猫が夜泣きする理由5つ
飼い主さんが寝ているあいだニャーニャーと猫が活発に動き回り、鳴き続けてしまう…それは「夜泣き」と呼ばれる猫の問題行動のひとつです。夜中に鳴き続けるため近所迷惑や不眠の原因となり飼い主さんにとって多大なストレスになりかねません。
猫がなぜ夜泣きをするのか、考えられる理由を紹介します。原因を知ることで猫の気持ちを理解できれば正しい対策をとり、夜泣きを軽減することもできるでしょう。
寂しさやストレスから夜泣きする
猫はとても敏感でストレスがかかりやすい動物です。不安や寂しさを感じて眠れずに夜鳴きしてしまう場合があります。
- 猫に適した生活環境が整っていない
- 飼い主さんが構いすぎる、構わなさすぎる
- 知らない人が大勢家に訪れる
- 飼い始めたばかりで飼い主さんや家に慣れていない
- 日中運動不足で体力がありまっている
上記のように猫にとって過ごす環境が不快であったり、運動不足、一人でいる時間が長すぎるなど、ストレスがかかる状態で不満がたまってしまうと夜眠れずに夜泣きしてしまいます。
去勢・避妊手術をしていない猫は発情期に夜泣きする
去勢・避妊手術をしていない猫が低く大きな声で「アオーン」と夜泣きしている場合は、発情して興奮している可能性があります。メス猫は発情期になると驚くほどの大きさの声でオス猫へのアピールのために鳴き、それに呼応するようにオス猫も鳴くことがあります。
しかもそれが猫の活動的な夜から明け方にかけて続いてしまうこともあり、飼い主さんにとってはかなりの負担になってしまうでしょう。
発情期による猫の夜泣きや異常行動などを避けるためにも早期避妊、早期去勢手術がおすすめされますが、去勢済みでも約10%の猫は発情行動が起きてしまう場合もあります。必ずなくなるというわけではありません。
認知症の可能性がある
猫にも認知症があることをご存じでしょうか?認知症の猫は人間と同じく、飼い主が分からなくなったりトイレが上手に出来ない、ご飯を何度も欲しがるなどの症状が見られます。猫は認知症になりにくいですが、大体14歳以上の老猫でそのような行動がみられば認知症を疑う必要があるでしょう。
認知症になると昼夜逆転してしまうことも多く、夜泣きにつながってしまいます。今まで抑えていた理性が認知症により上手く抑制できず自己主張が強くなり、寝ている飼い主に「構ってほしい!」と訴えかけるように大声で夜泣きする場合もあります。
子猫は空腹や寂しさから夜泣きをする
生まれて間もない子猫は母猫の姿が見えなくなると、空腹や不安で寂しくなり夜泣きしてしまいます。引き取ったばかりの子猫は初めての環境、初めての人、母猫の不在でかなりの不安と寂しさを抱えています。
普段の食事のタイミングの変化などが原因の空腹で夜泣きする場合もあるので、子猫が何を訴えかけているかよく観察してあげましょう。
運動不足や遊び足りなくて夜泣きする
猫は日中ほとんど寝ていて夕方ごろから起きだしてくるということが多いですよね。そして夜に飼い主さんと遊んだり運動したいという気持ちから夜泣きすることがあります。
特に単頭飼いで日中飼い主が不在である場合、夜飼い主さんが帰ってきてから昼間の運動不足を補うように活発に動くようになります。飼い主さんが寝てしまってからも体力が有り余っているため欲求不満で夜泣きをして、飼い主さんを起こして遊んでもらおうとするのです。
猫が夜泣きする時の対処法
猫が夜泣きするからと「うるさい!」と怒鳴ったり叩くなどして叱ることは絶対にやってはいけません。猫はなにか伝えたくて夜泣きしているため、叱られることで、強いストレスや恐怖を感じてしまいます。
猫の夜泣きには理由があり、その理由に沿った正しい夜泣きの対処法をとって猫と飼い主さんお互いのストレスの軽減を目指しましょう。
寂しさからの夜泣きする場合は構いすぎない
寂しくてかまってほしい場合の夜泣きは飼い主さんにとってかなり心苦しいかもしれませんが、心を鬼にして無視することをおすすめします!特に子猫は寂しさで夜泣きすることが多いです。
しかし、夜泣きする度に甘やかしてかまってしまうと、賢い猫は「鳴けばかまってもらえる」と覚えてしまい、夜泣きの頻度が多くなってしまう可能性が大いにあります。
猫が夜一匹でも寂しくないように、ケージに快適に過ごせる寝床を準備し、そこに飼い主さんの匂いがするものを置いておいたり、一匹でも遊べるグッズなどを設置するなど工夫して寂しさを紛らわせることが出来るようにしてあげましょう。
認知症が疑われる行動があったら獣医師に相談する
もし老猫に少しでも認知症の疑いが見られたら、もう年だし認知症だろうなと素人判断で決めてしまうのではなく早期に動物病院に連れて行き、獣医師に相談しましょう。ホルモン異常や脳腫瘍、胃不全などの病気にかかっている可能性があります。
早い段階で病気が発見できれば薬やサプリでの治療も可能ですし、症状の悪化を防ぐこともできます。そしてもし病気ではなく認知症だと診断されればその対策を取ることで猫の夜泣きを解消することもできるでしょう。
老猫はコミュニケーションをたくさんとってあげ、優しく接してあげることが大切です。留守番させる際でも落ち着く音楽を流しておいたり、電気とテレビをつけておいたりと感覚が鈍ってきている老猫にとって安心する環境を準備してあげましょう。
猫の生活環境を整える
敏感な動物である猫にとってストレスになりうる事柄は生活の中でたくさんあります。猫が快適に過ごすために飼い主さんが改善してあげられるポイントを紹介します。
- トイレのサイズが合っていていつも清潔
- 深夜空腹にならないよう計算してごはんを与える
- 室温湿度が猫にとって不快でない状態
- 寝床が安心できる快適な空間
ストレスの原因を取り除き、猫にとって快適な生活環境を整えてあげることで、猫も安心して夜でも過ごす事ができ、夜泣きを防止することが出来ます。
寝床に関してはケージなどに準備しているのではなく、一緒に寝ているという飼い主さんも多いと思います。猫にとってそれが安心できるのであれば問題ありませんが、無理やり一緒に寝かせていたりするとストレスになっている可能性もあるので、猫の様子を見て猫にあった場所で寝かせてあげましょう。
日中にたくさん遊び、運動不足を解消する
夜にしっかり寝てもらうためにお昼にたくさん遊ぶことをおすすめしますが、日中お仕事に行っていてかまってあげられないという飼い主さんでも、帰宅後には必ずスキンシップを取ることを心がけ、猫が喜ぶおもちゃなどで遊んであげるなど運動不足をしっかり解消させましょう。
日中に遊ぶことで猫が昼寝する時間も物理的に少なくなると、夜によく寝てくれるようになるでしょう。飼い主さんと少しづつ生活リズムが合うようになり、完全にとはいきませんが夜泣きを減少させることは出来るでしょう。
激しく鳴く場合は病気を疑う
夜泣き対策をしてみても、夜泣きが激しくうるさいと感じる程ひどい場合は「甲状腺機能亢進症」という病気を疑いましょう。
「甲状腺機能亢進症」とは老猫がかかってしまうことが多く、喉のあたりにある甲状腺からホルモンが異常に多く分泌されてしまい、猫の身体の様々な内臓機能に負担がかかる病気です。
激しい夜泣きとともに、食欲低下や多飲多尿などの症状があれば、腎臓に異常があるかもしれません。また、性格が攻撃的になったり嘔吐や下痢という症状も表れます。
病気というと治らないのではと心配になる飼い主さんもおられると思いますが、甲状腺の手術だけでなく投薬や、療法食などの治療法もあるので、少しでも不安があればすぐに動物病院へ受診しましょう。
猫は薄明薄暮性であることを理解しよう
「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」という言葉をご存じでしょうか?日の出前後と日の入り前後、空が薄暗い時間帯に活発的に活動する動物の性質のことです。
猫は人間が眠っている時間に活動的になることが多いので夜行性だとよく勘違いされますが、実はこの「薄明薄暮性」に分類されます。この性質により、自分の活動時間に飼い主さんと遊びたくて構ってほしいと夜泣きをしたりしてしまうのですね。
人間の生活サイクルとは全く違うため、完全に夜泣きをなくすということは出来ません。しかし、夜行性ではないということは飼い主さんの工夫と対策次第で「深夜」には夜泣きせず寝てもらえる希望もあると考えられるでしょう。
まとめ
猫は人間に迷惑をかけたくて鳴いている訳ではありません。夜泣きの理由は様々ですので悩んだ際は猫の年齢や病気の可能性も考えてよく猫を観察しましょう。夜泣きの原因を探り、改善することは飼い主さんの工夫と頑張り次第です。
自分だけでは難しいと感じた場合は獣医師に相談することもおすすめです。猫と日常のコミュニケーションや遊びを大切にし、飼い主さんが夜泣きに対して根気強く対処することできっと猫も答えてくれるでしょう。