愛猫に最後の別れを

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中国では近年、ペットの火葬・葬儀サービス業者が増えています。リムジンカーでの送迎や、制服を着た4人の棺担ぎスタッフを用意して行う高級な葬儀だと、1500ドル(約23万4千円)かかるといいます。
2026年5月、遼寧省北東部の大連にあるペット葬儀場では、悲しみに暮れる夫婦が、亡くなったわが子同然の愛猫Pidan(シルバーブリティッシュショートヘア)の毛をやさしく梳かして、涙を流しながら最後の別れを告げていました。8年間大切に育ててきた愛猫は、このほど心臓病で亡くなったのです。
「Pidanちゃん、あちらの世界では痛みを感じないわね。夢の中で会いに来て、近況を教えてね。来世でまた家族になれるといいな」と妻が言葉をかけると、「Pidan、パパとママのことを忘れないで。天国でいじめられたら、強く自分の立場を貫いてね」と夫がささやきます。約10分後、夫は待機していたワゴン車に猫の遺体を運び、車はそのまま火葬場へと向かいました。
こうした光景は、ペット葬儀会社では日常のことです。「ペットの死後の手配を専門業者に依頼したい」という声が高まるにつれ、この業界は過去10年間で目覚ましい成長を遂げてきました。
急増するペット葬儀関連企業

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中国の企業データ会社「天眼帳」によると、国内には4万3600社のペット葬儀関連企業が存在しています。2022年だけでも2万7100社が新規に登録され、前年比で5倍にも増加しました。同年にはこの市場の規模が100億元(約2千344億円)に達したといいます。
このブームの背景には、中国でペット飼育数が急増している事情があります。昨年中国の都市部では、約5千300万頭の犬と7千300万匹の猫が飼育されていると発表されています。
ペット葬儀社は、安楽死や遺体の処理、追悼式、火葬、遺骨保管、墓参り、記念品作成など、包括的なサービスを提供しています。料金は1000元(約2万3400円)から数万元(15万円以上)までと、幅広くなっています。
制服を着たスタッフ4名がペットの棺を運び、リムジンで搬送する「高級オーダーメイド」葬儀サービスは20万円以上もかかり、宗教儀式を提供する葬儀の料金は1800元(約4万2000円)です。遺骨を「生命の結晶」に加工するオプションは、1万8000元(約42万円)かかるといいます。式典では、花飾り、お別れ用の毛布、足跡の入った記念品ボックス、ペットの毛束を入れた瓶などが飾られます。
飼い主はお別れの手紙を読み上げることが多いのですが、葬儀業者が飼い主に代わって手紙を朗読するサービスもあります。
「追悼式は一見単純に思えるかもしれませんが、飼い主さんの心の支えになります。この正式な別れの儀式を通して、悲しみに暮れる飼い主さんはペットに最終的な別れを告げることができます。人々はこうした価値にお金を払うことを厭わないのです」というのは、同じく遼寧省瀋陽市にあるペット葬儀場のオーナーです。
規制がなく、サービスの質に問題があるケースも

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2022年に大連市でペット葬儀場を開業した張英俊さん(30歳)は、数々の悲痛な別れに立ち会ってきた経験についてこう語っています。
「悲しむ顧客に深い共感を覚え、最初は一緒に泣いてしまいました。でも今では、大切なのは葬儀の手配を効率的に行い、質の高いサービスを提供することだと気づきました」
ところが現状ではペット葬儀業界は公的に規制されておらず、監督機関も存在していません。これが大きな問題を引き起こすことがあります。
河南省澤金法律事務所の弁護士、傅建さんは次のように話しています。
「ペット葬儀業界全体を監督する特定の政府機関は指定されていません。民政局は人間の葬儀を担当し、畜産局は動物の処理に重点を置き、環境保護局はガス排出の監視を行います。このように権限が分かれているため、不正行為や違反行為があっても調査や処罰を受けることなく営業できてしまうのです」
さらに、サービス基準が設けられていないために、ペット葬儀契約の多くの条項には質に関する具体的な説明が欠けているといいます。
「店舗が契約を守らなかったり、質の悪いサービスだったりした場合でも、顧客は権利を主張するのが難しいことが多いのです」と傅建さん。
飼い主の愛情を逆手にとって、金儲けを優先する業者の横行が不安視されているようです。
出典:China’s billion-dollar pet funeral industry stays largely unregulated without public oversight