猫は鱈(タラ)を食べても大丈夫?

鱈(タラ)は猫に与えても問題ない食材です。高タンパクで低脂質な鱈は、猫にとって良い栄養源となります。
ただし、与え方にはいくつかの重要な注意点があります。安全に楽しんでもらうためにも、正しい知識を持って与えるようにしましょう。
鱈(タラ)の栄養素と猫への健康効果

鱈には猫の健康維持に役立つ様々な栄養素が含まれています。主な栄養素と、猫に対する健康効果について解説します。
良質なタンパク質
タンパク質は、猫の筋肉、皮膚、被毛、爪など、体を作るための基本的な栄養素です。鱈にはこのタンパク質が豊富に含まれており、猫の健康な体作りをサポートします。
ビタミンD
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける働きがあり、骨や歯の健康維持に欠かせません。人間とは異なり、猫は日光浴ではビタミンDを体内で合成できないため、食事から摂取することが重要です。
ビタミンB群
ビタミンB群(B6、B12など)は、エネルギー代謝を助けたり、神経機能の維持に関わったりする重要な栄養素です。皮膚や粘膜の健康を保つためにも役立ちます。
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)
鱈に含まれるオメガ3脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸の一種です。血液をサラサラにする効果や、関節などの炎症を抑える働きが期待でき、皮膚や被毛の健康維持にも良い影響を与えます。
猫に鱈(タラ)を与える際の注意点

栄養豊富な鱈ですが、猫に与える際にはいくつかの注意点を守る必要があります。安全のために必ず確認してください。
骨に注意
鱈の骨は、特に加熱すると硬くなり、猫の喉や消化器官に刺さる危険があります。
与える前には、必ず骨を丁寧に取り除いてください。細かくほぐしながら、指で確認すると確実です。
生で与えない
生の鱈には、チアミナーゼ(アノイリナーゼ)という酵素が含まれていることがあります。
これは猫の体内でビタミンB1を破壊してしまう酵素で、大量に摂取し続けるとビタミンB1欠乏症を引き起こす可能性があります。
寄生虫(アニサキス)に注意
生の魚介類には、アニサキスなどの寄生虫がいる可能性があります。
アニサキスは猫にも寄生し、激しい腹痛や嘔吐を引き起こします。チアミナーゼや寄生虫のリスクを避けるため、鱈は必ず中心部までしっかり加熱してください。
人間用の加工品は与えない(チータラなど)
人間用に味付けされた加工品は、猫に与えてはいけません。
例えば、おつまみの「チータラ」や干物、かまぼこ、塩鱈などは、猫にとって塩分や糖分、添加物が過剰です。これらは腎臓や心臓に負担をかける原因となります。
鮮度に注意
猫に与える鱈は、人間が食べるものと同様に、新鮮なものを選んでください。
鮮度が落ちた魚はヒスタミンという物質を生成し、これがアレルギー様の食中毒(ヒスタミン食中毒)を引き起こすことがあります。
アレルギーに注意
猫にも食物アレルギーがあり、魚がアレルゲン(アレルギーの原因物質)になることがあります。
初めて鱈を与える際は、ごく少量から始め、食後に嘔吐や下痢、皮膚のかゆみなどがないか、数日間は体調を注意深く観察してください。
猫に鱈(タラ)を食べさせる際の適量

鱈はあくまで「おやつ」や「トッピング」として与えるようにし、主食のキャットフードを基本にしてください。
おやつやトッピングとして与える場合の適量は、猫が1日に必要とする総摂取カロリーの10%程度が目安です。一般的な成猫(体重4kg)の場合、1日に必要なカロリーは約200〜240kcalとされています。
その10%は20〜24kcalとなります。生の鱈(マダラ)の可食部は100gあたり約70kcalですので、1日に与えても良い量は多くても30g程度までとなります。
ただし、他のフードやおやつも考慮して量を調整してください。
猫に鱈(タラ)を食べさせる際の与え方・調理法

猫に鱈を与える際は、必ず加熱し、味付けは一切しないでください。骨を丁寧に取り除き、食べやすい大きさにほぐしてから与えましょう。
茹でる
最もシンプルで安全な調理法です。鍋にお湯を沸かし、味付けをせずに鱈を茹でます。
中心部まで火が通ったら取り出し、骨や皮を取り除いて冷ましてから与えます。
蒸し焼きにする
電子レンジを使うと手軽です。耐熱皿に鱈を入れ、少量の水を加えてラップをし、加熱します。
旨味や栄養素が逃げにくい方法ですが、加熱ムラが出ないよう注意し、中心部までしっかり火が通ったことを確認してください。
焼く
フライパンやグリルで焼くことも可能です。ただし、油は一切使用しないでください。
焦げ付かないように注意し、中までしっかり火を通します。焼いた後、骨や焦げた部分は取り除いてください。
まとめ

鱈は、高タンパク・低脂質で猫の健康に良い栄養素を含む食材です。
しかし、「必ず加熱する」「骨を完全に取り除く」「味付けはしない」「人間用の加工品は与えない」といった重要な注意点を守る必要があります。
適量を守り、安全な調理法で愛猫の食生活を豊かにしてあげましょう。