行を一部閉鎖しました。そしてARLのウッド氏が穴の上に立ち、子猫が頭を出した時に手で捕まえたそうです。

この子猫のトンネル内での救出模様はテレビのニュースで放送され、また複数のメディアも取り上げ、米国でかなり話題となりました。
子猫のニュース:http://wgntv.com/
救出された子猫のそれから

負傷していた子猫
救出された子猫は、すぐにARLの飼育センターに連れて行かれ、獣医の診察を受けました。
子猫は生後約12週間のオスで、脱水症状と栄養失調の状態でかなり痩せており、更に尻尾は火傷が原因と思われ毛が抜けた状態で、既に壊死していました。残念ながら子猫の尻尾は切断するしかないとのことでした。
また左耳周辺にも毛がなく、他の動物に傷つけられた可能性があり負傷していました。
子猫は今後、耳の怪我の治療、尻尾の切断、そして去勢されます。更に州の法律に基づいて生後4か月の狂犬病ワクチン接種が行われます。
スパンキー

子猫の名前は一般公募された結果、『スパンキー』と名付けられました。
スパンキーには、複数の治療が控えているため、里親探しはまだ行われていません。スパンキーが健康状態を取り戻し元気になったと確認でき次第、里親探しが行われることでしょう。
ARLは、スパンキーが命の危機に晒されていたことを知らせてくれた複数のドライバー達、及び州警察にとても感謝しているとのことです。動物たちの命がこのように危険に晒されているのを目撃した場合、人々からの善意の通報がその尊い命を救うことになるのです。
ボストン・アニマル・レスキュー・リーグ(ARL)のホームページ:
http://www.arlboston.org/
アメリカでの犬猫の救出劇

アメリカではこのように助けを必要としている犬や猫たちを見かけると、複数の人々が積極的に通報し、すぐに警察や消防署などが出動して救出活動が大々的に行われます。
今回のように、専門家である動物保護団体などに救出を依頼することもありますが、その場合でも、警察や消防士たちも協力します。
そして、メディアも駆け付け、テレビのニュースとして救出活動の模様を放送し、新聞やネットニュースでも紹介され、全米で話題になります。
その結果、救出された犬や猫たちが殺処分されることはまずありません。何故なら、話題になったことで里親希望者が殺到するからです。
救出された犬猫たちには手厚い治療が施され、動物保護団体がその後のお世話をし、たくさんの里親希望者の中から、その犬や猫に一番ふさわしいと思われる人物を里親として選ぶのです。

ボストン州警察のフェイスブックページ: https://www.facebook.com/MassStatePolice/
日本の犬猫救出劇は?
日本ではそういう犬猫の救出活動がテレビのニュースになることはないですよね?
ニュースになるとしたら、たまに住宅地に現れたイノシシやサルたちなどの野生動物を危険や迷惑として通報され、警察や猟友会の人たちが捕獲する場面で、捕まえられた動物たちは駆除されてしまいます。
そして、犬や猫たちの救出劇がニュースとして話題になることは殆どなく、捕獲された犬猫たちは大抵の場合が保健所に入れられて、その多くは殺処分されてしまいます。
これはとても大きな違いだなと、米国で長年生活していた筆者は感じております。
それでも、日本で助けを必要としている犬猫たちがいれば、動物保護ボランティアの人たちなどが手を差し伸べ、里親探しをしています。そんな活動は、米国とは違って話題になることは殆どありませんが、各自がSNSを使って個人的に紹介しています。
もっとこういう事を日本でもメディアで取り上げ、またテレビのニュースなどで放送することで、日本の人々も助けを必要としている犬猫たちに対する意識も変わってくるのではないでしょうか?
※尚、この記事及び写真&動画の掲載はマサチューセッツ州警察署の承諾を得て行っております。