愛猫との暮らしに取り入れたい『アニマルウェルフェア』5つの自由

愛猫との暮らしに取り入れたい『アニマルウェルフェア』5つの自由

19世期以前、世界の大国では上流階級による残虐な動物遊びが盛んでした。そこから虐待防止の思想が生まれ、やがてアニマルウェルフェア(動物の福祉)という考え方に発展していきました。今や世界的な標準となったアニマルウェルフェアとその基本となる5つの自由について紹介します。

人と動物の関係の変遷

闘牛

現在、人と関わる動物に関する日本の法律には「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護法)があります。昭和48年(1973)に制定され、平成11年(1999)に大幅改正され、国際的に認められているアニマルウェルフェアという考え方も反映されました。(welfare:福祉)

人が犬を家畜化したのが約2万年前。それ以降も、人と動物の関係は大きく変わってきました。動物福祉の先進国といわれるイギリスでも、19世期以前は上流階級による残虐な動物遊びが行われました。しかし、人の残虐な行為から動物を守るべきだという考え方が生まれ、1835年の動物保護法の改正以来、動物の保護や福祉に関し、法整備も含めて発展してきました。

日本でも、1902年にイギリスの思想を直輸入した形で動物虐待防止会が設立され、動物愛護運動が始まったといわれています。今や世界各国で標準的な考え方として認められ、動物愛護法にも反映されているアニマルウェルフェアについてご紹介します。

アニマルウェルフェアとは

牧草を食べる豚

アニマルウェルフェアとは、人に関わる動物たちの生活と死に至るまでの環境において、動物が受ける痛みやストレスを最小限に抑え、その生命を尊重するという考え方です。元々は1960年代にイギリスの畜産業界が推奨したもので、家畜を快適な環境下で飼養し、家畜のストレスや疾病を減らすことで生産性の向上や安全な畜産物の生産につながるというものでした。

今では、家畜や食用動物に留まらず、実験動物、展示動物、介助犬や伴侶動物までをその対象とし、世界的に認められた考え方になっています。

アニマルウェルフェアの基本となる5つの自由

遊ぶ猫

アニマルウェルフェアの基本となるのが5つの自由です。動物たちが満たされて生きていく状況を確立するために必要な項目であり、イギリスの動物福祉法の条文のみならず、世界獣医学協会(WVA)の基本方針の中などにも反映されています。

1. 飢えと渇きからの自由

その動物にとって、適切かつ栄養的に十分な食物が与えられ、いつでもきれいな水が飲める環境であること。

2. 不快からの自由

その動物にとって適切な環境の下で飼育されなければならず、その環境は常に清潔に保たれ、過酷な自然現象を避けられ、怪我予防の配慮もなされていること。

3. 痛み・傷害・病気からの自由

治療を受ける猫

正しく健康管理と疾病の予防がなされ、痛みや外傷・疾病の兆候がみられた場合はすみやかに診療・治療を受けられること。

4. 恐怖や抑圧からの自由

飼育動物に恐怖・不安・多大なストレスの兆候がみられた場合、すみやかにその原因を究明し、的確な対応を受けられること。

5. 正常な行動を表現する自由

その動物の習性を理解し、本来あるべき正常な行動が発現できる十分な空間や適切な環境が整えられること。またその習性に応じ、群れまたは単独で飼育されること。

まとめ

タワーでくつろぐ猫

日本にも、犬追物や闘犬等の文化があります。しかし、古代の凶作や人心不安時に飼育動物を束縛から解き放した放生の風習や、徳川綱吉による「殺生の禁令」の再三にわたる発令などから、動物を拘束したり殺生するのは良くないことだという日本独特の動物観が醸成されてきました。

そのため、日本人の伴侶動物への愛護の気持ちは、海外とは異質な部分もあるようです。しかし、自分本意に可愛がるだけではなく、5つの自由に配慮することで、愛猫との楽しく快適な生活を1日でも長く続けられるようにしたいものです。

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