猫の心臓肥大とは
猫の心臓肥大は心筋症の一種の病気
猫の心臓肥大とは肥大型心筋症(ひだいせいしんきんしょう)と呼ばれる猫がかかる心筋症の一種です。なかでも心臓肥大の発症率は高く、猫がかかる心筋症の約2/3が、心臓肥大であるとされています。
猫が心臓肥大になりやすい年齢
猫の心臓肥大の好発年齢に関しては様々な見解がありますが、3ヶ月齢から高齢期までとどの猫にも起こりうる可能性がある病気です。
人間同様、猫の心臓は4つの部屋(右心室・左心室・右心房・左心房)に分かれています。猫の心臓肥大では、主に心臓のポンプ機能を担っている左心室の壁が分厚くなる(肥大)ことで、心室が狭くなり、拡張機能や血液の循環機能が失われ、最終的に心不全に陥ります。
猫が心臓肥大になる原因
実は猫が心臓肥大になる原因は、はっきり解明されていません。ただし、以下のようなことが原因になる場合があります。
- 猫が心臓肥大になる原因 1.遺伝
- 猫が心臓肥大になる原因 2.その他の疾患
猫が心臓肥大になる原因 1.遺伝
猫の心臓肥大の主な原因は、遺伝によるものだと考えられています。猫の心臓肥大の好発品種は、下記の通りです。好発品種のなかでも、比較的オスの発症が多く見られるようです。
- メインクーン
- ペルシャ
- アメリカンショートヘア
- ラグドール
- スコティッシュフォールド
- ブリティッシュショートヘア
- ヒマラヤン
- ノルウェージャンフォレストキャット
猫の心臓肥大になりやすい好発品種には、日本でも人気が高い品種が多く、ミックスや日本猫と呼ばれる品種であっても上記の品種の血が流れている可能性は十分にあります。
猫が心臓肥大になる原因 2.その他の疾患
猫が心臓肥大になるのは他の先天性疾患や血管異常などが原因となり、心臓肥大を引き起こす可能性があるという見解もあります。猫の心臓肥大の原因がはっきりと解明されていないため、このような医学的状態とは無関係であるという見解もありますが、他に心疾患などを患っている場合は念の為注意しておきたいですね。
猫が心臓肥大になった時の症状
猫の心臓肥大では、目に見える初期症状は殆どないと言われています。目に見えて症状が出始める頃には、病気はかなり進行した状態であると考えられます。
- 猫が心臓肥大になった時の症状 ①食欲不振
- 猫が心臓肥大になった時の症状 ②元気消失
- 猫が心臓肥大になった時の症状 ③呼吸困難
- 猫が心臓肥大になった時の症状 ④後ろ足の麻痺
- 猫が心臓肥大になった時の症状 ⑤肉球が真っ白になる
猫が心臓肥大になった時の症状 ①食欲不振
猫が心臓肥大になった時の症状として、食欲が低下する場合があります。と言っても、季節の変わり目や、気分によって食べムラがある猫は多いので猫が心臓肥大かどうか判断が難しい症状でもあります。
数日間続けて食事量が少ない場合や、体重が減少している場合などは猫が心臓肥大になっている可能性もありますので、すぐにかかりつけ医を受診しましょう。
猫が心臓肥大になった時の症状 ②元気消失
猫が心臓肥大になった時、血液の流れが悪くなることで、全身に回る酸素量が減り、少しの運動でも呼吸が荒くなったり、遊ぶのを嫌がったりする場合があります。
猫は本来鼻呼吸をする動物です。長時間激しく遊んだわけではないのに、口ではぁはぁと呼吸をする場合は心臓肥大になっている可能性もありますので、かかりつけ医に相談しましょう。
猫が心臓肥大になった時の症状 ③呼吸困難
猫が心臓肥大になった時、全身に血液を送り出すことができなくなり、肺動脈に血液が溜まることで「肺水腫(はいすいしゅ)」や、胸腔に水が溜まる「胸水」を引き起こします。
これらによって、猫が心臓肥大になると更に呼吸が困難になり、発作のような激しい開口呼吸やチアノーゼなどの症状が現れる場合もあります。
猫が心臓肥大になった時の症状 ④後ろ足の麻痺
猫が心臓肥大になると、後ろ足が麻痺する事もあります。心臓内部や血管で、血液が固まってしまうことを「血栓」と呼びます。猫が猫が心臓肥大になった時、血液の流れが悪くなることでこの血栓が動脈を塞いでしまう「大動脈血栓塞栓症」を引き起こします。
猫が心臓肥大になった時に特に多いのが後ろ足へ向かう動脈を塞いでしまうことで起こる後ろ足の麻痺です。麻痺と同時に激しい痛みを伴うため、大声を出して騒ぐこともあるようです。突然粗相をしたり、足を投げ出すような仕草をしたり、しきりに足を舐めるなど する場合は、猫が心臓肥大である可能性が高いので要注意です。
猫が心臓肥大になった時の症状 ⑤肉球が真っ白になる
猫が心臓肥大になった時、猫の被毛や体の色によっても異なりますが、全身の血流が悪くなることで肉球が白く冷たくなることがあります。
猫の場合、全身に血液が行き渡っていない場合や、貧血気味の時は肉球の色や、口の粘膜の色が薄くなりますので、異変を感じた場合はチェックしてみましょう。特に上記のような血栓を引き起こしている場合の猫の肉球は、真っ白でとても冷たくなるようです。
猫が心臓肥大になった時の治療法
猫が心臓肥大になった時の治療法は、対症治療のみです。心臓病に関しては基本的に完治は望めないものとされており、病気を治すための治療ではなく、悪化させないための治療を行います。
猫が心臓肥大の症状を和らげるための投薬
猫が心臓肥大になった時の対症治療は、まず肺水腫や胸水による呼吸困難の症状を和らげるために酸素吸入や輸液、利尿剤投与などの治療が行われます。
心臓や血管のサポートをする投薬
その後状態が安定した場合は、主に心臓の働きをサポートするための薬や、血栓をつくらないようにするための薬などが用いた治療が行われます。
心臓肥大の進行を遅らせる薬の投薬
心臓の肥大進行を遅らせるためのアンギオテンシン変換酵素阻害剤と呼ばれる薬や、心室筋をゆるめ血液量を増やすカルシウムチャンネル拮抗薬などの薬が用いられることもあります。
猫の状態によっては、一生薬を飲み続けなければならない場合もあり、薬の種類や量を調整する必要があるため、定期的な検診も必要です。
心臓肥大により猫の後ろ足が麻痺してしまった時は
また、血栓塞栓症によって後ろ足が麻痺してしまっている場合は血栓摘出、血栓溶解療法などの外科的治療が行われます。しかし、この外科的治療が成功したとしても、再発の可能性が非常に高く、長い寿命は期待できないようです。
猫の心臓肥大は診断が難しい
猫の心臓肥大は、早期発見早期治療が要です。治療開始時期によって、発病後の寿命の長さも大きく変わります。しかし、猫の心臓肥大の診断は、一般的な聴診器による診察での発見は困難を極めるようです。
主に超音波検査(エコー検査)や、胸部レントゲンなどでの診断が行われます。定期的に上記のような項目を追加した健康診断を受けることで、猫の心臓肥大の早期発見を心がけたいですね。
まとめ
猫の心臓肥大の原因や症状、治療法についてご紹介しました。
猫の心臓病は、ゆっくりと徐々に進行し、目に見える症状が少ないのに反して早期発見が要となります。猫の心臓肥大以外の病気の発見ににも繋がりますので、やはり、定期的な健康診断がとても重要になります。
愛猫が、猫の心臓肥大の好発品種に当てはまる場合や、血縁に好発品種がいる場合は、その旨をかかりつけ医に相談し、項目を追加してもらうと安心ですね。
50代以上 男性 匿名
昨年、体調を大きく崩し、もうだめだろうと思った時に嫌がることをしないと決めて殆どの投薬をやめてしまいました。
でも、不思議なもので今はサプリ一種類だけでとても元気になり、半減した体重も元通りに回復しました。
手放しで安心できる状態でもないとは思っていますが、機嫌良く接してくれる状態で暮らせるのが一番だと思っています。