猫にとって危険な病気『肝リピドーシス』とは? 見逃せない症状や予防のポイントまで解説

猫にとって危険な病気『肝リピドーシス』とは? 見逃せない症状や予防のポイントまで解説

これからの暑い時期、猫の食欲が落ちて「夏バテかな?」と感じることがあるかもしれません。しかし猫の食欲不振は想像以上に危険な病気に繋がることがあります。この記事では食欲不振が原因で起こる、肝リピドーシスについてご紹介します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

︎肝リピドーシスとは

肝臓

肝リピドーシスとは、何らかの原因で猫が数日間食事を十分に取れなくなった際に、肝臓への脂肪が過剰に蓄積し、正常に機能しなくなる病気です。

猫は本来、タンパク質を主なエネルギー源として使用しています。しかし、食事が取れなくなると、体は不足したエネルギーを補うために体脂肪を分解し始めます。この時に発生した大量の脂肪酸が、肝臓へ運ばれますが、猫の肝臓は一度に大量の脂肪を処理する事が苦手なため、脂肪が肝臓内に蓄積してしまいます。

この脂肪の蓄積は数日という短時間で急速に進行する事があり、わずか数日の食欲不振でも肝リピドーシスを発症する事は珍しくありません。

食欲不振の原因は様々ですが、腸炎や膵炎などの消化器疾患によることが多く見られます。一方で、尿道閉塞や怪我、引っ越しなどの環境変化によるストレスなど、一見関係のない原因でも食事が取れなくなれば発症する可能性があります。

︎症状と治療

黄疸

肝リピドーシスの初期には、元気消失、嘔吐、下痢、よだれ(流涎)などの症状が見られることがあります。

ただし、肝リピドーシスは食欲不振を起こした病気に続いて発症するため、初期の症状は原因になる病気によって様々です。

症状が進行すると、脱水、痙攣、ぐったりして動かない、急激な体重減少などの症状が現れます。また、耳や白目、歯茎などが黄色く見える「黄疸」が現れることも特徴です。

治療では、肝リピドーシスそのものへの治療と、食欲不振の原因となっている病気の治療を、並行して行う必要があります。

肝臓への脂肪の蓄積をこれ以上進めないためには、十分な栄養を補給する事が重要です。そのため、シリンジを用いた強制給餌を行なったり、自力で食べられない場合には、鼻から食道へチューブを入れる「経鼻カテーテル」や、胃瘻チューブを設置して流動食を与えることもあります。

食欲がなく、体調が悪い猫への強制給餌は、誤嚥を引き起こす危険性があります。自己判断で行わず、必ず獣医師の指示のもとで実施しましょう。

また、肝リピドーシスは必ず何らかの原因があって発症する病気です。そのため、血液検査やレントゲン検査、超音波検査などを行い、食欲不振の原因となっている病気を特定することも重要です。

肝リピドーシスは治療を行わなければ、数日から数週間で命を落とすこともある非常に危険な病気です。そのため、多くの場合は静脈点滴を行いながら入院治療を行います。

自力で十分に食事を取れる様になり、血液検査でも改善が確認できれば退院となり、その後は通院しながら原因となった病気の治療を続けていきます。

︎予防法

体重計

肝リピドーシスは絶食が原因で発症する病気です。そのため、猫の食欲不振を「もう少し様子をみよう」と放置する事は非常に危険です。

毎日の食事量を確認し、ちゃんと食べているかを把握しておきましょう。そして、丸一日ほとんど食事を取らなかった場合には、できるだけ早く動物病院を受診して下さい。

また、どの猫でも発症する可能性はありますが、特に中高齢で肥満傾向の猫はリスクが高いとされています。

日頃から体重を定期的に測定・記録し、適正体重を維持することも予防に繋がります。

︎まとめ

食欲不振の猫

人では数日食欲がなくても、様子を見てしまうことがありますが、猫では食欲不振を絶対に放置してはいけないことを覚えておきましょう。

引っ越しや新しい猫を迎え入れた事など、食欲が落ちた原因が明らかな場合でも、「ストレスだからそのうち食べるだろう」と様子を見るのは危険です。

まずは普段より好むフードやおやつを利用し、少しでも食べてもらえるよう工夫しましょう。それでも食べない場合や、食欲不振が続く場合には、できるだけ早く動物病院を受診することが大切です。

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