猫の回虫の薬の効果や種類、値段について

猫の回虫の薬の効果や種類、値段について

猫に回虫がいる時、どうやって薬を飲ませたらいいかご存知でしょうか。回虫に寄生していた場合は駆虫薬を投与する必要があります。駆虫薬とは実際にどんな薬なのか、投与する際に気をつけることなどをまとめてみました。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の回虫の薬について

ケージの中から見つめる保護猫

猫の回虫症は自然と治すことはできないため、駆虫薬を投与する治療が必要になります。

外に出てしまうと駆虫薬の意味がなくなってしまうため、治療する際は完全室内飼いにし、駆虫薬を定期的に投与をします。

猫が回虫に感染する経路

猫の回虫症は、ネコ科動物を宿主とし小腸に寄生をする内部寄生虫です。回虫に感染された猫の排泄物(糞便)には、虫卵が存在し、土の中でしだいに感染力を持つようになります。

その周りの土や地面、水たまりなどで長く生存できるため、猫が経口的に摂取した場合や、回虫に感染しているネズミを捕食することで感染します。

また、母猫が回虫に感染していた場合、母乳や胎盤を介して子猫に感染します。子猫が感染していると、他の兄弟猫も感染していることが多いです。

回虫に感染すると下痢や嘔吐などをおこし、小腸に寄生している影響で、栄養を取られてしまい食べても体重が減り、特に子猫の場合は、命を落とす危険性があります。

野良猫の約半分以上が回虫に寄生されているといわれており、非常に感染率が高い寄生虫でもあります。回虫症は、猫だけではなく犬や人にも感染をします。

排泄した糞便に白くて細長い虫が出てきたことで、初めて猫が回虫に感染したことに気づくケースが多いです

猫の回虫の薬の種類

錠剤の薬を飲むグレーの猫

猫回虫薬の効果

基本的に駆虫薬は回虫を含め、内部寄生虫を殺滅し、糞便と一緒に体外へ排出を促す作用をもつ薬です。

回虫が、虫卵から成虫になるまで2週間ほどといわれています。その発育期間に合わせて、駆虫薬を投与して2週間後に糞便検査を行い、糞便中に駆虫できなかった虫卵がみられた際は、もう1回、駆虫薬を投与します。

猫の回虫の薬 錠剤タイプ

猫の回虫に効く錠剤タイプの駆虫薬で、猫回虫を始め瓜実条虫や猫鉤虫などに効果がある「ドロンタール錠」があります。

ドロンタール錠を含め、錠剤タイプの駆虫薬の場合、体重に合わせて量が変わり、およそ子猫が1/2錠、成猫は1錠〜1・1/2錠です。

ドロンタール錠は動物病院で処方することもできますし、Amazonなどのネット通販でも入手することができます。動物病院では、1回あたり駆虫料は500円ほどですが、ネット通販の場合1箱(24錠入り)で8000円〜9000円ほどかかってしまいます。

1頭あたりでおよそ1〜2回(錠)で使用することが多いため、複数頭飼育している場合はよいでしょう。

通常の錠剤と同じように、猫の口を開けた状態で薬を入れ、スポイトで水を飲ませるのですが、猫が嫌がって難しい場合は、病院で投与することもできます。

駆虫薬を飲ませる前に、猫が回虫に寄生されているかどうか糞便検査を行う必要があります。しかし、便の中に寄生虫の卵が見つからなくても脂肪や筋肉内に寄生していることもあります。動物病院で検査できますので、糞便容器に便を入れて持参しましょう。糞便検査で虫卵が見つからなくても定期的に駆虫を行うほうがよいでしょう。

猫の回虫の薬 スポットタイプ

錠剤タイプの駆虫薬の場合、嫌がって薬を飲んでくれないことがよくあります。最近では、飲む駆虫薬ではなく、皮膚に投与するスポットタイプの駆虫薬があります。

「ブロードライン」や「レボリューション」「プロフェンダー」などがあげられ、ブロードラインやレボリューションは回虫だけではなくノミやダニ、フィラリアなどの寄生虫にも効果があります。

「ブロードライン」Sサイズ(2.5㎏以下)とLサイズ(2.5㎏〜7.5㎏)

ノミの駆除及び予防、マダニ駆除、フィラリア症予防、回虫や鉤虫・条虫・瓜実条虫の駆除効果があります。

ブロードラインSサイズの購入は→ こちら
ブロードラインLサイズの購入は→ こちら

「レボリューション」(2.5㎏以下と2.5㎏〜7.5㎏)

ノミの駆除及び予防、ミミヒゼンダニ駆除、フィラリア症予防、回虫駆除の効果があります。

スポットタイプは、猫の皮膚(首の後ろ)に直接薬剤を投与するだけなので、負担がなく、誰でも簡単に使用することができます。効果が1か月ほど効くので、駆虫だけではなく寄生予防もできる薬なのでオススメです。

レボリューションの購入は→こちら

ブロードラインやレボリューションは、動物病院で投与や処方してもらうこともできます。1本あたり1500円〜2000円ほどかかりますが、動物病院によっては多少値段が前後します。

猫の回虫の薬を投与する際の注意点及び予防法

外を見ている一緒に暮らす五匹の猫

多頭飼いの場合は、全ての猫に駆虫薬の投与や糞便検査を行う必要があります

多頭飼いの場合、1匹でも回虫などの寄生虫に感染していると、他の猫にうつっている可能性があります。そのため、感染している猫だけ駆虫薬を投与しても、再び感染してしまうため意味がありません。

全ての猫が感染していないか糞便検査を行い、感染していなくても、今後感染する確率があるので予防的に投与する必要があります。

排泄物はできるだけ早く片付ける

猫が回虫に感染していると、猫の糞便に虫卵が存在します。長い時間そのままにしてしまうと、感染力をもちトイレ自体やその周りまで広がってしまいます。

排泄物はできるだけ早く処理し、トイレ自体を洗ったり熱湯消毒したりするとよいです。常にトイレや生活環境を清潔に保つことが非常に大切です。

特に野良猫及び保護猫は回虫に寄生している可能性があるため注意

保護猫や野良猫を拾ってきた場合、高い確率で回虫症に感染している場合があります。実際に、私の愛猫も元野良猫で回虫症に感染していました。家族として迎えいれた際は、早いうちに感染していないか糞便検査をしてください。

感染していなくても、外に出る生活を送ってしまうと、その間で感染する可能性があるため完全室内飼いにすることです。

必ず手洗いや公園などの砂場に注意

回虫症は人にも感染するため、感染している猫に触れた後や、トイレ掃除後などは必ず手を洗います。ふだんの生活でも、公園などの砂場には回虫などの寄生虫に汚染されている可能性が高いため、控えることが感染の予防に繋がります。

まとめ

獣医師に抱っこされている猫

最近では保護猫を飼う人が増えてきました。しかし、その半数以上が回虫に感染しているといわれているため、迎えいれた際は糞便検査をすることを勧めます。

駆虫薬は飲み薬もありますが、飲ませることが難しい場合は、皮膚に直接投与するスポットタイプがありますので、相談して決めるとよいでしょう。

中には1回の駆虫薬で治ると思いがちなのですが、駆除できなかった虫卵がまだ残っていることがありますので、投与後は必ず糞便検査を行い虫卵がいないか調べる必要があります。

今後も猫を回虫に感染させないためにも完全室内飼いにし、猫の排泄物はその都度片付ける習慣をつけましょう。また、人にも感染することがありますので、私たち飼い主も手洗いや公園などの砂場に触れないなど日常生活に気をつけましょう。

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