猫はほうれん草を食べても大丈夫?

ほうれん草は猫に与えても問題ない食材です。
ただし、シュウ酸が含まれているため、必ず茹でた上で少量だけ与えるようにしましょう。生で与えることは避けてください。
また、シュウ酸カルシウム結石による健康悪化のリスクが高い尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に問題のある猫には与えないでください。
ほうれん草の栄養素と猫への健康効果

ほうれん草には猫の健康維持に役立つ可能性のある栄養素が含まれています。代表的な栄養素と、猫への健康効果について解説します。
鉄分
鉄分は、血液中のヘモグロビンの主成分です。ヘモグロビンは体中に酸素を運ぶ役割を担っており、健康な血液を維持するために不可欠なミネラルです。
ビタミンK
ビタミンKは、血液の凝固(出血した際に血を固める働き)に必要な栄養素です。怪我をした際の止血プロセスに関わるため、猫にとっても重要なビタミンの一つです。
食物繊維
ほうれん草には食物繊維も含まれています。適度な食物繊維は、腸の運動をサポートし、便通の改善に役立つことが期待されます。
猫にほうれん草を与える際の注意点

ほうれん草はメリットがある一方で、与え方には十分な注意が必要です。猫の健康を守るために、以下の点に注意してください。
毎日与えるのは避ける
ほうれん草には「シュウ酸」という成分が含まれています。シュウ酸は、体内でカルシウムと結合しやすい性質を持ち、これが尿路で「シュウ酸カルシウム結石」という石の原因になる可能性があります。
特に、過去に尿路結石の診断を受けたことがある猫や、尿のトラブルを抱えやすい猫には、与えない方が賢明です。健康な猫であっても、リスクを避けるために毎日与えるのはやめましょう。
消化不良に注意する
猫は本来肉食動物であり、野菜に含まれる食物繊維の消化は得意ではありません。
ほうれん草を一度にたくさん与えすぎると、食物繊維の過剰摂取となり、消化不良を起こして下痢や便秘になる可能性があります。
アレルギーに注意する
これはほうれん草に限りませんが、猫によっては特定の食べ物にアレルギー反応を示すことがあります。
初めてほうれん草を与える際は、ごく少量(指先にのる程度)から始め、食後に嘔吐、下痢、皮膚のかゆみなどの異変がないか、数日間は注意深く様子を観察してください。
猫にほうれん草を食べさせる際の与え方・調理法

猫に安全にほうれん草を与えるためには、下ごしらえが非常に重要です。以下の調理法を守ってください。
しっかりと茹でる・アク抜きする
ほうれん草を生で与えるのは絶対に避けてください。しっかりと茹で、アク抜きするようにしましょう。
注意点で述べた「シュウ酸」は水に溶けやすい性質(水溶性)を持っています。たっぷりの湯でほうれん草をしっかりと茹でてから茹で汁を捨て、その後冷水にさらす(アク抜きする)ことで、シュウ酸の量を大幅に減らすことができます。
細かくカットして与える
茹でてアク抜きをしたほうれん草は、猫が消化しやすいように細かく刻むか、可能であればペースト状(すりつぶす)にしてから与えましょう。
猫は食べ物を丸呑みする習性があるため、大きなままだと喉に詰まらせたり、消化不良の原因になったりします。
猫にほうれん草を食べさせる際の適量

猫にほうれん草を与える場合、あくまで「おやつ」または「主食(総合栄養食)へのトッピング」として、ごく少量に留める必要があります。
おやつやトッピングの量は、1日に必要な総カロリーの10%以内に抑えるのが原則です。
茹でたほうれん草のカロリーは非常に低いため(100gあたり約20kcal)、体重4kgの成猫(1日の必要カロリー約200kcal)の場合、おやつ分のカロリー(約20kcal)をほうれん草だけで摂るのは現実的ではありません。
具体的な目安としては、茹でて刻んだものをティースプーン1杯程度、多くても大さじ1杯を超えることのないようにしましょう。主食の栄養バランスを崩さないことが最も重要です。
まとめ

ほうれん草は、猫にとって必須の食材ではありませんが、適切に処理すれば与えても問題ありません。
与える場合は、必ず「茹でてアク抜き」をし、「細かく刻んで」「ごく少量」をトッピングやおやつとして与えるようにしてください。
特にシュウ酸による尿路結石のリスクや、消化不良には十分注意が必要です。愛猫の体調や持病(特に尿路疾患)を考慮し、不安な場合はかかりつけの獣医師に相談してから判断しましょう。