猫の白血球が少ない病気3つ原因と症状、治療法について

【獣医師監修】猫の白血球が少ない病気3つ原因と症状、治療法について

たびたび猫の感染症について話題になりますが原因は病原体による感染で免疫機能を司る白血球が減少し体が弱くなり負けてしまうからです。白血球は体を守ってくれ生きる上で大事な働きを持っています。しかし白血球が少ない状態に陥ると侵入してきた病原体に対して体を守れなくなり負けてしまいます。症状が出てしまうと予後が厳しかったり子猫の場合は高い確率で命を落とします。どんな感染症が白血球を少ない状態にし猫の命に関わってきてしまうのか、原因などを含めてお話しします。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の白血球が少ない病気

白血球が少ない猫

1.猫汎白血球減少症

猫の伝染性の胃腸炎で感染力が強いウイルスであるため高い確率で命を落としてしまう病気です。特に免疫力や体力がない子猫やワクチン未接種の猫が非常にかかりやすく、子猫に感染した場合早いスピードで症状が進み1日足らずで命を落としてしまうこともあります。

猫の血液の白血球の数が正常値以下まで減少します。猫の白血球は侵入してきた細菌やウイルスなどの異物に対して攻撃し体を守ってくれる大事な働きがありますが、白血球が少ないとその細菌やウイルスに対して戦う力がなくなってしまうため合併症を併発しやすくなります。

2.猫白血病ウイルス感染症

猫の血液中の白血球や赤血球は骨の中にある骨髄からつくられています。しかし猫白血病ウイルス感染症になるとこの骨髄に影響をあたえてさまざまな疾患を引き起こします。リンパ腫や骨髄性白血病などのような造血器腫瘍、ヘモバルトネラ症、猫伝染性腹膜炎などの2次的なもの、口内炎なども症状として現れます。

猫白血病ウイルス感染症になると50〜70%の確率で2〜5年以内に命を落とし、子猫の場合は死亡しやすいです。

3.猫免疫不全ウイルス感染症

感染すると猫の白血球をつくってくれる骨髄の細胞を破壊してしまうため白血球が少ない状態になり、免疫力も低下してしまいます。そのため侵入してきた細胞やウイルスに対して体が抵抗できなくなり命を落とします。

また無症状のまま一生を過ごす猫もいれば免疫力の低下に伴い治りにくかったり、元気・食欲の低下、発熱、口内炎など様々な症状が現れることもあります。主に見られる症状を5つのステージに分けることができます。

①急性期

発熱やリンパが腫れる、下痢などをおこし猫の白血球の数が少ないです。この状態が感染してから約1〜4ヶ月間続きます。

②無症候性キャリアー期

急性期のあと潜伏期間に入るため症状が落ち着きます。その期間が数ヶ月〜数年続くこともあれば一生症状がでないまま過ごすケースもあります。

③持続型リンパ節腫大期

潜伏期間後ウイルスが活動し始めることによって免疫機能の働きをもつ猫の白血球も活発になります。そのためリンパが腫れることがあります。

④エイズ関連症候群期

徐々に免疫力が低下する影響で体内に侵入した細菌やウイルスなどに抵抗できなくなり口内炎や皮膚疾患、消化器疾患など様々な病気にかかりやすくなり、治りにくいです。

⑤後天性免疫不全症候群

免疫機能が全く働かなくなるため最終的に命を落とします。

猫の白血球が少ない原因

白血球が少なそうな猫

猫汎白血球減少症

原因

パルボウイルスが原因で非常に強いウイルスで外界で1〜2年は生存可能ともいわれています。また多くの消毒薬に対して抵抗性があるため感染が広がりやすいです。

主な感染ルートはパルボウイルスに感染した猫との接触や便・尿といった排泄物からの感染があげられます。また強いウイルスであるため感染猫に触れた手や衣服などでも間接的に感染したり胎盤を通して母猫から子に感染することもあります。

感染がおこると猫の白血球が著しく少ない状態に陥ります。

治療法

ウイルス自体強く消毒薬に抵抗性があるため完治することは極めて難しい病気です。また治療法がないためウイルスの増殖を抑制したり免疫力を維持するインターフェロンの投与や下痢などで失われた体内の水分を補う点滴のほか、二次感染予防で抗生物質の投与、下痢止めや吐き気止めの注射など対症療法しかありません。

猫白血病ウイルス感染症

原因

唾液や涙、血液などに白血病ウイルスが含まれているため感染している猫との接触や喧嘩による傷口、グルーミング時の舐め合い、食器の共有などが原因で感染します。舐めあいや食器の共有の場合は持続的に濃厚な接触がないと感染が成立しません。また母猫が感染していた場合、子猫にうつる母子感染もあります。

治療法

治療法がないため現れた症状に対して治療をおこなう対症療法となります。免疫力をあげるためインターフェロンや抗生物質の投与、貧血傾向の際は造血剤の投与や輸液・輸血が必要な場合もあります。

またリンパ腫を発症した場合は抗がん剤治療なども併用におこなうことがあります。

猫免疫不全症候群

原因

猫免疫不全ウイルスはFIV(猫エイズ)とも呼ばれています。一般的な消毒薬で消毒可能なウイルスです。血液や唾液などに含まれているため感染している猫との喧嘩による咬み傷や食器の共有などが原因で感染しますが健康な猫であれば自らの免疫機能でウイルスを活動を抑制することはできます。

しかしウイルスは一度感染すると猫の体内から消えることはできないため免疫力の低下時に症状が現れてくることが多いです。発症してしまうと免疫細胞が減少しているので、ウイルスの増殖を抑えることが難しくなり、さまざまな病原体に負けてしまいます。

治療法

現段階では的確な治療法が見つかっていないため発症後に猫の白血球の減少に伴い免疫力が低下するので細菌による二次感染を防ぐために抗生物質を投与することが多いです。

猫の白血球が少ない病気にかからないための予防法

座っている猫

猫汎白血球減少症の場合

感染力が非常に強いパルボウイルスですがワクチン接種することで防ぐことができます。このウイルスは特に子猫にかかりやすいため、子猫のときからしっかりとワクチンを打つことが大事です。

1回では免疫力を獲得することができないため必ず追加接種することも忘れずにおこないます。

パルボウイルスは野良猫の約10%の確率で保有しているといわれているため猫を完全室内飼いにすることです。また飼い主が外からパルボウイルスをもらってくるケースもありますので家に帰ってきたらその都度手を綺麗に洗い消毒します。

猫を多頭飼いしている場合は食器やトイレの共有などが原因で感染が蔓延しやすいので予防のためにそれぞれ別々の食器やトイレを用意すると良いです。

猫白血病ウイルス感染症の場合

ワクチンにより予防することができ3種混合ワクチン以上の4種または5種混合ワクチンなどを接種することです。通常の子猫の頃のワクチンスケジュールと同様に1回目のワクチンを打った1ヶ月後に2回目の追加接種が必要です。

その後は1年に1回の接種で猫の免疫力を維持することができます。

また最低週に1回は外に出ている猫のFIVウイルス保有率は23.2%の猫がウイルスを保有しているといわれています。感染している猫との接触で感染してしまうため、外に出さず室内飼いにすることです。

猫免疫不全症候群の場合

FIV感染がない場合は、ワクチンで予防し猫を外に一切出さないことしかありません。また脱走する可能性のある子は窓をロックしたりする工夫が必要だったり、外に出たがる場合は性ホルモンが関与していることもあるため去勢(避妊)手術をおこなうことです。

元野良猫や保護猫はウイルス検査を

猫白血病ウイルス感染症と猫免疫不全症候群はウイルス検査にて感染しているかどうか分かることができます。そのため野良猫を拾ってきたり保護団体から譲渡された猫はウイルスに感染している可能性があるためウイルス検査をする必要があります。

また多頭飼いの場合は全ての猫に対してウイルス検査を行い、感染の有無を確認します。感染している場合は他の猫との接触を控えなければいけないため部屋を隔離したり、食器やトイレを別々に用意し消毒をおこなどの対策が必要です。

また免疫力の低下により症状が現れたり悪化しやすいためストレスをなるべくあたえないように生活環境を改善することも大事です。

まとめ

横たわっている猫

猫の白血球は侵入してきた細菌やウイルスなどに対して攻撃してくれたり免疫力機能の働きなど体を守ってくれています。しかし白血球が少ない状態になると侵入してきた病原体に対して体が負けてしまいます。

慢性的な炎症が続き白血球が働きすぎた影響で数が減少することはありますが、特に猫の白血球減少が大いにみられるのは「猫汎白血球減少症」や「猫白血病ウイルス感染症」、「猫免疫不全症候群」の3つがあげられます。

感染してしまうと猫の白血球が少ない状態になり疫機能が正常働かなくなるため様々な病気や症状をひきおこしやすくなり、特に子猫の場合は死亡率が非常に高いです。また治療法がないため成猫でも症状が現れた場合予後は厳しいのが現状です。

「猫汎白血球減少症」「猫白血病ウイルス感染症」「猫免疫不全ウイルス感染症」はワクチンで予防することができるため子猫のうちから接種し、その後も毎年欠かさずにおこなうことが非常に大事になります。

また外に出さないように猫を完全室内飼いにしたり、元野良猫の場合はウイルス検査を受け同居猫の感染予防のために食器やトイレを別々にするなどの対策もおこなうとよいです。もちろんそれだけではなく飼い主さんが病原体を運んでくる場合もありますので帰宅したら手を綺麗に洗い清潔を保つことも予防に繋がります。

ほんの少しの行動でも積み重ねることによって危険な病気から猫を守ることができます。