猫のおしりから出る寄生虫
猫のおしりから出る寄生虫は条虫
猫のおしりから寄生虫が出てきた場合は、条虫(サナダムシ)に寄生されていて、病気では条虫症と言われます。条虫症は、条虫(サナダムシ)が猫の小腸に寄生して、嘔吐や下痢などを引き起こす病気です。条虫は、たくさんの節(片節)からなる寄生虫です。
猫に寄生する条虫の種類
日本では猫に寄生する条虫が10種類以上いて、よく見られるものには、
- 瓜実条虫
- 猫条虫
- マンソン裂頭条虫
などがいます。瓜実条虫は、猫が瓜実条虫に寄生されたノミを口にすることが原因です。瓜のような瓜実条虫は体の一部=片節が連なり、成虫は50cmを超えることもある条虫で、猫の小腸に寄生します。
瓜実条虫
瓜実条虫に感染してしばらくすると、猫の便と一緒に片節が出てくることがあるので、寄生虫がいることに気づきます。猫のおしりから便と一緒に白い瓜状のものが出る、体外に出て乾いた条虫の片節がゴマ粒のように、猫のおしり周りについていたりします。
猫条虫
猫条虫は、猫条虫が寄生したネズミを猫が噛んだり、食べたりすることが原因で猫に感染します。
猫条虫は猫の小腸に寄生しますが、頭の部分を小腸の壁に食い込ませて寄生するので、腸が傷ついてしまうことがあります。さらに、条虫の白い片節や虫体の端が、猫のおしり(肛門)から出てくることがあります。
マンソン裂頭条虫
マンソン裂頭条虫は、マンソン裂頭条虫が寄生した蛇やカエルなどを、猫が食べることが原因で感染します。そのため、外に出ている猫が感染しやすい寄生虫だと言えます。
猫に条虫が寄生した時の症状
- 嘔吐
- 下痢
- おしりをかゆがる
- 食欲がなくなる
- 元気がない
- 体重が減る
- 毛艶が悪くなる
どの条虫でも猫によっては無症状の場合があります。また、寄生した条虫の数が少ない場合にも、猫のおしりに症状が出ないことがあります。しかし、多くの寄生虫が猫の体内にいると、猫に上記のような症状が見られるようになります。
瓜実条虫の場合、片節が猫のおしり(肛門)から出ると、猫はおしりをかゆがって床に擦り付け、おしりをしきりに気にするようになります。下痢の場合には、猫の便の中に寄生虫が見つけられることもあります。
猫の元気がなかったり、食欲がなく体重が減ったりしていたら、便を観察してみると良いでしょう。
猫のおしりから寄生虫が出ている時の対処法
便をできるだけ早く片付ける
条虫の片節が猫のおしりから便とともに排出されると、片節は動いて卵を周りにまき散らします。この卵が小動物やノミなどの体内に入って成長し、また他の猫に感染することになりますので、寄生虫がいる便は早めに処理する必要があります。
寄生虫が猫の便に見られた場合には便を早めに片付けるのはもちろん、猫砂を捨て、猫トイレも洗って清潔にしましょう。
寄生虫を猫のおしりから無理に取らない
多くは便と一緒に寄生虫が出てきますが、まれに猫のおしり(肛門)から寄生虫(片節)が出ていることがあります。
この時は、寄生虫を無理に引っ張って取らないようにしましょう。万が一にでも猫の直腸内を傷つけないようにするためです。また、寄生虫ではなく、誤って飲み込んだヒモ状の何かかも知れないからです。もし千切れた寄生虫が猫のおしり周りに残っていれば、濡れティッシュなどで拭き取りましょう。
その際には力を入れすぎないように優しく拭き取り、取りきれない時には猫を獣医さんに診てもらった方が良いでしょう。
猫のおしり周りに触れた後は、必ず手をよく洗ってくださいね。
猫を動物病院に連れていく
猫が条虫に寄生された時には、条虫駆虫薬を投与して駆虫し、ノミを媒介とする時にはノミの駆除も必要です。
適切な薬を処方してもらうためにも、猫の便や、猫のおしり周りに寄生虫を見つけたら、猫を動物病院に連れていって診てもらいましょう。猫を多頭飼いしている場合は、全ての猫に駆虫薬を投与する必要があります。
猫が寄生虫に感染しないためにできる予防法
- ノミの駆除をする
- ネズミの駆除をする
- 猫を室内飼いにする
- 掃除をこまめにする
- 手を洗う
条虫はノミが猫に寄生する、ネズミや蛇やカエルなどを猫が食べるなどして感染するので、感染源との接触をなくすることが予防につながります。特にノミは、人が室内に持ち込むこともあるので、定期的に駆除剤を使用してノミを駆除するようにしましょう。
さらに猫の室内飼いをすることで、蛇やカエルを食べることでの感染を防げる他、野良猫との接触で感染することを予防することができます。猫が他の猫のおしりや便の臭いを嗅ぐことで、寄生虫に感染する可能性があります。
また、ノミが媒介する瓜実条虫症は、猫だけでなく、人間にも感染してしまう人獣共通感染症です。これは、寄生虫がいるノミを、人が何らかの経路で口にいれてしまうことで感染します。潰したノミの体内に条虫の幼虫がいて手に付着した場合などが人への感染経路として考えられます。ノミは見つけても潰さないようにしてください。
寄生虫に感染したノミや、ノミの混ざった埃などを口にしやすい乳幼児も、感染する可能性が高くなります。猫に感染することを防ぐだけでなく、再感染や、人への感染を防ぐためにも室内の掃除をすることが大切です。
また、飼い主さんが外で野良猫を触った時には家の猫を触る前にしっかりと手洗いをしましょう。
まとめ
寄生虫に猫が感染していても、目立った症状が現れないことも多いので、飼い主さんが条虫に気づくことは難しいと言えます。猫のおしりから便とともに寄生虫が出てきた場合、多数の寄生虫が猫の腸内にいる可能性が高いので、できるだけ早めに動物病院へ連れていって診察してもらいましょう。
猫に下痢や嘔吐、食欲不振や元気がない、おしりを気にしている、などの症状が見られた場合には、便に寄生虫がいないかを確認してみると良いでしょう。
条虫症になっても猫の命にかかわることは低いと言えますが、猫のおしりから出た寄生虫を見つけた場合には、早めに対処して寄生虫を駆除してあげましょう。確実に駆除した後、定期的に検診をして予防をしていくことで、猫が寄生虫に悩まされないようにすることができます。