猫の3大心臓病
- 猫の3大心臓病①「肥大型心筋症」
- 猫の3大心臓病②「拘束型心筋症」
- 猫の3大心臓病③「拡張型心筋症」
一言で心臓病と言っても多くの病気がありますが、猫で特にかかりやすい心臓病には「肥大型心筋症」「拘束型心筋症」「拡張型心筋症」があります。
心臓病にかかりやすい猫の特徴
- オス猫は心臓病にかかりやすい
- メインクーンは遺伝子変異で心臓病にかかりやすい
- ラグドールは遺伝子変異で心臓病にかかりやすい
心筋症は心臓の機能に障害を伴う病気で、全年齢に発症し、オス猫がかかりやすいと言われています。また、遺伝子変異による発症が報告されているのがメインクーンとラグドールです。
家族性発症による心臓病
家族性発症(特定の家族に多く発症すること。遺伝性の場合が多いが、必ずしも遺伝性とは限らない)が報告されている猫種は、アメリカンショートヘア、スコティッシュフォールド、ペルシャ、ブリティッシュショートヘア、ノルウェージャンフォレストキャットなどです。
もちろんこれらの猫種以外でも発症します。猫の心臓病は発見しずらい病気ですので、注意が必要です。
猫の心臓病の症状や原因、治療法など
猫の3大心臓病である3つの心筋症を、詳しくみていきましょう。どの心筋症でも、症状は下記のものが見られます。
心臓病になった時の代表的な症状
- 症状が出ない(無症状)
- 食欲不振
- 元気がなくなる
- 嘔吐
- 呼吸が荒くなる
- 口を開けて呼吸する
- 乾いた感じの咳をする
- 腹水
- 突然叫び声を上げた後に後ろ足の麻痺が見られる
- 失神する
- 突然死
呼吸が荒くなったり口を開けて呼吸していたり、叫び声後の後ろ足の麻痺が見られた場合は、心臓病の可能性がありますので緊急で受診しましょう。また、失神や元気消失の場合は早めに受診するようにします。
猫の心臓病① 肥大型心筋症
- 『肥大型心筋症』は猫の心臓の筋肉が肥大(厚みが増す)する心臓病
- 症状が無い時の余命:3年〜5年以上
- 症状がある時の余命:2〜1.5年程度
猫の心臓病である肥大型心筋症にかかると、心臓の右心室の筋肉が肥大してしまい、心臓を流れる血の量が減ってしまいます。すると、心臓が縮んだ時に送り出される血液量も減ります。この病気の原因は、はっきりとは分かっていません。
残念ながらこの心臓病は一度肥大してしまった心筋を元に戻すことはできないのですが、症状に応じた治療を行ないます。例えば、胸水が溜まっている時は水を抜く、血栓がある時は血栓を溶かす薬を投与する、不整脈がある時は抗不整脈薬を使う、などです。
症状が改善された後は再発しないようにする事を目的とし、治療を継続します。
心臓病が無症状の場合、余命は3年〜5年以上と言われています。心臓病の症状が出ている場合、長生きするのは、難しくなります。入院中に亡くなってしまう事も少なくないそうです。
肺水腫や胸水などのうっ血性心不全を起こした場合、3ヶ月から1.5年程度の余命、血栓塞栓症で退院出来た後の余命は、2〜6ヶ月程度というデータがあります。
猫の心臓病②拘束型心筋症
- 拘束型心筋症は心臓の壁が固くなる猫の心臓病
- 拘束型心筋症の余命は3ヶ月〜12ヶ月程度
- 10歳以上のシニア猫に多く発症する心臓病
拘束型心筋症は心臓内部にある線維が分厚くなってしまい、心臓の壁が固くなり心臓の動きが阻害されてしまう病気です。急性心不全になって初めて発見される事が多いです。治療法は前述の「肥大性心筋症」と変わりません。
この病気の予後(病気の経過と結末)はあまり良いとは言えず、余命は3ヶ月〜12ヶ月の間と言われています。2年持てば良い方だそうです。原因ははっきりと分かっていませんが、10歳以上のシニア猫に多く発症します。他の心筋症を併発する場合も。
猫の心臓病③拡張型心筋症
- 拡張型心筋症は心臓の筋肉が細く伸び送り出す血液量が減ってしまう心臓病
- 拡張型心筋症は低体温や脱水症状を引き起こす心臓病
- 心臓病の予防にはタウリンを十分取らせる
- 拡張型心筋症になると投薬が生涯必要になる
拡張型心筋症は必須アミノ酸の一種であるタウリンが不足することで心臓の筋肉が細く伸び、収縮力が低下して送り出す血液量が減ってしまう病気です。低体温や脱水症状を引き起こすこともあります。タウリンが十分入ったキャットフードを食べさせるようにしましょう。ただ、タウリンが十分でも発症する場合もあり、原因が良く分からないこともしばしばです。
低体温になっている時は、体を温める処置をします。脱水の場合、輸液などを行ない、体液の補給を行ないます。心臓の収縮力の低下を改善する為、強心薬が投与されることも。
症状によっては、入院するケースもあります。一度拡張型心筋症にかかると、たとえ症状が改善されても、生活の質(QOL)を維持する為、投薬が生涯必要です。
拡張型心筋症の場合は血栓がとぶ場合があり、後肢の麻痺が出ることがあります。急に麻痺が出るよりも、急に後肢を痛がり、その後麻痺がおこることがほとんどです。血栓で血流が途絶えてしまうので、途絶えたほうの肢が壊死してしまうこともあります。
猫の心臓病を予防するには?
残念ながら明確な予防法はありませんが、なるべく猫にかかるストレスを排除するようにして、心臓に負担をかけないように過ごさせましょう。
年1回程度の定期健診もおすすめです。特に前述しました好発しやすい猫種の場合は、若くても受けさせておくと安心です。
まとめ
- 猫の心臓病は3種類:肥大型心筋症・拘束型心筋症・拡張型心筋症
- 心臓病には、オス猫であったり、メインクーンやラグドールがかかりやすい
- 猫の心臓病の症状としては、食欲不振、嘔吐、呼吸が荒くなる、口を開けて呼吸する、乾いた感じの咳をする、腹水がたまる、失神する、突然死する、などの症状がある。
猫に好発してしかも予防法がないなんて、心臓病は怖いですね。たとえ症状が改善されたとしても、余命が…。書いていて辛くなりました。愛猫の心臓の状態は直接見ることができないですし、初期の頃は症状も出ないようですので、やはり定期検診を受けさせることが大切ですね。
健診は猫にとって多少のストレスとなるでしょうが、心臓病など病気の早期発見のメリットを考えれば、受けさせた方が良さそうです。
40代 女性 たかこ