猫の性別によっては珍しい毛色3選

猫の毛色のほとんどはオス・メス関係なく見られますが、ある毛色に限っては、性別によって出やすい・出にくいという違いがあります。
その毛色の猫がたくさんいるのに、めったに見ることができない「性別×特定の毛色」の組み合わせを3つ見ていきましょう。
1.オスの三毛猫
オスの三毛猫がめったに見られないということは、江戸時代から知られていたといいます。もし、見ることができたら幸運だという伝承もあるほどです。
三毛猫は黒・白・茶色の3色が出た毛色です。黒と茶色の色素遺伝子は、X染色体にしか存在していないので、黒と茶色が同時に出るには、それぞれX染色体が2つ必要です。つまり、XXとなる段階でメスにしか現れないのです。
ところが、卵子や精子がつくられるときに、性染色体の分離がうまくいかず、XXの卵子やXYの精子ができることがあります。これらから受精卵ができるとXXYとなり、通常ならオス(XY)として生まれる個体にXXで可能な三毛色が発現し、オスの三毛猫が生まれるのです。
オスの三毛猫発生率は約3万匹に1匹といわれ、とても珍しいといわれています。
2.オスのサビ猫
サビ猫は、茶色の上に黒のベールがかかったような毛色をしています。黒毛の濃淡がところどころにあることで、まるでべっ甲のような複雑な模様に見えるのが特徴です。
サビの茶色と黒の毛色は、三毛猫と同様、XXYの染色体であることが根拠といわれています。ところが、それだけではなく、「キメラ」や「モザイク」と呼ばれる現象でもオスのサビは発生します。
「キメラ」は受精卵の成長過程で、複数の受精卵(胚)がひとつに融合してしまうこと。「モザイク」は、受精卵の一部が細胞分裂中に遺伝的変化を起こしてしまうことです。
モザイクやキメラは、1匹の中に異なった遺伝子を持つため、「XX/XY」というパターンもあり得ます。そして、XX細胞が黒と茶色を持っていれば、オスのサビ猫(あるいは三毛)になることもあるのです。
3.メスの茶トラ
これまで茶トラの毛色を決めるのはO遺伝子の存在だといわれてきましたが、2025年に日米の研究によって「X染色体の一部が欠落していると、黒い色素がブロックされて茶色だけが発現する」ということがわかりました。
オス(XY)の染色体はXがひとつだけなので、欠損がない場合はすべての毛色のベースとなるキジトラか黒、欠損があれば茶トラの毛色になります。
一方、メス(XX)は、2つのX染色体があるため、両方が欠損していないと茶トラにはなりません。XXのうち片方だけが欠損していれば三毛猫やサビのように黒と茶色が混ざり、両方正常であれば、キジトラか黒になります。
メスの茶トラが生まれるためには、茶トラの両親、もしくは茶トラの父猫と三毛・サビ猫の母猫である必要があります。これらの条件が揃う確率が低いことから、メスの茶トラはとても少ないのです。
親猫や兄弟で毛色がバラバラになる理由

猫は一度の出産で平均3〜5頭の子猫を産みますが、兄弟間で毛色がそれぞれバラバラに違っていることがあります。これは、遺伝子の組み合わせがランダムなことや複数の卵子で受精する仕組みにあります。
毛色を決める遺伝子は、両親から半分ずつ引き継ぎます。卵子・精子の中には「色」だけでなく濃淡や白の割合などを決める遺伝子も半分ずつ入っていて、受精した際にはじめてペアになり、子猫の毛色が決定されるのです。これらには優性・劣性もあることから、生まれるまでは「何が出るかわからない」のです。
さらに猫は交尾後に複数の卵子を排卵することや、野良猫など複数のオスと交配することで、そのランダム性が一層高くなります。同じ母猫から生まれても、父猫の遺伝子の影響でまったく違う毛柄の子猫が兄弟として生まれることもあるのです。
まとめ

オスの三毛猫やサビ、メスの茶トラは、発生する確率が低く希少な毛色なことから、このような珍しい毛色の猫には「運がいい」「特別な猫」と感じてしまうかもしれません。
しかし、猫が持つ毛色はすべて偶然が重なって決まります。私たちがふだん目にしている猫の毛色も、当たり前に出てきたのではないのです。
次に猫を見るときには、その毛色が引き継がれてきた背景を想像してみると、生命や個性の尊さを感じることができるかもしれませんね。