猫の寿命を延ばすことが期待される薬『AIM』とは?腎臓病の治療への効果や現在の研究状況

猫の寿命を延ばすことが期待される薬『AIM』とは?腎臓病の治療への効果や現在の研究状況

近年、「AIM」と呼ばれる新しい治療薬が話題となっています。AIMとは何なのか?その内容と研究状況について、分かりやすく解説します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

AIMとはどんなもの?

注射器と小瓶

AIMとは、人や猫などの体の中にある「タンパク質」の一つです。簡単にいうと、体の中にたまった不要なものを片付けるための「お掃除の司令塔」のような働きをしています。

体の中でいらなくなった細胞やタンパク質を見つけると、AIMがそこにくっついて「ここを掃除して!」と目印をつけます。すると、「マクロファージ」というお掃除役の細胞がやって来て、不要なものを食べて片付けてくれるのです。つまり、AIMは体の中のお掃除を助ける、大切な役割を持っています。

残念なことに、人や犬の体内と比べて、猫はAIMが作用しにくいのだとか。腎臓の病気になりやすいのは、このことも関係していると考えられています。

そこで研究されているのが「AIM猫薬」です。正常に働くAIMを薬として体の外から補い、腎臓にたまった不要なものを片付ける手助けをします。AIMの働きを補うことで、腎臓を守り、病気の進行を抑えられる可能性があります。猫の腎臓病に対する新しい治療法として、多くの期待が寄せられています。

腎臓病の治療への効果

診察を受ける猫

猫は年齢を重ねると、腎臓の病気になりやすいといわれています。室内で暮らす猫の寿命は約16年、外へ出る猫は約13~14年が目安とされますが、慢性腎臓病は猫の寿命に大きく関わる病気です。症状が進むと、食欲が落ちたり、元気がなくなったりすることもあります。

15歳の猫では、7~8割が腎臓病になっているという報告もあります。今の治療では、病気を治すのではなく、腎臓の機能をサポートしたり、できるだけ進行を遅らせることが中心です。そのため、猫と飼い主さんにとって、長く元気に過ごせる新しい治療法が求められています。

前述の通り、AIMには、腎臓にたまった不要なものを片付ける働きを助ける役割があると考えられています。研究では、猫に体の外からAIMを投与したところ、生きられる期間が長くなり、病気の進行が止まったり、体の状態が良くなったりしたと報告されています。

現在の研究状況

注射される猫

2026年4月、AIMを使った猫の腎臓病の薬について、国に承認を求める申請が行われました。2026年9月現在はまだ審査中ですが、年内に認められることを期待する報道もあります。もし正式に承認されれば、猫の腎臓病治療に新しい選択肢が加わることになります。長く研究されてきたAIMが、実際の治療に使われる日が近づいているのかもしれません。

ちなみに、AIM猫薬は、静脈に注射する方法になる可能性が高いとされています。その場合、動物病院へ通って治療を受ける必要があります。猫にとって負担にならないよう、投与方法なども重要になりそうです。

これまでの治験では、腎臓病がかなり進んでいた猫に、2週間おきに6回、AIMを投与したそうです。その後は様子を見ながら、必要に応じて年に1~2回ほど投与するという段取りになる可能性が高いそう。

AIMの力で老廃物を定期的に片付け、腎臓病で亡くなる猫が減ることで、平均寿命が格段に延びるかもしれません。多くの猫と飼い主さんにとって、待ち望まれている治療法の一つといえるでしょう。

まとめ

幸せそうなふたり

現在、AIMを使った猫の治療薬の開発が進められています。これは、腎臓の病気に悩む猫や飼い主さんにとって、大きな希望です。

さらに研究では、AIMには細胞を傷つける「酸化ストレス」から守る働きがあることも分かりました。そのため、AIMは猫だけでなく、人の腎臓病の治療にも役立つのではないかと期待されています。

もしAIMを使った治療法が実用化されれば、たくさんの猫や人を助けられる可能性があります。今後、どのような治療につながっていくのか、研究の進展に大きな期待が寄せられています。

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