1. 目をつぶって鼻を向ける
猫は、昼寝をしている時などに側に行くと、写真のような顔をして迎えてくれることがあります。目をつぶるというのは、「自分は君に危害を加えない。そして、君が何をしても気にしない」と相手に伝える行為です。つまり、相手を完全に信用している証しです。
例えばこの写真のキジトラ猫のしまちゃん。彼女はベッドで飼い主さんがやって来るのをずっと待っていました。そして、飼い主さんがついにやって来て布団の中に落ち着いた時、見せてくれたのがこの表情です。
あえて訳すなら、「そばに来てくれてとても幸せ!」
目をつぶって鼻を向け、キスでもしそうなおちょぼ口。おそらくこれ以上の「大好き顔」はないでしょう。満面の笑みともいえる愛らしい表情に、思わずこちらまで微笑んでしまいませんか?
2. 目を細めて見つめる
この写真もしまちゃんで、飼い主さんに挨拶をしているところです。
「目を細める」「まばたきをする」のは、猫族共通の挨拶です。相手が人間だった場合、通りがかりの人や家を訪ねてきた知らない人、そしてもちろん飼い主さんにも行われます。その意味は、「そこにいたのね。こんにちは」「ごきげんいかが」という一般的な挨拶にすぎません。しかし、早合点するのは間違いです。
猫の態度はその時々
人間の「こんにちは」の意味合いが相手によって変わるように、猫の場合も変わります。おっかなびっくり挨拶をしていることもあれば、このしまちゃんのようにご機嫌ムードを前面に出し、心を込めて挨拶をすることもあるのです。
しかも、大好きな相手には、猫の方から挨拶をするもの。ふと目をやった時に、ふわっとこんな挨拶を返されたら、舞い上がってしまいそうですね。
3. 帰宅時に熱烈歓迎をする
帰宅時にわざわざ出迎えに出るのも、大好き表現の1つです。ただし、その方法には何通りもの種類があります。
- しっぽを上げ、鳴きながら駆け寄ってくる
- 歩けないほど足にスリ寄る
- 足元をゴロゴロくねくね転がりまわる
- 角に激しく匂いつけをする
- 飛び跳ねて、頭をぶつけてくる
など。中には、ドアを開けた瞬間に飛びついてくる豪快な猫ちゃんもいます。
高齢猫の場合は、目の前でバッタリ倒れ込んでそのままじっと動かなくなることも。初めて見ると動揺しますが、おそらく年をとって身体が思うように動かないのでしょう。身体を投げ出し、姿を見せることでお帰りの挨拶に代えているようです。
大好きダンス
この写真の茶トラ猫は、栗ちゃん。飼い主さんが帰って来て、喜びのダンスを披露しているところです。
彼は、飼い主さんが帰ってくるとしっぽをピンと立てて駆けつけます。そして、玄関をゴロゴロ転がって大歓迎をするのです。その熱烈ぶりは、時にタタキに落ちてしまうほど。ここまで「大好き」を表現されると、飼い主さんとしては嬉しすぎ、寄り道どころか、出かけるのもいやになってしまうでしょうね。
4. 寝ている時くるんとひっくり返る
同じ大好きパフォーマンスでも、穏やかなバージョンもあります。
この写真は我が家のミルクです。昼寝をしているので近寄ったところ、くるりとひっくり返って喉を見せました。時折うっすら目を開けて、低く喉を鳴らしています。頭を撫でると、ますます機嫌がよくなります。
猫が気持ちよく眠っている時に飼い主さんが近寄ると、たまにこんなポーズをとることがあります。意味は、おそらく「ここで一緒に眠ろうよ」。そして、その原型は2通り考えられそうです。
授乳のときのポーズ
1つは、母猫の授乳ポーズ。猫の特集番組を見ていると、眠っている母猫の側に子猫が来た時に、無条件にこのポーズを取って授乳を促すシーンを見かけるからです。
遊ぼうのポーズ
もう1つは、遊ぼうよのポーズ。子猫とおとなの猫がいる場合、年長の猫が喉とお腹を見せ「かかっておいで」と誘うのが普通です。動物行動学者のコンラート・ローレンツは、これを「スイギュウとライオンの構図」と呼びました。ライオンの父親と子どももこの遊びをしますので、もしかすると、子どもをあやす意味があるのかもしれません。
いずれにしても、これは猫が最高にリラックスしている状態です。そして、その良い気分に大好きな飼い主さんを引き込んでしまおうとしているのです。猫のベッドではなかなか一緒に昼寝を楽しむわけにはいきませんが、ぜひその気分に応えてあげたいものですね。
5. 身体を寄せてくる
子ども気分が抜けないタイプの猫はいくつになっても抱っこを強要したり、膝を独占したりするものです。これも「大好き」を伝えるための猫の流儀の1つですが、おとなになった猫は、普通そこまで甘えないもの。「うちの猫は全然抱っこをさせてくれない」「キスを嫌がる」という猫も多いですが、独立系生物の猫にとっては、むしろそれが本来あるべき姿なのでしょう。
しかし、甘えたい気持ちがないわけではありません。そっと身を寄せることで「大好き」を伝えます。
- 遠からぬところでこちらを向いて眠る
- 控えめに鳴いて挨拶をし、そっと側にうずくまる
- いつも飼い主さんと同じ部屋にいる
など、気がついたらそこにいた、というケースが多いようです。
筆者宅の猫の場合
写真は、我が家の猫が甘えに来ているところです。彼はそれほど体調がよくないにもかかわらず、そばに寄って来ては身体の一部をつけていました。もしかすると、単に不安を解消するためだったのかもしれません。しかし、そんな時に頼りにしてくれるのですから、飼い主にしてみれば毎回「好き」と告白されているようなもの。クールな猫の「大好き」は、じんわり心に響くものなのです。
6. 触ってくる
手で誰かを触る時、その手ひらには気持ちがこもるものですね。そして、それは猫も同じこと。猫がそっと手(前肢)や鼻先を伸ばす時、優しい気持ちがこめられています。
例えば、猫が上機嫌でこちらを見つめながら写真のような動作をする時は、飼い主さんを自分の方へ引き寄せて抱きしめる、あるいはキスをしようとしている時です。
この写真のしまちゃんは、今まさに腕いっぱいに伸ばして、飼い主さんに触ろうとしているところです。ただし、このしまちゃんの表情は少々不満げ。甘えたい気分なのに撮影会が長引いているので、「写真撮るのなんか止めて、早くラブラブしよう」といっているのでしょう。
その他の表現
手の他にも、鼻をくっつけてくる鼻キス(鼻ちゅう)や、手や腕をペロペロ舐めることで、猫は飼い主さんに「大好き」を伝えます。優しいタッチのものから多少強引なものまで、その方法は猫それぞれですが、人間と同じように、猫も飼い主さんを撫でてあげたいと思う瞬間があるものなのです。
まとめ
今日のねこちゃんより:そら / ♂ / 雑種(ミックス) / 4.2kg
コミュニケーションとは相互的に作用するものですから、飼い主さんに全員に対して、ご紹介した「大好き」表現をするわけではありません。
また、猫の表現は犬とはかなり違うため、飼い主さんが理解できていないこともしばしばあるようです。それでも猫はたくさんの「大好き」サインを出しています。ぜひこの6つを参考にして、あなたの猫ちゃんの「大好き」サインをたくさん見つけてあげてくださいね。