猫を保護したらまずしたいこと!迎え入れるための第1歩を知ろう

猫を保護したらまずしたいこと!迎え入れるための第1歩を知ろう

自分が暮らしている地域で、ケガや病気で困っている野良猫を見かけることもあるでしょう。「うちの子」として迎え入れようと決めた時、飼い主さんになる人には、自分自身のためと猫のために、まず知っておきたいこと・やっておきたいことがたくさんあります。今回は、猫を保護した時の第1歩に何をすべきかをお話しします。

保護したい猫を見つけたら

のら猫の子猫たち

猫を家族として迎え入れるきっかけは様々です。中でも「猫を迎え入れる」とあらかじめ準備して、ペットショップやブリーダーから直接家族になった子とは異なり「猫を保護した結果迎え入れることになった」という場合では、最初は戸惑うことも多いはずです。

今回は、そんな保護猫を家族に迎え入れる飼い主さんの第1歩を考えてみましょう。

なぜ保護したいのか考えてみよう

ミルクを飲む子猫

まず考えたいのは「なぜその猫を自宅に連れて帰るのか」ということです。特に、地域猫として長く暮らしている子や、人慣れしていない子を迎え入れる時には「外」から「中」へ入るわけですから、猫自身が環境に慣れるかどうか未知数な所もあります。

また、ケガをしたり弱っている子猫を見つけた時には「かわいそう」「このままでは死んでしまう」と心配になって助けることもあるはず。そんな時には最善の手当てをしてあげなければ、と努力するでしょう。

保護した猫のケアをするためには、これからの自分のライフスタイルを猫に合わせて変えなければいけないことも出てきます。お世話しきれず中途半端になれば、猫だけでなく、自分自身も悲しい気持ちになるかもしれないという思いを持っておきましょう。

猫を連れて帰ることを決める時には、たとえ後で譲渡することを検討していても、まずは「その猫を一生お世話する覚悟」を持って保護してあげてください。

自宅が迎え入れられる環境かどうかを考えてみよう

外を見る猫と犬

「よし。この子を迎え入れる」と決めた時、次に自宅の環境が保護猫を受け入れられるかどうかを考えることも大切です。

  • 同居動物はいるか
  • 動物アレルギーを持つ家族はいないか
  • 家族の了承を得られるか
  • 猫が過ごすスペースをすぐに用意できるか

先住の動物がいる場合

まず第一として、同居動物がいれば保護猫から隔離しておく必要があります。その保護猫の健康状態や寄生虫の有無が分からないままでは、同居動物に万が一病気を移してしまう可能性があるからです。また、先住動物にとって突然自分のテリトリーに保護猫が現れれば、侵入者としてケンカをしたり、大きなストレスで体調を崩すことがあります。

家族の了承の必要性

そして、1人暮らしではない限り、家族のことも考えなければいけません。特に、猫アレルギーを持つ家族がいたり、自分が保護猫のお世話をする時間を確保する間、家族に協力してもらえなければ保護猫を迎え入れることは簡単ではないでしょう。

最後に、保護した子が子猫であっても成猫であっても、お家の環境に慣れるまではケージを用意したりと、過ごす場所を考えなければいけないこともあります。自宅にそのスペースがあるかも確認しておきましょう。

猫を保護したらまず何をする?

ロシアンブルーの子猫たち

猫を連れて帰ることに成功したら、まずはその猫がどんな状態なのかを知ることが大切です。

1. 猫にケガや病気はないか見る

タオルにくるまった子猫

おそらく猫を保護する理由の多くは、ケガや病気で弱っていたことから助けてあげたいと思ったことがきっかけであることが多いでしょう。その状態を詳しく把握するためには、まずは猫の体をじっくり観察してみましょう。

  • 出血している場所はないか
  • 骨折などで足を引きずったり、挙げたりしていないか
  • 体が濡れて冷えていないか
  • 目やにや鼻水で顔が覆われていないか

特に子猫で多い低体温は、すぐに温めてあげる必要があります。先にごはんをあげなければと思う人もいるでしょうが、体温が低い状態ではごはんを飲み込んだり食べたごはんを消化するために、胃腸を動かすことができません。

体が弱っている時に無理にごはんをあげ始めることは、逆にその保護猫を危険な状態に追い込むことになります。急激な体温の上昇は体に負担をかけるため、人肌程度に感じられるタオルを巻いた湯たんぽや毛布を使って、じっくり体を温めてあげましょう。

同時にケガや病気が外から見てわかる時には、できるだけ早く動物病院へ連れて行くことが大切です。

2. 体の汚れやノミはいないか確認

身体検査される猫

元気な猫であっても、ずっと外にいた子であれば体が汚れていたり、ノミが寄生していることが多くあります。特にノミは自宅の中のカーペットや布類などで、短時間かつ急激に繁殖を始めてしまいます。

人にもノミ刺咬症による酷いかゆみや、人獣共通感染症(ズーノーシス)をもたらすきっかけになる生物のため、自宅に迎え入れるならまずは、当然いると仮定して駆虫を行いましょう。

保護猫のシャンプーは、体の汚れが猫の状態に緊急的に及ぼさない限りまずは動物病院へ行くことを優先しましょう。体を水に濡らすことで猫がパニックになり、保護した人がケガをしたり猫自身が疲れて衰弱してしまう危険があるからです。

3. 動物病院へ連れて行く

動物病院で診察を受ける猫

ノミの駆虫を行うにも、ケガや病気の治療を行うにしても、その保護猫の健康状態を把握しながら今後の相談をするには、動物病院へ向かうのが1番です。できる限り保護したその足で連れて行くことを優先しましょう。

  • ノミや消化管内寄生虫の駆虫薬をもらう
  • 健康状態の把握、治療
  • ごはんの種類あげ方の相談
  • マイクロチップが入っていないか確認

ノミの駆虫を確実に行うなら、動物病院で獣医師から処方される医薬品を使用しましょう。ノミの駆虫薬の中には、野良猫がよく持っている消化管内寄生虫を駆虫する効果も持つ薬もあります。

治療が必要な時は

また、健康状態によって治療が必要な時には

  • どんな治療が必要なのか(自宅でのこれからの看護も含む)
  • いくら費用がかかるのか
  • 自宅で注意して見ておくべきことはないか

を一緒に確認しておくと、この後自宅で一緒に過ごしていく時、これからの通院が必要な時には安心です。

保護猫が子猫の時

子猫の場合はその子の健康状態や成長度合いによって、食べられるごはん、あげ方、1日にあげるべき回数が違ってきます。特に、離乳前の子猫を保護した時には、猫用ミルクをあげる時の誤嚥に対する注意点や、体温管理を慎重に行わなければならない場合が多いので、詳しく確認しておきましょう。

飼い猫かどうかを確認

そして、保護猫だけれど身なりが良かったり、人慣れしている子の場合は特に、「実は誰かの飼い猫ではないか」ということも確認したい所です。マイクロチップが入っている場合、動物病院にあるマイクロチップリーダーで読み取れるので、探している飼い主さんがいるかどうかを念のため確認しておきましょう。

保護した猫と自分自身の過ごし方を考えてみよう

抱っこされる子猫

保護猫の状態がある程度判明すれば、それからは室内の環境と、新たな「人」の家族に慣れていく時間の始まりです。また、自分がその子に合わせてどんな生活をしていくのか、慣れるまでの時間でもあります。

自宅に慣れるようゆっくり時間をかける

人の膝に乗る猫

保護猫にとって、室内は「初めて過ごす緊張する場所」です。最初から広いスペースを与えられると、保護猫は時に酷く緊張し、パニックになることがあります。

そのため、トイレ・ごはんを食べる場所が確保できるケージを用意し、その上から毛布などを掛けて暗めの環境を整えてあげましょう。猫にとっては「隠れることができる場所」にいることが、安心を得るためには必要です。

特に最初の1週間は、静かで騒がしくない場所に猫を置いてあげましょう。かわいがりたい気持ちをぐっとこらえて、リラックスして食事や排泄ができるようになるまで待ってあげてください。慣れてきたら、徐々にその子の行動範囲を広げてあげましょう。

お家の環境に慣れたらワクチンを

ワクチン接種を受ける猫

室内の環境と飼い主さん家族に少しずつ慣れたら、感染症予防の混合ワクチンを行いましょう。

連れて帰ったばかりの段階でワクチンを打つと、緊張や恐怖で大きなストレスがかかっている所にさらに体へ追い打ちをかけることになります。また、保護して数日後に体調が変化することもあるため、少し時間をおいて、保護猫の健康状態を確実に把握してから接種することをおすすめします。

猫エイズ(FIV)と猫白血病(FeLV)検査も忘れずに

診察を受ける猫

発症しても治療法が確立されておらず、対症療法に頼るしかない感染症です。野良猫では、お互いのグルーミングやケンカによって感染し、ウイルスを保有していることが多い病気のため、保護してからの血液検査は必ず1度は行っておきましょう。

感染してから1か月以上経たないと検査結果にうまく反映されないことがあるため、保護してから1か月を目安にまず受けてみてください。その間は、同居する予定の先住猫がいても、万が一の感染を防ぐために一緒にしないように隔離しておきましょう。

猫との生活に慣れていこう

眠る女性と猫

初めて猫と暮らす人の場合、まだ室内に慣れない保護猫中心の生活に、飼い主さん自身もなかなか慣れず苦労したという人もいます。せっかくの保護した猫との生活に疲れてしまうと、気持ちも下向きになってしまいます。

大切なのは、1人で保護猫を見守るのではなく、周りの人も頼るということ。

  • 家族と協力して保護猫のごはんトイレのお世話をする
  • 保護猫の体調で不安なことがあれば動物病院で聞く
  • どうしても不在にしなければいけない時には、動物病院のホテルなどを検討

自分の生活を崩しすぎず、頑張りすぎず、新しい家族を見守ることが上手に暮らしていく秘訣です。

まとめ

頭を撫でられる猫

猫を保護した時には、動物病院へ連れて行ったり、ごはんやトイレ用品・ケージなどの猫グッズを用意したりと大忙し。保護猫自身も、すぐに新しい環境に慣れる子から、慣れるまでに1か月以上の期間を必要とする子まで様々です。

保護猫も飼い主さんも、お互いが「新しい家族になる」という大きな1歩を踏み出します。急いで環境を変えるよりも、それぞれに合ったペースでゆっくり向き合うことを意識しながら、新しい環境に慣れていってくださいね。

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