猫にぶどうを与えるのはNG!

ぶどうは猫に絶対に与えてはいけない食材です。
猫にとって、ぶどうは極めて毒性が高く、命に関わる危険な状態を引き起こす可能性があります。
これには、皮や種子を含む生のぶどうだけでなく、干しぶどう(レーズン)や、ぶどうジュース、ぶどうパンなどの加工品もすべて含まれます。
飼い主がぶどうの危険性を正しく理解し、猫が口にしない環境を整えることが非常に重要です。
猫の「ぶどう中毒」の危険な症状

猫がぶどうを摂取すると、重篤な中毒症状を引き起こすことがあります。最も警戒すべきなのは、腎臓への深刻なダメージです。
急性腎不全を引き起こす
ぶどう中毒の最も恐ろしい点は、猫の「急性腎不全」を引き起こすリスクがあることです。
急性腎不全とは、腎臓の機能が急激に低下し、体内の老廃物を尿として排出できなくなる、命を脅かす深刻な状態を指します。
一度障害を受けた腎臓の機能を完全に回復させることは難しく、早期の治療が不可欠となります。
代表的な症状
ぶどうを食べてから、数時間から24時間以内に症状が現れることが多いです。
初期症状として、嘔吐や下痢を繰り返すことが多く見られます。また、食欲が全くなくなり、ぐったりして動かなくなるなどの元気消失も代表的なサインです。
症状が進行すると、腎臓の機能が低下するため、水をたくさん飲む「多飲」や、尿の量が増える「多尿」が見られ、やがて尿がほとんど作られなくなり、腹痛を訴えることもあります。
猫が「ぶどう中毒」を引き起こす量の目安

猫におけるぶどうの正確な中毒量は、実はまだ明確に解明されていません。
そのため、どんなに少量であっても猫にとっては危険であると認識することが大切です。猫の品種や個体差によっても、症状の出方は異なります。
「ぶどうを舐めた」だけでも危険?
たとえ果汁を舐めただけでも、中毒症状を引き起こす可能性は否定できません。
中毒を引き起こす原因物質が特定されていないため、「このくらいなら大丈夫」という安全な量の基準が存在しないのが現状です。愛猫の命を守るためには、舐めさせただけでも動物病院に相談するのが最も安全な選択です。
「ぶどうの実」はどのぐらい食べたら危険?
猫の場合、ぶどうを一粒食べただけでも、重篤な中毒に陥る危険性があります。猫の個体差によっては、ほんのひとかけらでも危険な状態になることを覚えておいてください。
猫がぶどうを食べてしまった場合の対処法

もし愛猫がぶどうを食べてしまった、あるいはその疑いがある場合は、症状が出ていなくても、すぐに動物病院へ連絡し、指示を仰いでください。ぶどう中毒は時間との勝負であり、迅速な対応が愛猫の予後を大きく左右します。
飼い主ができる対処法
まずは落ち着いて、かかりつけの動物病院や夜間救急病院に電話をしてください。
その際、「いつ」「何を(ぶどうの種類や加工品か)」「どのくらいの量」を食べた可能性があるかを、できるだけ正確に伝えましょう。自己判断で無理に吐かせようとするのは、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)などを引き起こす危険があるため絶対に行わないでください。
動物病院での処置
動物病院では、ぶどうを食べてからの時間や猫の状態に応じて、適切な処置が行われます。
食べてから時間が経っていなければ、催吐処置(さいとしょち)によって胃の中のものを吐かせたり、毒素を吸着する活性炭を投与したりすることがあります。また、腎臓を保護し、毒素の排出を促すために、静脈点滴を数日間行うのが一般的です。血液検査で腎臓の数値を定期的に監視し、状態の改善を目指します。
まとめ

ぶどうやレーズン、またそれらの加工品は、猫にとって命に関わる危険な食べ物です。中毒量は個体差が大きく、舐めただけでも、たった一粒でも重篤な症状を引き起こす可能性があります。
テーブルの上に置いておいたぶどうを盗み食いしてしまう、床に落ちたものを口にしてしまうといった事故は、どのご家庭でも起こり得ます。ぶどうは猫の手の届かない場所に厳重に保管してください。
万が一、愛猫がぶどうを口にしてしまった場合は、様子を見ずに、ただちに動物病院を受診することが、愛猫の命を救うために最も重要な行動です。