猫を愛した偉人たち
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近年、猫ブームが盛り上がりを見せるなど、世界中で愛され続けている猫ですが、歴史上のさまざまな偉人たちにも猫は愛されてきました。
今回はそんな猫を愛してやまなかった偉人、著名人たちのエピソードをいくつかご紹介いたします。
偉人たちの猫エピソード

それでは、猫にまつわる偉人、著名人たちの様々なエピソードを紹介していきます。特に有名なものをいくつか集めてみました。
6本指の猫とヘミングウェイ
『老人と海』や『誰がために鐘は鳴る』で世界的に有名な作家アーネスト・ヘミングウェイ。彼の愛猫スノーボールは6本指の猫でした。近親交配が原因とされる先天性異常があったのです。ヘミングウェイは大きくて器用な手を持つスノーボールを「幸せを呼ぶ猫」と信じ、とても大切にしていました。今でもアメリカでは6本指の猫を親しみを込めて「ヘミングウェイ・キャット」と呼んでいます。
かつての自宅で現在博物館となっているフロリダ州キーウェストの屋敷には、スノーボールの直系の子孫の猫たちが住んでおり、訪れる人々に癒しと幸せを与えています。
猫を大事にしない人間を信用しなかったリンカーン
16代目のアメリカ大統領エイブラハム・リンカーンは「猫のためなら道を譲る」ほどの猫好きでした。ちなみに、リンカーンはホワイトハウスで初めて猫を飼った大統領でもあります。南北戦争中、現地のテントを訪れた際に3匹の子猫を見つけたリンカーンは部下の将軍に世話をするよう指示します。その後も子猫のことを常に気にかけ、様子を知るためにほぼ毎日現地に問い合わせていました。
リンカーンは犬も好きで「私は犬と猫を大事にしない奴を信用しない」という言葉も残しています。
子供よりも猫を特別扱いしたゴーリー
独特の絵柄と少々ブラックな作風が人気の絵本作家エドワード・ゴーリー。子供の頃から猫好きで、生涯独身を貫き、猫に囲まれた生活を送っていました。猫と離れていたのは兵役中の3年間のみです。彼の絵本は子供たちが次々と死んだり不幸な目に遭うのが特徴ですが、猫に関してはそういったことは全くありません。
たとえ絵本の中でも、猫を殺したりいじめたりするのは忍びなかったのだと思われます。
本当は大好きなのに・・・猫を諦めざるをえなかった三島由紀夫
三島由紀夫が猫好きだったことはあまり知られていません。どちらかというと犬の方が似合いそうなイメージですが、独身の頃はずっと猫を飼っていました。笑顔で猫を抱く写真も残っています。書斎の襖に猫用の出入り口を付け、机の引き出しには煮干しを常備していました。子猫が生まれた時は執筆の合間にせっせと世話を焼いていたそうです。
彼にとって不運だったのは、夫人が猫嫌いだったため結婚後は猫を飼えなくなってしまったことです。夫人のためとはいえ、愛する猫を手放すのは辛く悲しい決断だったでしょう。
猫を生涯の伴侶と呼んだ大佛次郎
『鞍馬天狗』シリーズの作者で、猫にまつわる著作も多い大佛次郎。彼の家には常に10匹以上の猫がいました。野良猫も含め、世話をした猫は全部でなんと500匹以上といわれています。夫人も大の猫好きだったため、面倒を見てくれるだろうと家の前に猫を捨てられることも多かったそうです。ただ、家中猫まみれになってさすがに困惑したのか、夫人への遺言には「猫は5匹以上に増やさない」と記しています。
遺言は守られることはなく、夫人が亡くなった後に残された猫たちは猫好きのお手伝いさんに引き取られました。
ひどいペットロスになってしまった内田百閒
内田百閒は夏目漱石の弟子だった作家です。晩年の彼はノラという飼い猫を溺愛しました。ノラが失踪した時に2万枚のチラシを配り、大金をはたいて新聞広告を打ち、日本語の読めない外国人向けに英語のポスターを作って必死に探し続けたという逸話があります。しかし、結局ノラは見つかりませんでした。ノラを失った百閒は毎日泣いて暮らすようになり、「風呂のふたの上で寝ているノラを思い出すから」という理由で1ヶ月ほど入浴もできなかったそうです。
ノラの失踪からしばらくした後、たまたま家に居ついたノラそっくりの猫にクルツと名前を付け可愛がるようになります。そして、5年ほどでクルツが病死し、再び深い悲しみに包まれた百閒は2度と猫を飼いませんでした。
まとめ
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悲劇的な最期を迎えてしまった人もいますが、彼らが本気で猫を愛していたことは間違いないでしょう。心の闇を抱えていたとしても、猫と過ごす時だけは全てを忘れて幸せな気持ちでいられたのかもしれません。