ネコノミクスの経済効果は2兆円以上!
ネコノミクスとは
ネコノミクスとは、猫の生み出す経済効果のことを表す造語です。2015年頃から広まりました。すでにお気付きでしょうが、安倍晋三内閣の経済政策「アベノミクス」が語源となっています。
一口に猫の経済効果と言っても、内容は多岐にわたります。
- 猫の飼育にかかるフード代
- 猫のおもちゃ代
- ペット保険の費用
- 病院代、葬儀代
- 猫カフェや猫関連のグッズ、書籍、DVD、映画やゲームなどの売上げ
- 猫関連商品の売上げが伸びたことにより、懐が潤った関係者からの波及効果
これらすべてを合わせた経済効果をネコノミクスと呼びます。
ネコノミクスの経済効果
関西大学の宮本勝浩名誉教授によると、猫のもたらした経済効果は、2015年の1年間だけでも2兆3,162億円にも上るとか。
2兆円と言われても、なかなかピンときませんよね。筆者はきません!
参考までに、2017年度の復興庁の予算は1兆8,153億円。ベラルーシやブルガリア、エクアドルの国家予算も2兆円前後。2兆円分のお札を並べると、あとちょっとで地球をぐるっと一周できるほどの距離になるそうです。
どうやら凄い金額らしい……ということは、漠然とでも伝わりましたでしょうか?
ネコノミクスの背景
猫ブームの火付け役「たま駅長」
ネコノミクスの莫大な経済効果の背景には、現在も継続中の空前の猫ブームがあります。
2010年頃から始まった猫ブームの火付け役と言われているのは、和歌山電鐵貴志駅の「たま駅長」。三毛猫の女の子です。貴志駅の名物駅長として、国内だけでなく海外でも大人気になりました。テレビでもよく特集されていたので、ご存じのかたも多いのではないでしょうか。
たま駅長は2015年に亡くなり、現在は名誉永久駅長となりました。
猫のエンタメ事情
また、タレント猫も花盛りです。Y!mobileのCMでおなじみの「ふてニャン」(本名:春馬くん)、『猫侍』(ドラマ・映画)に登場した「玉之丞」(本名:あなごちゃん、さくらちゃん)、うめほのりのCMや『オトナ女子』(ドラマ)の「ちくわ」(本名:アリスちゃん)など、一度は目にしたことのある子がきっといるはずです。
2016年に公開された、猫がメインの映画『世界から猫が消えたなら』『ルドルフとイッパイアッテナ』『猫なんかよんでもこない。』なども話題を呼びました。
今人気のスマホゲームにも『ねこあつめ』『魔法使いと黒猫のウィズ』『白猫プロジェクト』など、猫に関するものが多く登場しています。
そして本屋さんに行くと平積みにされている、猫の写真集や特集本数々……。ネコノミクスと騒がれるのも納得の人気っぷりです。
SNSで自慢の愛猫を紹介する人も増え、そこで注目された猫がタレント化するといったケースも多いですよね。
筆者の実感したネコノミクス
一般庶民の筆者にとっては、アベノミクスよりもネコノミクスを実感する機会が多いような気がします。
猫グッズのショップにたくさんのお客さんが!
数年前に、日帰り旅行をしたときのことです。メイン通りから外れた住宅街の中に、携帯ストラップや箸置きなど、かわいい手作りの猫グッズを扱っている小さなお店がありました。
思わず入ってみたのですが、筆者の後からも若い女性や子連れのご家族などが次から次へと入店されていました。とくにお土産を扱っているようなお店ではなかったのですが、あまりの盛況ぶりに猫人気の高さを感じました。
和猫(日本猫)と一口に言っても、様々な色や柄があるので、選ぶ楽しみがあるのでしょうね。猫を飼っているかたなら、自分の愛猫に似た猫グッズを探すなんていう楽しみ方もできます。
猫柄の財布に換えると……?
現在筆者が愛用している財布は猫柄なのですが、この財布に換えてからお店での会計時、かなりの確率で店員さんに声をかけられるようになりました。こんなことは、他の財布を使っていたときには一度もありません。
「かわいいお財布ですね!」「どこで買ったんですか?」と皆さん口々におっしゃいます。どちらかと言うと女性好みのデザインだと思うのですが、男性の方からも好評です。
一度駅の券売機で財布を出すと、隣にいたご婦人が「それかわいいわね!」と話しかけてこられて、びっくりしたこともあります。
人々の猫への注目度が高いことには、本当に驚かされます。老若男女問わず、人を惹きつける強烈な魅力が、猫にはあるのかもしれませんね。
ネコノミクスの要因
ネコノミクスの重要な要因のひとつ、猫の飼育頭数も増加傾向にあります。数はまだ猫よりも犬のほうが上ですが、今後逆転する可能性も示唆されています。
人々が猫を好んで飼うようになった理由には、次のようなものが挙げられます。
日本の住宅事情
体や鳴き声の小さい猫は、日本の狭い住宅や、人気の高層集合住宅などでも飼いやすい動物です。
たしかに「大型犬を飼いたい!」なんて思っても、家のスペースがある程度ないと現実的ではありませんよね。
また猫は犬のように吠えないので、鳴き声が近所迷惑になってしまうという心配も少なくてすみます(発情期の鳴き声はかなりのボリュームですが……)。
大家族世帯の減少
単身世帯や高齢者のみの世帯が増加したことにより、散歩の時間をとらなくてよい猫が注目を集めるようになりました。1人暮らしで帰りが遅いとき、高齢で体がしんどいとき、犬だと散歩が気がかりですが、猫ちゃんは勝手に遊びに行ってくれます。
猫の性格への憧れ
現在は、コミュニケーション力がとても重要視される社会です。会社や学校での濃密な人間関係に疲れ切った現代人は、自由気ままでクールに人に接する猫に憧れをもつようです。「あぁ、自分もこんな生き方をしてみたい!」といった感じでしょうか。
猫に触ると癒され効果アップ?
猫は犬に比べて、触ったときに分泌されるオキシトシン(幸福ホルモン)の量が多いという研究結果があるようです。これは猫の毛が犬よりも滑らかで、触っていて気持ちが良いからではないか、と推測されています。
ネコノミクスで危惧されること
経済効果だけでなく癒し効果も抜群、愛猫家にとってはかわいい猫の姿を見られる機会が増え、もしかしたらうちの子もタレント猫に?なんていう夢を持てたりと、良いことずくめのように見えるネコノミクスですが、心配されていることもあります。
それは、ネコノミクスだ猫ブームだという世間の流れに乗って、安易に猫を飼ってしまう人が増えるのではないか、ということです。
動物医療の進歩により、昔に比べて猫の寿命も伸びました。完全室内飼育の場合、20年やそれ以上生きる猫もいます。決して短い時間ではありません。
一匹の動物の命を引き受ける重さをあまりわからない状態で、かわいいから、流行っているからと安易に猫を飼いだしてしまうことは、猫も人も不幸になる危険性をはらんでいます。
猫は生き物ですからいつまでも健康というわけにはいきません。病気やケガをしたときに、適切なケアをしてあげられるのか?飼い主の経済状況や家庭環境が、今と20年後では変わっていることも多いでしょう。そのときに飼い続けることができるのか?
そういった可能性をすべて検討し、覚悟を持って猫を飼うことが、私たち人間には求められているのだと思います。
まとめ
ネコノミクスと騒がれることによって、猫に注目が集まり、猫の魅力をたくさんの人が知ることができる今の状況は、もちろん良い面もたくさんあります。
ネコノミクスをきっかけに、本当の意味での猫好きさんも増えるでしょう。
しかし猫ブームが去り、ネコノミクスという言葉が忘れ去られたとき、一時の「ノリ」で飼われてしまった猫たちはどうなってしまうのか。一人の愛猫家としては不安になってしまいます。
「ネコノミクスなんて関係ないよ!今も昔も猫が大好きだし大切だよ!」というかたも大勢いらっしゃることでしょう。きっと、その考え方が一番大切なのだろうなと思います。
20代 女性 うづきまる
昨今ではコマーシャルに犬よりもむしろ猫の方が起用されるイメージがありましたが、ネコノミクスという言葉が出るくらいに猫は今や金の成る木だという事を実感しています。
住宅事情や家族構成等々を考慮すると圧倒的に飼育のハードルが低い猫の方が手が出しやすい気待ちは分かります。
しかし、犬ブームと同様に流行っているからと言って安易に猫を飼ってしまう飼い主も実際にいます。
特に芸能人ではペットを飼う事でテレビに出演オファーがかかる事もあるので、何匹も動物を飼っては時間が経過するごとに姿を見かけないケースが後を絶ちません。
したがって、ペットは人間の都合のいいおもちゃではなく、生き物だという事をより理解してもらう事が重要だと考えます。