猫の寝相別『隠れ体調不良』診断

猫の寝相別『隠れ体調不良』診断

猫の体調不良は、寝相からもある程度推測することができます。しかし、病名が分かるわけではありません。寝相から見えてくるのは、猫の体調の度合いです。1度写真を見ただけではなかなか分かりづらいかもしれませんが、その特徴と見方をご紹介しましょう。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

元気な時の猫の寝相(手足を投げ出している)

眠るサバトラ白の子猫

元気な猫の寝姿の基本形は、写真のように手足を投げ出して横たわっている姿だといわれています。肉球が上を向いているのは、逃げることを放棄していることを、脇腹を見せているのは、弱い部分をさらけ出しても平気なほど安心しきっていることを表します。

他にも、お化けポーズだったりへそ天だったり、完全にお腹をさらけ出し、急所である喉元まで出して眠っているポーズも、元気な寝相に含まれます。そして、元気な時は少々つついても簡単には起きません。いわゆる爆睡状態になっているのも、猫が元気な証拠です。

ただし、この姿勢は暑い時に手足やお腹を冷やすためのポーズでもあります。寒いと感じている時には、くるりと丸まった状態で爆睡します。

調子が悪い(ベタベタ甘えてくる)

シニアに抱かれるサバトラ白の子猫

寝相とは少し違いますが、普段それほど甘えてこない猫がしつこく抱っこをせがんだり、無理矢理膝に乗ろうとすることがあります。そして写真の猫のように腕の中で丸くなり、目を閉じてゴロゴロいうのです。いったいどうした風の吹き回しだろうと嬉しさ半分で思っていたら、実は具合が悪かった。そんな経験はありませんか?

人にくっつきたがる理由

人のお腹の上にいる猫

調子が悪い時、なぜか人にくっつきたがる猫がいます。考えられる理由その1は、寒気を感じるため人の体温で暖まろうとしている場合。理由その2は、今ひとつ調子が悪くて不安なので、飼い主さんにくっついて安心感を得ようとしている場合です。もちろん、両方の理由からかもしれません。しかし、猫が本格的に調子が悪いと感じた時には一切人を頼りませんので、これはまだそれほど辛いとは感じていない段階です。

とはいえ、これから熱が出たり、大きな病気の前触れだったりする可能性もないわけではありません。いつもと違って甘えるなと感じた時には行動を観察し、おかしなことがないかをチェックしてください。そして、おかしいと思ったらすぐ病院へ連れて行きましょう。健康診断を兼ねて病院を受診するのも早期発見につながります。

室温のチェック

毛布の上で寝る猫

そしてこの時、できれば部屋の温度もチェックしましょう。猫のいる床の上は人間の感じる室温より低いので、もしかすると「部屋が寒い」「脚が冷える」と訴えているのかもしれません。もしその可能性がある場合には原因は二の次で、まず部屋を温めてあげてくださいね。

もう少し調子が悪い(身体をかばうように丸めている)

丸くなるサバトラ白の子猫

写真の子猫は具合が悪いわけではありません。しかし、置いてきぼりをくったのでしょうか、退屈そうでしかも少し不安を感じているようです。頭を前肢の上に乗せてはいますが、すぐに走り出せるよう、肉球を床につけたたまま、お腹を守るように丸く縮こまっています。

猫の調子がもう少し悪くなってくると、これに似た姿でベッドや部屋の隅でうずくまるようになります。眠りも浅く、呼べばすぐ目を覚ましますが飼い主の呼びかけは多少うるさそうです。

1日出てこないこともあるので、気づくのが遅れることもありますが、食事時の様子で何となく分かるもの。気づいたら早めに病院へ連れて行きましょう。

具合が悪い(暗いところに引きこもる)

突っ伏して眠る茶トラ

写真の茶トラ猫も具合が悪いわけではありません。どうやら香箱の形でうつらうつらしているうちに眠り込み、突っ伏してしまったようです。

猫の具合がさらに悪くなっていくと、これに似た姿勢で暗い場所に引きこもるようになります。弱って反撃ができないので、安全なところに身を隠しているのです。そして四肢をたたみこみ、お腹も床につけて完全防備の体勢をとります。この状態の時に声をかけても、顔をそむけられるばかりです。

おそらく、高熱を出しているかよほど体調が悪いのです。すぐに病院へ連れて行ってあげてください。

最高に具合が悪い(身体を投げ出している)

布団の上で横になるキジトラ白

これは我が家の猫で、かなり調子が悪い時の写真です。

身体の具合が本格的に悪くなると、猫はもう何も構わなくなります。ベッドで寝ている時間が1番長いのですが、時々出てきては力尽きて倒れ込みます。元気な時と同じように、四肢を投げ出して脇腹を見せていますが、これは猫にとって1番楽な姿勢だからです。本当に具合が悪いと力も入らず、防御の姿勢が取れなくなってしまうのです。

我が家の場合は慢性病ですので、ゆっくりとこういう姿勢をとるようになりました。慢性病の治療中、このような姿勢を取ることが増えたら、それはターニングポイントかもしれません。早めにドクターに相談し、治療方針を検討することをおすすめします。

しかし、もし特に問題を抱えていない猫が急にこのような姿勢で力なく横たわっているようなら、身体の中でよほど深刻なことが起きています。すぐさま開いている病院を探し、一刻も早く治療を受けさせてください。

まとめ

丸まって眠る猫

猫も人間と同じです。調子がよければ身体の力を抜いて眠り、悪ければ縮こまり身体を硬くして眠ります。しかし、猫の寝相は様々で、見慣れなければ具合が悪いかどうかなかなか見分けがつきません。しかし、そんな時に頼りになるのが写真による記録です。

猫の写真が上手く撮れず、寝ている写真ばかりになると嘆いている飼い主の皆さん。それは、将来宝物になるかもしれません。時々出して見比べれば、不調を早期発見できるかもしれないのです。

眠っている猫の写真をボツにするのは止めましょう。そして、どこかのファイルに大切に保存し、時々見直してあげてくださいね。

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