猫の必須アミノ酸「タウリン」
タウリンは、猫にとって欠かせない大切な必須アミノ酸です。成長や繁殖に必要な栄養素であるだけでなく、タウリンは目の健康維持、肝臓や心臓の機能を正常に保つ効果があります。
タウリンは、てんかんの発作を減少させる効果があるとも言われており、てんかんの治療の補助薬として使われることがあります。以前はタウリンの必要性が知られておらず、タウリン不足が原因で命を落とした猫も多かったそうです。
それほど大事な栄養素であるタウリンですが、猫はタウリンを体内で生成することができません。食べる物で摂取するしかないのです。猫のタウリンの1日の必要量は、AAFCO(米国飼料検査官協会)によると体重4.5㎏の猫で約60~80mgだそうです。
タウリン欠乏症ってなに?
網膜萎縮
タウリンが不足することで、目の網膜が縮んだり薄くなります。次第に視力が落ちて、進行すると失明することもあります。視力が低下するため、猫が物にぶつかりやすくなったり、反応が鈍くなるので、飼い主さんが気がつくことが多いようです。
拡張型心筋症
拡張型心筋症になると、心臓の筋肉が薄くなり、心臓が大きくなってしまいます。心臓の働きが弱まり、体に十分な血液がまわらなくなります。元気がない、食欲低下、体温低下などの症状が現われます。
生殖機能障害
妊娠したメス猫がタウリン不足だった場合、流産や死産の可能性が高くなったり、生まれた子猫の発育不全などが引き起こされます。タウリンは、猫の妊娠・授乳期は特に必要な栄養素なのです。またオス猫の場合は、精巣発達不全になることがあります。
総合栄養食を食べていればタウリンは不足しない
猫にとって欠かせないタウリンですが、ではどうやって与えたらいいでしょうか。タウリンは魚介類や動物の内臓に含まれていますが、熱に弱いので加熱調理すると減少してしまいます。
だからといって、スーパーで販売されている加熱用の生肉をそのまま猫に与えるのは危険です。生肉を与える場合は、ペット用の新鮮な物を選びましょう。
ただ、生肉を与えなくても、普段食べているフードで、タウリンは基本的にはまかなえます。総合栄養食のキャットフードは、栄養バランスを考えて作られているので、それだけで猫に必要な栄養素を満たすことができるのです。
パッケージに総合栄養食と描かれたフードを主食にしているなら、タウリンが不足する心配はありません。AAFCO(米国飼料検査官協会)ではタウリンの最低基準が定められており、猫の総合栄養食にはタウリンが配合されるようになっていすからです。
手作りごはんの場合は、タウリンが不足することが考えられるので、サプリメントで補うことをおすすめします。タウリンは過剰摂取になっても副作用もなく、尿と一緒に排出されます。
猫用のおすすめタウリンサプリ7選
ディーエイチシー (DHC) パーフェクトビタミン+タウリン50g
タウリンの他、猫に必要なビタミンAやビタミンD、ビタミンE、葉酸など12種類のビタミンが摂取できる粉末状のサプリです。そのままか、フードに混ぜて与えます。食物繊維配合で、毛玉にも配慮しています。
メディマル (medimal) メディマル (medimal) タウリンキャット 15g
原材料はタウリンとコラーゲンペプチドのみ。タウリンだけを与えたい時はおすすめです。
フェロビタII猫用 70.9g
タウリンを強化した、ビタミンやミネラル配合の高カロリーサプリメントです。下部尿路疾患に配慮し、マグネシウムは低濃度に抑えてあります。ツナフレーバーのペーストタイプで猫ちゃんが食べやすいです。高齢猫や食欲がない時の栄養補給におすすめ。
ペタッグ (PetAg) アニマルサポートフォーミュラ(タウリンタブレット)
高齢猫の目の老化抑制におすすめのタウリン配合サプリメントです。タブレットタイプで、そのまま手から与えるか、細かく砕いてフードと混ぜて与えます。原材料は自然素材を使用しています。
フェロフォーム 50粒
タブレットタイプのサプリメントです。タウリンの他、ビタミン、ミネラル、DL-メチオニンを配合しています。高栄養で妊娠・授乳期におすすめです。
サイペット (CYPET) タウビタB 60ml
タウリンとビタミンB群が摂取できる液体のサプリメントです。そのままか、フードに混ぜて与えます。体力の低下時におすすめです。
猫スタミノール 食欲 50g
タウリンの他にビタミン、ミネラル、DHAを配合したペースト状のサプリメントです。子猫や高齢猫の栄養補給におすすめ。おやつやしつけのごほうびとしても与えられます。猫ちゃんが食べやすいまぐろ味です。
猫用タウリンサプリメントの選び方
配合量で選ぶ
タウリン配合のサプリメントは、タウリン以外の栄養素が含まれていることが多いです。タウリンは過剰摂取でも尿で排出されますが、他のビタミン、ミネラルなどが過剰摂取になる危険性があります。
タウリンは過剰摂取で副作用が出ることはありませんが、記載されている必要量は守って与えましょう。
人間用のサプリメントは猫には絶対に与えないで下さい。人間のサプリメントを与えると、タウリン以外の栄養素の過剰摂取になったり、中には猫にとって害になるものもあります。必ず猫用に配合されたものを与えて下さいね。
摂取目的で選ぶ
妊娠中や授乳期でタウリン不足が心配な時や、食欲がなくフードだけでは必要なタウリンが摂取できない時など、摂取目的で選びます。
サプリメントは、薬ではありません。タウリンのサプリメントを与えたからといって、病気が治癒したり体質が改善するわけではないので、効果を過信しすぎないようにしましょう。あくまでも栄養補助として、健康維持のために摂取するものです。
食材で摂取するのもおすすめ
食材でタウリンを摂取するならホタテががおすすめです。ホタテのタウリンは、魚介類の中でも特に多く、豊富に含まれています。ホタテを与える時は、必ずボイルするなど火を通して与えて下さい。
生の貝にはチアミナーゼが含まれており、これはビタミンB1を破壊してしまうからです。チアミナーゼは、加熱することでなくなります。加熱したホタテの貝柱の部分を小さくカットし、1度にたくさんあげすぎないよう気をつけましょう。
腎臓病などの場合は動物病院で相談を
腎臓病などで通院している猫ちゃんの場合は、飼い主さんの判断でタウリンを与えるのではなく、必ず獣医さんに相談の上でサプリメントを与えて下さい。体調が気になる猫ちゃんも、動物病院を受診して、獣医さんに相談してから与えましょう。
まとめ
タウリンは、猫にとって欠かせない大切な必須アミノ酸です。猫は体内でタウリンを生成することができないので、食事が重要になります。ただ、難しく考える必要はなく、総合栄養食のキャットフードを食べていれば、タウリンが不足することはありません。
タウリンの不足が心配な場合はサプリメントを与えるという方法もありますが、他の成分が配合されている物も多いので、それらが過剰摂取にならないよう注意しなければなりません。タウリンは、過剰摂取になっても排出されるので心配ありませんが、必要量は守って与えましょう。