猫にも感情がある
「猫に感情はありますか?」もしこの質問に答えを出すとするならば「Yes」だと思います。ただし、それは人が持つ感情とはまた異なったものになります。
人は、日々、様々な感情を抱きながら生活をしていますが、猫の持っている感情は私たちが思うほど複雑なものではありません。その理由は、猫がほとんどの場合、生命の安全性に基づく感情を抱く動物だからです。
気持ちがいい、安心できる、リラックスできるということであれば猫にとっては安全であり、空腹が続いている、縄張りが荒らされるような事態が発生している…という不安や嫌なイメージを抱くようなことは危険と判断とされます。この安全であるか危険であるかは、猫の感情を語る上で大きな柱となっているものなのです。
猫の感情を習性から読み取る方法
猫の感情を知るには、猫がどんな習性を持つ動物なのかを理解することが重要です。ここで猫の習性について解説していきたいと思います。
猫本来の生活と習性
本来、猫は、単独生活をする肉食動物で、自身の縄張りの中で自分より小さな動物を捕らえ食べる生活をしていました。そのため、他の猫と生活することや、縄張りを荒らされることは、自身が捕らえられる獲物が減ることや、生命の危機に瀕することを意味していました。
もちろん、自身の生活を守るべく縄張りから相手を追い出すこともできたでしょう。しかし、ケンカをすることは激しく体力を消耗する上に、ケガをする危険性が伴うため、無駄な争いは避けるというのが自然界の鉄則です。
元々、社交的な動物ではなかった猫は、仲間に出会わないようにすることで、お互いの生活を守り、無用な争いを避けてきたのです。
猫には争いを避けるための4つのルールがある
- なるべく他の猫に会わないように生活をする
- 絶対に目を合わせない
- 相手と近づきすぎないようにし、適度な距離をおく
- 他の猫に出会ってしまっても気づかないふりをするか、刺激をしないように通り過ぎる
猫の感情について、生活や習性からわかること
元々単独生活をする動物であることからもお分かりのように、猫が他の仲間とコミュニケーションをとる機会が余りない動物であったことは確かです。
このことは元々群れで生活をする動物だった犬や、社会生活を送る私たちとは違う観点からの意識と、複雑な感情を持つ必要性がなかったことが伺えます。ですから安全であるか、危険であるかということは猫の感情を動かす上でとても重要なポイントになっているのです。
猫の感情を表情やしぐさから読み取る方法
ここでは猫の表情やしぐさから感情を読み取るための一部ポイントを御紹介していきます。
表情から読み取る猫の感情
- 中くらいの瞳孔、瞳孔が大小に大きさが変わる、まぶたを細める、耳は自然な前向き → 安心、リラックスしている、とても気分がいい
- 耳をピント立てて一定方向に向ける、瞳孔を大きく広げる、ひげが張り前を向く → 興味をひかれている、注目している
- 目が合ったときにゆっくり目を閉じる → 安心、満足
- あくびをする→緊張、ストレス
- 耳を横に倒す、目を見開いて瞳孔を細くする → 警戒、防御
- 耳を伏せている、目を大きく開け瞳孔が真ん丸、ひげが後ろに引かれている → 恐怖
- 瞳孔が大きくなる、にらみつける、口を開け声を出す → 威嚇
しぐさから読み取る猫の感情
- 相手を見つめ、尾をピンと立てる → 甘えたい
- 速めに尾を左右に大きく振る → イライラ
- 腰をあげて尾を膨らませる → 怒り、驚き
- 体を小さくする、尾を股の間に挟む → 恐怖
- 前足でモミモミ → お母さんのお乳を飲んでいたころ思い出す、幸せ
- お腹を見せる → 安心、心を許している
まとめ
猫の感情についてお楽しみいただけましたか?野生時代からの生活や習性から見えた猫の感情は、私たちが思っているような複雑なものではありませんでした。
しかし親猫や兄弟猫を慕うような感覚で人に甘える猫の姿を目にすると、大切な家族の一員となった現代の猫たちの感情は、安全や危険という言葉だけで決めつけられるものではなく、経験や飼い主さんとの信頼関係が大きく影響しているものではないかとも思いました。
猫の感情の表し方には、それぞれ個性があると言います。お時間がありましたら御自宅の猫ちゃんを観察してみるのも面白いかもしれません。