猫に陣痛が来ている時の様子
猫が一回の出産で生む子猫の頭数は3~5匹ほどです。猫が全ての子猫を出産するまでは、およそ2~3時間かかるといわれています。猫の出産するまでの過程で、「陣痛期→開口期→産出期→後産期」の4つに大きく分けられます。陣痛がくる最初の段階が、この「陣痛期」に当たります。
猫に陣痛が来ている時の様子
猫が陣痛がきている様子の動画を、YouTubeからピックアップしました。この動画の母猫は、行動に落ち着きがなく、ソワソワして、陰部を気にして舐めており陣痛がおきていることが分かります。
陣痛がくると自分の体や陰部をよく舐める
陣痛とは「子宮収縮による痛み」のことで、陣痛期は更に痛みが増し、陣痛は20~60分 続きます。陣痛による痛みで母猫は、自分の体や陰部をよく舐める行動をとります。自分の体や陰部を舐める行動は、陣痛による痛みを紛らわすためといわれています。しかし陣痛が1時間以上も長い場合は、難産の可能性があるため獣医師よる診察が必要です。
呼吸が息苦しく、ソワソワして落ち着きがない
猫が破水した後、およそ15分で陣痛が始まります。陣痛の痛みで母猫は苦しく、呼吸が荒く、落ち着きのない様子でグルグルと歩きまわる、床に擦り付けるなどの行動がみられます。また猫は、通常、体温は38度程ですが、陣痛を迎えると、体温が1~2度程低くなる傾向があります。
粘り気のある透明な分泌物が出てくる
猫に陣痛がきている時に、膣から粘り気のある透明な分泌物が出てくるようになります。ですがこの分泌物の色が、濃い緑色や、茶色っぽい場合や、分泌物の臭いがキツイと感じた場合は、胎盤剥離、細菌感染や死産・流産している可能性がありますので、直ちに獣医師による診察が必要です。
陣痛後15~30分の間隔で出産
陣痛期後、子宮が収縮したことにより子猫が産道を通り、15~30分の間隔で1匹ずつ子猫が生まれてきます。通常は、夜中~朝方の時間帯に陣痛がおき、出産を始めます。母猫は生まれてきた子猫と、つながっているへその緒を噛み切り、鼻先を舐めて呼吸させるように促します。
1匹、子猫が生まれてきた後に胎盤も一緒に出てきます。胎盤は子猫1匹に対して、それぞれ付いているので「子猫1匹出産→胎盤が出てくる」の順番で出産をします。ですが稀に子猫が全て生まれた後に、胎盤がまとめて出てくることがあります。
必ず胎盤と子猫の数が同じなので、出産後は胎盤の数と生まれてきた子猫の頭数が同じかどうか確認します。母猫は出てきた胎盤を食べます。これは身の回りを綺麗に整え、自分の栄養補給にもなることから、食べる行動をとっているといわれています。
猫に陣痛が来ている時、飼い主はどうすればいい?
優しく側で見守ることも大事な選択肢
猫の陣痛が始まり、子猫を出産する過程で、基本的に私たち飼い主が手を差し出すことはありません。
無事に子猫が生まれると母猫は、母性本能が目覚めるので、生まれてきた子猫に対して体を舐めたりなど、お世話をするようになります。そのため、私たちが手を差し出してしまうと、かえって母猫が子猫に対して、育児放棄してしまう恐れがあるからです。
また出産が近づいてくると母猫は神経質になり、陣痛が始まる頃には更に警戒心が強くなるので、大事な自分の子供を自分以外に触られることをとても嫌います。
例外時の対応
難産で子猫がなかなか出てこない場合や、生まれてきた子猫に対して母猫がお世話しない様子が見られた際には、手助けしてあげましょう。
母猫が自然と母性本能を目覚めさせるには、側で優しく見守ってあげる選択肢も大事です。
猫が安心できる出産場所を整えてあげる
猫は陣痛が始まり出産が近くなると、巣作り行動をとるようになります。猫が安心して出産できる場所は薄暗く、周りに囲まれているところです。陣痛が始まる頃に、母猫が本能から、自分が安心して出産できる場所を探し、巣作り行動をとり始めますが、私たち飼い主が出産場所をつくってあげるとよいと思います。
条件と適切な場所を決めたら、タオルや毛布を何枚か用意し、敷いてあげましょう。
猫が安心して出産できる場所
- 周り(四隅)に囲まれている
- 狭いところ
- 薄暗い
- 人通りが少なく静かなところ
- 乾燥している
狭いところが安心するので、ダンボール箱などを用意すると良いです。その中に毛布やタオルを何枚か敷いておきます。また、普段使っている猫の毛布や、匂いがついたものを一緒に入れておきましょう。
室温管理や冷房の風を直接当てないように配慮する
猫は人よりも体温が2~3度高く、暑いのが得意な動物です。しかし陣痛が始まると、母猫は平熱よりも2~3度体温が下がり、生まれてくる子猫も非常に体がか弱く、体温が下がりやすいため、出産場所の室温に注意する必要があります。
暑い真夏の季節でも、およそ28度くらいにしましょう。また冷房や扇風機を使う場合も、母猫や生まれてくる子猫に、直接当たらないように避けておくようにしましょう。
出産後の母猫や生まれてきた子猫の状態をチェックする
私たち飼い主が手を差し伸べるのは出産後です。注意すべきなのは、生まれてくる子猫だけではありません。
母猫は出産でとてつもなく体力を消耗しているので、無事子猫を出産した後に体調に問題ないか注意する必要があります。ご飯をしっかり食べているか、出血していないか、子猫も元気かどうかチェックをします。出産後は母猫はとても疲れているので、近くにご飯や水、トイレを用意してあげると良いです。
出産直後の母猫は体力の消耗により、食欲が落ちる傾向があります。しかしこの時の母猫は、普段よりも倍以上の栄養が必要ですので、高栄養の食事をしっかりあげて、カルシウム不足にならないように注意します。
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子猫の出産後で、母猫の体調が悪くなる兆候、及び症状としては発熱やケイレン、食欲不振などです。少しでも異変を感じた場合は、直ちに獣医師による診察が必要です。
出産が近い時の猫の仕草
猫の陣痛が始まると、いよいよ出産が近づいてきます。猫の陣痛は、20分から1時間ほど続き、出産へとなります。
警戒心が強くなり攻撃的になる
陣痛がおき、出産が近くなると、母猫は母性本能により警戒心が強くなり、普段は大人しい子でも出産が近くなるにつれて神経質になり、飼い主に対しても攻撃的な行動をとるようになります。人も、我が子を守ることと同じように、猫も大事な自分の子供を守るためなのです。
いつもと違う鳴き声をする、飼い主に甘える
陣痛から出産に至るまで、母猫は警戒心が強くなる一方で、飼い猫の中には、普段と違う鳴き声を発して、もうすぐ出産が近いことを飼い主に知らせることもみられます。また陣痛がおき、出産が間近になる頃になると、飼い主に対して甘える行動をとることもあるそうです。
破水や出血(おしるし)
陣痛が始まり、出産する兆候で、破水や出血(おしるし)が出てくることがあります。人と同じように、猫も出血(おしるし)が出てきた後に出産が始まることもありますし、先に破水がおきて、出産する場合もあるそうです。
陣痛の兆候
陣痛がおきた時の兆候でもある、グルグルと歩き周り、落ち着かない様子や、陰部をよく舐める、巣作り行動(床を掘るような行動)は、出産が近づいてくる時にでもみられます。
まとめ
猫は一回の出産で3~5匹ほどの子猫産むため、陣痛から全ての子猫を出産するまで2~3時間ほどかかります。陣痛は20分~最大で1時間続きます。母猫は陣痛による痛みでグルグルと歩き周り、落ち着かない様子や、自分の体や陰部をよく舐める行動をとるようになります。また陣痛が続くほど、痛みで苦しみ、横になった状態で呼吸が荒くなる様子もみられます。
猫が出産する過程で手を差し伸べてしまいそうですが、それは生まれてきた子猫に対し、育児放棄する原因をつくってしまいます。また母猫は、警戒心が非常に強くなっているため、下手に手を出してしまうと攻撃されてしまう恐れがあり危険です。
そのため側で優しく見守ってあげて、もし陣痛が長引いている、分娩が滞っていると感じた場合は、すぐに獣医師による診察を受けましょう。
猫は本能的に出産場所を探して巣作り行動をとりますが、私たち飼い主が安心して出産できる場所を、事前に整えておくことも大事だと思います。また温度管理にも配慮し、出産後の母猫や、生まれてきた子猫の状態に、異変がないかどうか注意する必要があります。