なぜ猫にコーヒーを与えてはいけないのか?
コーヒーにはカフェインという成分が含まれています。
これは、眠気や疲労を取り除いて集中力を高めたり、運動機能を高めたりする作用があり、「仕事しながらコーヒーを飲もう」「勉強中に眠くならないようにコーヒーを飲もう」という方は多いと思います。
ですが、猫と暮らしている方は要注意です!置いておいたコーヒーを猫がなめてしまったら最悪の場合、命に関わることもあります。
人には適量のカフェインは良い作用もありますが、人より体の小さい猫にとっては、悪影響を及ぼしかねないものなのです。
また、コーヒーが猫の忌避剤として使用されていることはご存じでしょうか。
猫は基本的にコーヒーの匂いが嫌いです。ですから、猫よけ対策としてコーヒーの出がらしを花壇などにまいて、ふんやマーキングをする行為を防ぐために使っている家庭もあるほどです。
しかし、猫がコーヒーの匂いを危険ではないと学習するとまた元に戻ってします。猫は見て学習する生き物ですから、コーヒーが自分に身近であればあるほどコーヒーの匂いに慣れやすくなります。
ですから、匂いが嫌いだから舐めないでしょと思うのは危険です。猫にコーヒーは絶対に与えてはいけません。
猫がコーヒーを飲んだ時に起こる中毒症状
猫がコーヒーを飲んでしまった場合には、1~2時間の間に下記のような中毒症状が現れます。
- ふらつき
- 動悸がある
- 呼吸が荒れる、呼吸困難
- 興奮状態になる
- 下痢
- 嘔吐
- 排尿回数が増える
- 失禁する
カフェインの作用により中枢神経が刺激されるため、強い興奮状態(全身の毛を逆立てて走り回るなど)が見られるのですが、全身の血管が拡張してしまうと命を落とすこともあります。
また人間も同じですが、カフェインの利尿作用によってトイレの回数が増えます。やたらトイレの砂を掘っているなと思ったら、やはり尿意を強く感じているのでしょう。
これらの症状は2時間以内に出ることが多いですが、2時間以上経過した後にも見られる場合もあります。
猫にとって危険なコーヒーの摂取量
猫がひとなめしたからと言って、必ずしも命に関わるという訳ではありません。健康な成猫であれば少量の摂取では症状がでないことも多いでしょう。
猫のカフェイン摂取による致死量の目安は、体重1㎏あたり100~200㎎で中毒症状が現れる摂取目安量は、体重1㎏あたり20㎎と考えられています。
コーヒーであればカップ1杯くらいですが、そこまでたくさん飲む猫は少ないでしょう。しかし体の小さい子猫や、身体が弱っている老猫には少量であっても危険ですので、特に注意が必要です。
また、コーヒーというと飲み物に注意が向きがちになりますが、コーヒーの粉、豆にもカフェインは含まれますので注意しましょう。これらは、猫が砂と間違えて遊ぶ可能性があります。
猫がコーヒーを誤飲しないための対策
猫は基本的にコーヒーの匂いを好みませんので、積極的にコーヒーの近くによる猫は少ないです。しかし、中には匂いが好きな猫や慣れてしまっている猫もいます。
100%誤飲をしない猫などはいませんから、猫だからと油断をするのは危険ですので、日ごろから家族全員がコーヒーを誤飲させないための対策を行うことが大切なのです。
対策をすると言っても、四六時中猫を監視しているわけにもいきませんから、どのようなことを注意して対策するべきかをご紹介いたします。
コーヒーカップやマグカップなどを放置しない
コーヒーの入ったカップなどは、その場から離れる際に片づけましょう。もし、猫がカップをこぼしてしまい体にコーヒーが付着したら、それをなめてしまうかもしれません。
実は、猫はきれい好きな動物なので体についたものをなめとることが多いです。また、カップの中がミルク入りのカフェオレなら、ミルク好きの猫は舐めてしまうかもしれません。
目を離した隙になめてしまうことも十分にあり得ますので、必ず片づける習慣をつけましょう。
コーヒーの粉はしっかりした容器で保存する
コーヒーの粉は密着性のある容器に入れて保存してください。簡単な缶の入れ物などでは、猫が誤ってまき散らしてしまうことがあります。
その際に体についた粉をなめてしまう可能性がありますし、まき散らした粉をトイレにしてしまうかもしれません。そのようなことを防ぐためにもきちんとした容器で保存しましょう。
コーヒーが含まれているお菓子を与えない
コーヒーが含まれているお菓子と言えば、コーヒーゼリーやコーヒーチョコなどがありますね。特に、コーヒーチョコやクリームの乗ったコーヒーゼリーなどは本当に危険です。
この記事では触れませんがチョコレートや生クリームも猫には危険な食品です。
お菓子はおいしいですから愛猫にもつい分けてあげたくなりますが、お菓子を食べることによって、もちろんカフェインを摂取してしまうことになりますし、これをきっかけにコーヒーに慣れてしまうかもしれません。
どうしてもおやつを与えたくなったら、猫用のおやつを与えてくださいね。
消臭に「コーヒーかす」を使わない
コーヒーを抽出した後の「コーヒーかす」や豆かすには消臭・脱臭効果があることはご存じでしょうか。
ふつうゴミとして捨ててしまう「コーヒーかす」ですが、消臭・脱臭効果も抜群であり、なによりエコにもなりますので使っている方も多いのではないかと思います。
ですが、猫と暮らしている方にはお勧めできません。「コーヒーかす」を消臭・脱臭剤として再利用する場合、薄い袋や簡易的な入れ物に入れて使うことが多いかと思います。
コーヒーの匂いになれた猫にとっては嫌なものではありませんから、簡単に口にすることができます。また、普段隠すように置いているものですので、猫がイタズラしたことに気づきにくいということもあります。
このようなことを防ぐためにも、猫と暮らしている方はコーヒーかすの再利用は控えましょう。
子猫のうちからしつけておく
コーヒーだけでなく、カフェインを含む食べ物、飲み物は食卓にたくさんあふれています。
それらすべてを毎日隠したり、対策したりすることは大変ですし、もしかしたら忘れてしまうかもしれません。そのようなことから愛猫を守るために、しっかりとしつけておくことは良い対策の1つです。
〈しつけの例〉
- キッチンやテーブルの上に乗らせない
- 人の食べ物を口にさせない
- 出かける場合はゲージに入る
既に成猫であった場合、しつけるのは少し難しいかもしれませんが根気よく愛猫に教えてあげてください。
ですが、しつけをしたからと言って、上記で紹介したような対策を怠ることいけません。しつけはあくまでも普段の対策+αとして思ってくださいね。
猫がコーヒーを飲んだ時の対処法
コーヒーを飲んだ時の対処法として最初にお伝えしたいのは、「家庭でできる対策はありません」ということです。コーヒーだけでなく、他の危険な食品や異物を飲んでしまった場合にも同じことが言えます。
よく塩で吐かせるとか、オキシドールで吐かせるとかがありますが、吐けない場合に塩を過剰に与えると、高ナトリウム血症になることもありますし、オキシドールは食道や胃の粘膜のただれの原因にもなります。
ですから「飲んでしまったところを見た」もしくは「飲んだかもしれない」というときは、たとえ中毒症状が現れていなくても早めに動物病院を受診してください。
時間が経ち症状が悪化すれば、全身麻酔をかけた胃の洗浄など負担の大きい処置をしざるを得ないことになってしまいます。ですが早めに対処ができれば、処置を行うにしても催吐処置や下剤の処方など比較的負担の少ない方法で済むことも多いです。
動物病院に連れて行こうとすると、嫌がる猫がほとんどかと思いますが愛猫のためにも素早い対応が必要です。
また動物病院を受診する際には、下記のことを伝えられるようにしましょう。
- いつ飲んだのか
- どれくらいの量を飲んだのか
- どんなコーヒーを飲んだのか
コーヒーのパッケージ(成分が書かれているものが望ましい)があれば持参しましょう。獣医師がどのような処置が適切であるのか判断するのにとても役に立ちます。
まとめ
今回、猫にコーヒーを与えてはいけない理由と、その対策などご紹介させていただきました。
雑食性である犬に比べて、肉食性が強く慎重な猫の誤食は少ない傾向にありますが、絶対に誤飲しないという訳ではありません。
誤飲から猫を守るためにも家族一人ひとりが対策をし、猫にとって安全な生活空間を作ってあげることが大切です。実際に飲んでしまったらすぐに動物病院を受診することは鉄則ですよ。
特にコーヒーがお好きな方は、愛猫と幸せな日々を過ごすため、正しい知識を身に着けておくのが良いですね。