猫が分離不安症になるとどうなる?
分離不安症の行動の種類
- 鳴き声が変わる:大声で鳴く、長く鳴く、甘えるように鳴く
- 落ち着きがなくなる:飛び回る、落ち着かずにうろうろする
- しつけ以外のことをする:トイレで用を足さない、粗相をする、色々なところを引っ掻く
- 破壊してしまう:ものを壊す、行ってはいけないところに行く、ものをかじったり壊したりする
分離不安になることでの問題
- 飼い主に攻撃する:引っ掻く、唸り声をあげる、噛みつくなど
- 飼い主に甘える:ずっとまとわりついて離れない、じっと見つめてきて目をそらさない
- 体調が悪くなる:震えている、呼吸が荒くなる、元気がない、食欲がなくなる
- 自傷行為をする:グルーミングを毛が抜けるまでしすぎる、尻尾をかじる、自分の手足を噛む
分離不安になってしまうと、飼い主を困らせることが続くことになります。ずっとなおらなければ、最悪の場合にはその猫を飼っていくことが難しいということになってしまいます。
猫の分離不安症の行動のうち4分の3は、トイレ以外での排便や排尿ということです。それに加えて、大声で鳴いたり、つきまとったり、という行動があります。
猫と暮らしていれば、鳴くのは当たり前のことです。じゃれついて遊ぶこともあるし、留守番させれば寂しく感じて、帰ってきたらまとわりつくこともあるでしょう。
「分離不安症」とまで言われる症状は、行動がいきすぎて、問題行動となった時です。
分離不安になりやすい猫とは
必ずというわけではありませんが、猫が分離不安になりやすい場合というものがあります。
分離不安になりやすい猫
- 1匹で飼っている
- 小さい頃からずっと人と一緒にいる
- 生後間もない頃から母猫や兄弟・姉妹の猫と離された
猫を分離不安にしてしまう飼い方
- どこでもついてこさせる
- 寝室が一緒(同じ布団などで寝る)
- 常に一緒に行動している
また、猫の持った性格として、分離不安になりやすい猫もいます。さらに、環境の変化や猫が病気や怪我をすることで、分離不安症になることもあります。
猫の分離不安の解決方法とは?
猫が分離不安症かも、と思った時に、飼い主が出来る解決策をご紹介します。
猫のストレスを取り除く
まず、普段の猫の生活がストレスを与えるものでないかを確認しましょう。
猫が気分転換できるような環境にする
飼い主がいなくなった間、寂しい、手持ち無沙汰、という場合に有効です。
- キャットタワーやおもちゃなどを置く(安全性を確認)
- 窓から外が見えるような場所をつくる
- ぬいぐるみや毛布などを置く
音の状況
工事の音やドアチャイムの音など、猫が不快になる音がなっていないか。エアコンやパソコンなど、ずっとついている電化製品で不快な振動や音がないか。
匂いの状況
猫の嫌いな香水を使ったり、ハーブがあったりしないか。アロマオイルも猫によくないもの、猫が好まないものがあります。
餌や水は足りているか
飼い主の外出時、餌がない、水もない、といった状況にしていませんか。餌は決まった量与えていたとしても、水は必ず飲めるようにしてあげましょう。また、出来るだけトイレも清潔にしてから出かけましょう。
環境の変化
また、引っ越しした、家族が増えたなどの変化でも猫が分離不安になることがあります。引っ越す時には出来るだけ前と似た部屋の環境にする、猫ベッドは同じものを使うなどしてあげましょう。
家族が増えた場合にも、猫の生活スペースは確保してあげること。猫が落ち着ける場所を作ることが大切です。
普段のしつけを変える
留守番させる時、飼い主が外に行こうとする気配を察すると、猫が不安になる場合があります。
外出する際、いつも鍵をとって玄関で上着を着る、という行動をして出かけていたら、そのパターンを変えてみます。鍵をとるけど外出しない、とか、上着を着ないで持ったままさっと家を出るなどです。
そして、一緒にいるときには適度にスキンシップをとっているでしょうか。餌と水だけあげていれば良いというものではありません。なでたり、声をかけたり、遊んであげたりすることが大切です。
また、いつでもべったり一緒にいるということもよくありません。
子猫のころから、遊ぶ時は遊び、休んだり静かにしたりする時には飼い主とは距離をおくなど、はっきりと切り替えたしつけをしておくことをお勧めします。
つきまとってくる場合は、猫が入れない部屋を決めておきます。部屋に入る場合には猫を入れず、鳴いても反応しないようにします。そして用事がすんだり一定時間が経ったりしたら、また出てきて相手をします。
もう1匹猫を飼う
寂しがり屋だという場合には、思い切って猫をもう一匹飼うという方法もあります。その場合にはしっかり事前に顔合わせやお試し期間を経て、良好な関係で暮らしていけると確認した上で飼う必要があります。
家族やペットシッターに面倒を見てもらう
なかなか難しいことですが、自分がいない間は家族に面倒を見てもらう、またはペットシッターさんに様子を見てもらう、という方法もあります。
ただ、猫が警戒したり、その人が嫌いだったりすると、余計にストレスを与えることになります。慎重に人を選ぶ必要があるでしょう。
筆者の体験談
分離不安になってしまったわたしの猫の場合をご紹介します。
家を長い時間開けることになった
家族の一人が入院することになり、家を長い時間開けることになった時です。わたしの猫の場合には、大声で鳴くことと、排泄の問題が起こりました。
家に帰るとベッドに排便していた
家に帰ってくると、家族が寝ていたベッドに排便してあったのです。今まで一度も粗相がなかった猫なので、本当に驚きました。これは何日も続きました。
家に戻ると猫が大声で鳴く
病院から帰ってくると、すぐに猫が飛びついて来て、ずっと大声で鳴きます。餌をあげると食べますが、こちらがまた出て行かないかが気になって、落ち着いて食べられない様子でした。
餌を終えるとひざに乗り丸くなって座り、また鳴きます。まるでどこにも行かせないと言っているようです。たまに、手にかじりついてきます。隣の部屋に行くと、起きてきてドアの前で出てくるのをずっと鳴きながら待っています。
また次の日病院には行かねばならず、猫もかわいそうで、かといって急に預かってくれるところも見つからなくて、本当にせつない思いをしました。
家に帰る頻度を増やした
様子を見に行く回数を増やしたところ、排便の問題はおさまりました。ただ、鳴き続けるのはなかなか治りませんでした。しっかり解決できたのは、単純ですが家族が無事退院できて、わたしも家にちゃんと居られるようになってからです。
実際には2週間ほどでしたが、トイレの粗相や餌を食べないなどの問題行動から、猫には負担をかけたなと思います。退院してきて数日で、人が一緒にいるようになると、徐々に鳴くことが減っていきました。
普段から猫とのスキンシップを増やす
この経験から、普段から話しかけたり撫でたりを増やしました。また、定時に出来るだけ帰るようにして、出て行ってもちゃんと飼い主は帰ってくるのだ、と思わせるようにしました。その後仕事などの外出では、猫は全く気にしなくなり、大声で長時間鳴くこともなくなりました。
まとめ
猫と暮らしていて、すべての猫が分離不安になるわけではありません。家では常に一緒にいるような飼い方をしていても、しっかりと留守番できる猫もいます。
また、子猫の場合には飼い主を親やきょうだいと感じています。成長するにつれて、分離不安が落ち着いてくることも多いにあります。
何か問題行動があっても、長い目で見て、決して猫を強く叱ったり手放したりしないでください。
猫が分離不安で問題行動をするようになったら、猫ではなく、まず飼い主さんが行動してあげることです。ほんの少しの事で、分離不安がなおり、猫が快適に暮らせる場合もあります。
どうしても困った場合には、獣医さんに相談することもおすすめです。専門家の話を聞けば、アドバイスを貰うことで、飼い主さんの不安も和らげられます。
猫のストレスを見つけたり、気持ちを想像してあげたりして、飼い主さんも猫も幸せに暮らせるようにしていきましょう。