猫が『環境の変化』にストレスを感じる理由3つ 思わぬトラブルの可能性や安心させる方法も

猫が『環境の変化』にストレスを感じる理由3つ 思わぬトラブルの可能性や安心させる方法も

猫は環境の変化に敏感な動物です。引っ越しや模様替えだけでなく、知らない人が来たり、工事の音が聞こえたりするだけでもストレスを感じることがあります。この記事では、猫が環境の変化に弱い理由や、起こりやすいトラブル、対策について解説します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

︎猫が環境の変化にストレスを感じる理由3つ

隠れる猫

1.知らない音がする

猫は聴覚が非常に優れており、人には気にならないような音でも敏感に反応することがあります。

特に、犬や子どもの声、工事音、雷、花火、ドライヤーなどの大きな音や、金属がぶつかる音のような高い音は、猫にとってストレスになることがあります。

また、音の大きさだけでなく、突然聞こえてくる聞き慣れない音も猫を驚かせる原因になります。人には小さく聞こえる音や、遠くから聞こえてくる音でも、猫にとっては恐怖や警戒につながる場合があります。

2.知らない人や動物がいる

知らない人や動物がいること自体を、猫が不安や恐怖に感じることがあります。

例えば動物病院では、待合室で見かけた犬や、見慣れない獣医師・スタッフの姿と、その後に行われる診察や治療などの嫌な経験が結び付いて記憶されることがあります。

猫にとって、初めて見るものや予測できない出来事は、「危険があるかもしれない」と警戒するきっかけになります。これは、危険を避けながら生きてきた猫の習性とも関係していると考えられます。

3.自分の匂いがしない

猫は嗅覚を使って、自分が安心できる場所や、縄張りの情報を確認しています。

猫の頬や顎の周辺などには、フェロモンを分泌する腺があります。家具や人などに顔をこすりつける「スリスリ」は、自分の匂いを付ける行動の一つです。

猫にとって、自分の匂いがする場所は「ここは知っている場所」と認識しやすく、安心につながります。

反対に、引っ越し直後の家や模様替えをした部屋など、自分の匂いが少ない環境では、不安や警戒が強くなることがあります。

︎トラブルにつながることも

嘔吐する猫

環境の変化によるストレスは、猫の行動や体調に影響することがあります。

例えば、下痢や嘔吐、食欲低下などの消化器症状が見られることがあります。また、不安から過剰にグルーミングをすることで、脱毛や皮膚炎につながるケースもあります。

泌尿器にも影響することがあり、ストレスが関与して膀胱炎などを発症する猫もいます。

ただし、これらの症状を「ストレスのせい」と決めつけるのは危険です。猫の体調不良にはさまざまな病気が隠れている可能性があるため、症状が続く場合や、食欲・元気がない場合などは動物病院を受診しましょう。

また、環境が大きく変化する際には、脱走にも注意が必要です。

引っ越し作業中や動物病院への移動時など、猫が普段とは違う環境に置かれると、驚いてパニックになり、普段なら考えられないような行動を取ることがあります。

例えば、玄関や窓が開いた一瞬の隙に外へ飛び出してしまうことがあります。

パニックになった猫は、飼い主が呼んでも戻ってこなかったり、遠くまで移動してしまったりする可能性があります。交通事故などにつながる危険もあるため、環境の変化があるときほど、脱走対策を徹底しましょう。

︎環境の変化から猫を守るには

車に乗る猫

猫にとって環境の変化を完全になくすことは難しいものです。だからこそ、猫が少しでも安心して過ごせる環境を用意してあげることが大切です。

猫を知らない場所へ連れて行くときは、壊れていないしっかり扉の閉まるペットキャリーを使用しましょう。段ボールなど脱走の可能性がある入れ物や、扉の閉まりが悪いキャリーは避けてください。また、リードにつないで抱っこした状態で移動するのも、猫がパニックになった際に脱走する危険があるため避けましょう。

猫によっては、洗濯ネットに猫を入れてその状態でキャリーに入れることで、脱走防止や診察時の安全確保に役立つ場合があります。ただし、使用する際は猫が苦しくないようなサイズや破けていないかを確認し、ぐったりしているときや呼吸が苦しい時などは無理に入れないことが大切です。移動中は、キャリーに薄手の毛布やタオルをかけて、外の景色や音などの刺激を減らしてあげるのもよいでしょう。

また、普段使っている毛布や飼い主さんの匂いが付いた衣類などをキャリーに入れておくと、猫が安心できることがあります。ペットホテルなどに預ける場合も、普段使っているものを持参できるか確認しておくとよいでしょう。

動物病院やペットホテルに泊まる際には、猫用フェロモン製品を利用する方法もあります。猫の臭腺から出る縄張りホルモンを人工的に作ったもので、スプレーすることで、家以外の場所でも猫が安心できる空間に近づけることができます。

親戚や友人が来る、工事が行われる、近所で花火大会があるなど、自宅で環境の変化が起こる場合も対策が必要です。知らない人が来る場合は、猫が逃げ込める場所を用意しておきましょう。高い場所や狭い場所など、猫自身が「ここなら安心できる」と感じられる場所があると、落ち着きやすくなります。

来客にも無理に猫を触ったり、追いかけたりしないようにしてもらいましょう。猫が自分から近づいてきたときに、静かに接してもらうことが大切です。

工事音や花火、雷など大きな音が予想される場合は、雨戸や窓を閉めるなどして、できるだけ音や光の刺激を減らしましょう。テレビや音楽など、猫が普段から聞き慣れている音を流して、突然の大きな音を目立ちにくくする方法もあります。ただし、音量を上げすぎてかえって猫のストレスにならないよう注意してください。

︎まとめ

キャリーに入る猫

猫は、私たち人間が気にしないような小さな環境の変化でも、ストレスを感じることがあります。

知らない音や人、動物、自分の匂いがしない環境などは、猫にとって不安や警戒の原因になることがあります。

環境の変化によって、食欲低下や嘔吐、下痢、過剰なグルーミング、泌尿器症状などが見られることもあります。体調不良が見られた場合は、ストレスだけが原因だと考えず、まずは動物病院を受診しましょう。

また、環境が変わるときは脱走にも十分注意する必要があります。

普段から愛猫がどのような音・匂い・場所・人を苦手とするのかを把握し、安心して隠れられる場所を用意しておくことが大切です。

その方法の一つとして、ペットキャリーを普段から部屋に置いておくこともおすすめです。

キャリーの中に普段使っている毛布などを入れておき、猫が自由に出入りできるようにしておくと、キャリーを「動物病院へ行くときだけ使う嫌な場所」ではなく、普段から安心して過ごせる場所として認識してもらいやすくなります。

日頃から少しずつ準備しておくことで、いざ環境が変化したときにも、猫の不安やストレスを少しでも減らしてあげられるようにしましょう。

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