猫はきゅうりを食べても大丈夫?

きゅうりは猫に与えても問題ない食材です。きゅうりには猫にとって中毒となる成分は含まれておらず、安全に食べられる野菜の一つに分類されます。
ただし、これは健康な猫に「適量」を「正しい方法」で与えた場合に限ります。与え方や猫の健康状態によっては、かえって体調を崩す原因にもなりかねません。
この記事では、猫にきゅうりを与える際の具体的なメリット、栄養素、そして最も重要な注意点を詳しく解説します。
きゅうりの栄養素と猫への健康効果

きゅうりはそのほとんどが水分(約95%)で構成されていますが、猫の健康維持に役立つ可能性のある栄養素も微量ながら含んでいます。
カリウム
カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出し、体液のバランスを整える働きを持つミネラルです。筋肉や神経の正常な機能維持にも関わっています。
ビタミンK
ビタミンKは、血液の凝固を助ける「止血ビタミン」とも呼ばれています。また、骨の健康維持にも役立つとされています。
ビタミンC
ビタミンCは、体の酸化(サビつき)を抑える抗酸化作用を持つ栄養素として知られています。
猫は体内でビタミンCを合成できますが、加齢やストレス、病気などにより消費量が増える時には、食事からも摂取するのがおすすめです。
きゅうりを与えるメリット

猫がきゅうりを食べることで、いくつかの健康的なメリットが期待できます。
低カロリー
きゅうりは100gあたり約14kcalと、非常に低カロリーな食材です。そのため、肥満が気になる猫や、体重管理が必要な猫のおやつとして適しています。
水分補給になる
きゅうりは約95%が水分です。猫はもともと水をあまり飲まない傾向があり、特に夏場や乾燥する時期は水分不足になりがちです。
食事やおやつから水分を補給できるのは大きなメリットです。
ただしきゅうりを好む猫は少ない
多くのメリットがある一方で、すべての猫がきゅうりを好むわけではありません。
猫は本来肉食動物であり、野菜特有の青臭さや食感を嫌う子も多いです。無理に食べさせる必要はまったくありません。
猫にきゅうりを与える際の注意点

きゅうりを安全に与えるためには、以下の注意点を必ず守る必要があります。
腎臓に疾患のある猫には与えない
きゅうりに含まれる「カリウム」は、健康な猫には問題ありませんが、腎臓の機能が低下している猫(慢性腎臓病など)には大きな負担となります。
カリウムをうまく排出できず、高カリウム血症を引き起こす危険があるため、腎臓に疾患のある猫には絶対に与えないでください。
冷たいきゅうりは与えない
冷蔵庫から出したばかりの冷たいきゅうりは、猫の胃腸を刺激し、下痢や嘔吐の原因になることがあります。与える場合は、必ず常温に戻してからにしてください。
皮は剥いて与える
きゅうりの皮は硬く、猫にとって消化しにくい部分です。消化不良を防ぐため、皮は必ず剥いてから与えるようにしましょう。
細かくカットして与える
猫は食べ物をあまり噛まずに丸呑みする習性があります。大きな塊のまま与えると、喉に詰まらせる窒息の危険があります。
必ずみじん切りにするか、ごく小さなサイコロ状にカットして与えてください。
アレルギーに注意
きゅうりはウリ科の植物です。非常にまれですが、ウリ科の植物にアレルギー反応を示す猫もいます。
初めて与える際は、ごく少量(米粒程度)にし、食後に嘔吐、下痢、口や顔の周りのかゆみなどの症状が出ないか、数時間様子を見てください。
味付けしない
人間用の味付けは絶対にしないでください。塩、ドレッシング、マヨネーズなどは、猫にとって塩分や糖分の過剰摂取につながります。
必ず生のまま、あるいは茹でたものを無味で与えてください。
きゅうりの加工品はNG
人間用のきゅうりの加工品(ピクルス、漬物など)は、猫にとって有害です。
大量の塩分、砂糖、酢、香辛料などが含まれており、猫の健康を深刻に害する恐れがあります。
猫にきゅうりを食べさせる際の適量

きゅうりはあくまで「おやつ」や「トッピング」として捉え、主食の代わりにはなりません。おやつの適量は、猫の1日に必要な総摂取カロリーの10%以内が目安です。
例えば、体重4kgの成猫(平均的なアメリカンショートヘアなど)の場合、1日のおやつで摂取してよいカロリーは約20〜24kcal程度です。
きゅうり(100gあたり約14kcal)で換算すると、1日に与えて良い量は多くても10g〜15g程度、小さじ1〜2杯ほどが限度となります。
たとえ1日に必要な総摂取カロリーの10%以内であっても、水分を多く含むきゅうりを一度にたくさん摂取すると、軟便や下痢につながる可能性があるので避けましょう。また、初めての場合は、さらに少ない量から始めてください。
猫がきゅうりに驚く理由

インターネット上の動画などで、猫が背後に置かれたきゅうりを見て飛び上がるほど驚く様子を見たことがあるかもしれません。これには猫の本能的な習性が関係していると考えられています。
猫は非常に警戒心が強く、縄張り意識の高い動物です。特に食事中やリラックスしている時は、自分にとって安全な場所であると認識しています。
その無防備な状態の時に、ふと振り返ると、今までなかった見慣れない物体(きゅうり)が突然自分の縄張りに侵入していることに気づきます。
猫は視覚的に、きゅうりの細長い形状を「ヘビ」などの捕食者や脅威と誤認識する、という説が有力です。予測していなかった「脅威」が至近距離にあると感じ、本能的な防御反応として、その場から一刻も早く離れようと飛び上がってしまうのです。
この反応は、猫にとって「面白い」ものではなく、極度の「恐怖」と「ストレス」を与えています。きゅうり自体を嫌っているわけではなく、予期せぬ物体の出現に驚いているのです。
愛猫の信頼関係を損ねる可能性もあるため、面白半分で猫をきゅうりで驚かせる行為は絶対にやめましょう。
まとめ

きゅうりは、中毒成分を含まないため、猫に与えても問題ない食材です。低カロリーで水分補給にも役立つため、おやつとして上手に活用できます。
しかし、与える際には「腎臓病の猫にはNG」「皮を剥き、細かくカットする」「常温で与える」「加工品は厳禁」といった多くの注意点があります。また、適量はごく少量に限られます。
猫がきゅうりを好まない場合は、無理に与える必要はありません。飼い主の判断のもと、愛猫の健康状態を最優先し、安全な範囲で食生活に取り入れるか判断してください。