里親募集の掲示板で1匹の猫と出会った
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「白血病陽性。片眼の可愛い黒猫ちゃん」最初にインターネットの里親募集記事を見たのは桜が咲いていた春頃だったでしょうか。詳しく見てみると、保護主さんのところで一度脱走をした経験があり、その時に白血病に感染してしまったとのこと。
仔猫の時に兄弟猫とともに保護されたそうですが、当時から酷い猫風邪があり、その後遺症で左眼が潰れているような状態。
『健康状態はよろしくないものの、人にはとても友好的で、優しい性格の美人猫です。』との紹介がありました。
添付してあった写真を数枚見てみると、確かに左眼に関しては全体的に灰色で濁っており、ほぼ失明しているのではないかと予想できる見た目ではありましたが、柔らかそうな黒い毛とリラックスした表情が印象的な女の子でした。
記事や写真を見て、何かとても引き込まれるような、運命的な何かを感じてはいたのですが、やはり猫の白血病は死の病。数カ月悩みました。悩んだ挙げ句、一度実際に会いに行ってみることにしたのです。
猫の保護主さんのお宅へ訪問
そのような訳で、初対面は真夏でした。保護主さんのお宅には既に何頭かの先住猫がいたため、仕方のないことですが白血病に感染しているこの子は完全に隔離され、寂しい生活だったのでしょうか、保護主さんと一緒に部屋へ入ると甘えるように鳴きながら寄って来てくれました。
写真では真っ黒に見えた毛色は、実は胸とお腹に白い模様があることも発覚。
初対面の私にも威嚇するどころか、足元に体を擦り寄せられあっという間に骨抜きに。そんな懐っこい子が部屋でたった一頭、どのように日々を過ごしていたのかと考えると、我が家に迎え入れたい、是非一緒に暮らしたいと思うようになりました。
奇跡の白血病陰転も、繰り返した眼球破裂
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晴れてうちの子となって、最初に決めたのは名前です。この子の場合、保護主さんよりとても素敵な仮の名前を付けて貰っていました。
「望みある一生を。希望に満ちた未来を。」
愛情と願いが込められた望という名前を引き続き使わせて貰うことに。
動物病院で受けた検査結果に驚愕!
そして生活にも慣れてきた頃。近くの動物病院へ連れていき、健康面のことを先生にお話しました。初診でワクチン接種と、再度白血病の検査も受けたところ、まさかまさかの陰性?!
先生曰く、このようなことも起こりうることなのだそうです。
左眼の眼球摘出手術
一番心配していた白血病という難題をクリアし、ホッとしていたのもつかの間。今度は失明している左眼が眼球破裂を繰り返すようになったのです。
望の場合、瞼が角膜に癒着して瞬きが出来ない状態であった為、ほんの少しの衝撃で破裂してしまうのだそう。左眼の眼球摘出手術を余儀なくされました。
術後の痛々しい姿、抗生物質が体に合わず下痢で苦しんだ姿、つらい痛いと訴えるような掠れた声。傷が癒えるまでは厳しい場面も多く、どれも忘れることの出来ないものですが、結果的に手術は大成功でした。
左眼がある時は慢性的なくしゃみや鼻水、涙も多かったのですが、術後はそれらの症状も非常に軽くなりました。
飼い主にもたらしてくれた幸福
望は自分自身のことのみならず、飼い主の私にも奇跡を呼び起こしてくれました。
望と家族になってたった二ヶ月後に出会った人と、今は結婚して夫婦となっています。夫も望の可愛さにメロメロで、この子は我が家のアイドルであり天使であり、かけがえのない大切な存在となりました。
先住犬とも仲良し♡穏やかな日々
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現在三歳になった望。目のトラブルは一切なくなり、よく食べよく寝てよく遊び、元気に過ごしています。
片眼となったハンディキャップはあるものの、高いところへの登り降りも難なくこなし、先住犬とプロレスごっこをして遊んだり、猛スピードで家中を駆け巡ったりと、日常生活に何ら支障はありません。
ちなみに先住犬の方が年齢は一つ上なのですが甘えん坊のおてんば犬なので、いつも望の方が負けてあげたり手加減してあげたりと、まるでお姉さんのように振る舞っています。
そんな姿を見るたびにあの時、望を引き取ると決めた自分の決断は間違っていなかったのだと感じます。
まとめ
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引き取った当初は白血病に感染していたこともあり、近い将来、最期を看取る覚悟でした。
五年先十年先のことなんて考えられなかったのが正直なところです。それがまさか、どんどん奇跡を起こして今では二十年先まで一緒にいて欲しいと願うようになったのですから、一寸先のことは誰にも分からないものですね。
奇跡は起きるのだと、望に出会ってたくさんのことを学びました。与えてくれる笑顔と幸せに感謝しつつ、一日一日を大切にしていきたいと思っています。
猫をお迎えするなら『保護猫』という選択肢を
ペットショップへ行けば可愛い子猫がたくさんいます。そこで出会う子が運命の子かも知れません、ペットショップを否定したい訳ではありません。我が家の犬はショップから購入した犬です。
ですがもし、保護猫という選択肢を考えてみてもいいかと思うなら、その思いを是非とも行動に移してみて欲しいなと思います。いつの日か、人間側の都合によって悲しい運命を背負わされる猫たちがいなくなりますように。そう願わずにはいられません。