スナネコ問題を考える〜テレビにおける動物の取り上げ方と飼い主の自覚〜

スナネコ問題を考える〜テレビにおける動物の取り上げ方と飼い主の自覚〜

先日人気TV番組が、スナネコをあたかもペットにできるような印象を与えたとして炎上しました。スナネコの飼育展示をしている動物園は「スナネコ はペットに不向」という発信をしています。外国産野生動物をペットとすることにどのような問題があるのか、考えてみたいと思います。

スナネコ人気

スナネコ

テレビでは、毎日のように動物を取り上げた番組が放送されています。これらの影響で一時的に人気が出て多くの人々に飼われ、途中で飼育放棄される等の不幸な運命を辿るケースもありました。

アニメによるアライグマ、漫画によるシベリアンハスキー、コマーシャルによるチワワ、他にもスローロリスやカワウソなど、多くの動物がテレビ等を介してブームになりました。

そして昨年、那須どうぶつ王国と神戸どうぶつ王国がスナネコの飼育展示を開始したことから、スナネコにも人気が集まっています。

最近、人気テレビ番組がスナネコの繁殖に成功したペットショップを取り上げて、スナネコの可愛さを前面に押し出し、あたかもペットとして飼えるような印象を持たせたと、ネット上で炎上しました。

那須どうぶつ王国も、放送同日に「スナネコはペットとして不向」という旨のツイートを発信しました。

外国産野生動物をペットとすることの問題点

獲物を狙う猫

外国産の野生動物をペットとして飼育することに、どのような問題があるのでしょうか。

NPO法人野生生物保全論研究会(JWCS)では、外国産野生動物ペットには、下記の5つの問題があると言っています。

  • 捕獲による対象種の絶滅と生息地の生態系へのダメージ
  • 外国産野生動物のペットが逸失放獣されたことによる日本の生態系へのダメージ
  • 動物と共に非意図的に持ち込まれた細菌等に引き起こされる感染症等の問題
  • 飼育の難しい動物を安易に飼うことで生じる対象個体への動物福祉に反する問題
  • 飼育者が知らずに密輸と違法販売に加担してしまう問題

スナネコがペットに向かない理由

スナネコ

スナネコを展示している那須どうぶつ王国のツイートを引用します。

「スナネコは過酷な環境に生息する野生動物。警戒心が強く砂漠で行く抜く身体機能を保持。可愛らしい動物ですが牙も鋭く気性も荒いのでペットには不向。スナネコを知りその生息環境を守っていくためにも、野生のスナネコの姿を想像してほしい。」

那須どうぶつ王国がこのツイートを発信した理由も、主に前述の2,4番目の問題への注意喚起だと考えられます。

スナネコの生態にはまだ分からないこともたくさんあり、病気になった場合のことを考えても、とても一般家庭で飼養できる動物だとは思えません。

身近で起きている外来生物問題

ゴミを漁るアライグマ

実は、外国産野生動物をペットとして持ち込んだために起きている外来生物問題は、私たちの身近でも起きています。

日本にペットとして持ち込まれた外国産野生動物で問題となっている外来種には、カイウサギ、タイワンリス、アライグマ、ネコ、イノシシ、ハト、アカミミガメなどがあります。

日頃私たちと一緒に暮らしているイエネコが捨てられたり逃げ出したりして野生化した結果、在来希少種への感染や捕食により生態系にダメージを与えていると問題視され、駆除対象に指定されているのです。

可愛いだけでは飼育できない

野良猫

伴侶動物となった犬や猫ですら、最後まで飼いきれずに飼育放棄されている個体が多いのが現状です。

環境省は「ほんとうに飼えるかな?」という動画をYouTube上で公開し「犬や猫の飼育を決める前によく調べ、よく考えよう。ちゃんと世話ができないから今は飼わないと決めることも、立派なペットへの愛情」と訴えているほどです。

伴侶動物である犬や猫でさえこういう状況なのですから、外国産野生動物を安易に飼い始めることには、想像以上の大きな問題が潜んでいるのだと自覚する必要があるでしょう。

まとめ

TVの前の猫

影響力が大きいメディアでの動物の取り上げ方にも改善していただきたい点がありますが、「一緒に暮らす」と決めた側にも責任があるといえます。

「テレビで見て可愛かった」とか「人とは違う動物を飼ってみたい」という理由で安易にパートナーを決めてはいけないという自覚が、今私たち飼い主にも求められています。

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