猫がかかると致命的な『危ない感染症』3選

1.猫伝染性腹膜炎(FIP)
猫伝染性腹膜炎(FIP)は、発症すると致死率が非常に高い、飼い主にとって非常に恐ろしい病気です。
原因となるのは、実は多くの猫が腸内に持っている「猫腸コロナウイルス」。このウイルス自体は糞便を介して広がり、軽い下痢が見られる程度ですが、体内で突然変異を起こすことで命を脅かすFIPを引き起こすのです。
なぜ変異してしまうのか、明確な理由はまだ解明されていません。しかし、「強いストレス」や「免疫力の低下」などが、引き金になっていると考えられています。
FIPを発症すると、症状は大きく2つのタイプに分かれます。
一つは、お腹や胸に水が大量に溜まってしまう「ウェットタイプ」。お腹が不自然に膨らんだり、胸水によって呼吸が苦しそうになるのが特徴です。
もう一つの「ドライタイプ」は、内臓にしこりができるタイプで、目や神経系に異常をきたすこともあります。
どちらのタイプも、初期症状は「なんとなく元気がない」「ご飯を食べない」「熱っぽい」といった、ありふれた体調不良に似ています。そこからの進行が非常に早いのがFIPの恐ろしいところです。
かつては「不治の病」とされていましたが、近年は獣医療の進歩により寛解を目指せるケースも増えています。
それでも治療ができる動物病院は多くなく、依然として、愛猫の命を脅かす非常に危険な病気であることに変わりはありません。
2.猫免疫不全ウイルス感染症(FIV / 猫エイズ)
一般的に「猫エイズ」と呼ばれる猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)も、猫の命を脅かす可能性がある感染症のひとつです
原因は猫免疫不全ウイルスへの感染で、主に猫同士のケンカによる深い噛み傷から感染します。
日常的なふれあいで簡単にうつることは比較的少なく、外の世界で縄張り争いをする「お外に出る未去勢のオス猫」の感染率が高いのが特徴です。
そしてこの病気の特徴は、感染してもすぐに重い症状が出るわけではないことです。
感染直後には発熱や下痢、リンパ節の腫れなどがみられることがありますが、その後は数年から10年以上にわたって無症状で過ごすことも珍しくありません。
中には生涯発症しないまま寿命を迎える猫もいるのです。
しかしウイルスはその間も体内に潜み続け、少しずつ免疫機能にダメージを与えていきます。
そして病気が進行すると、口内炎や歯肉炎がなかなか治らなくなったり、鼻炎や下痢を繰り返したりします。
さらに免疫力が大きく低下すると、健康な猫なら問題にならない細菌やウイルスにも感染する「日和見感染症」を起こし、著しい体重減少や貧血、神経症状などに苦しむことも。
猫エイズには根本的にウイルスを排除する治療法はありません。しかし、感染していても適切な健康管理やストレス対策によって長く穏やかに暮らせるケースも少なくありません。
だからこそ、外での感染を防ぐこと、そして異変を早めに見つけることが大切といえます。
3.猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)
猫汎白血球減少症は、「猫パルボウイルス」によって引き起こされる非常に危険な感染症です。感染力が極めて強く、特に子猫では命に関わるケースが目立ちます。
この病気の厄介なところは、原因となる「猫パルボウイルス」が驚異的にしぶといこと。
ウイルスは感染した猫の排泄物や嘔吐物に大量に含まれているのですが、一般的なアルコール消毒が効かず、自然環境の中でも1年以上生き延びます。
「うちは外に出さないから安心」と思っていても、飼い主の靴の裏や衣服にウイルスが付着したまま室内に持ち込まれ、愛猫が感染してしまうという悲しいケースもあるほど。
感染すると、高熱とともに、激しい嘔吐や血の混じったひどい下痢に襲われます。
そして体内の白血球が著しく減って免疫機能が働かなくなり、激しい胃腸炎による脱水症状がみるみるうちに進行するため、あっという間に命が危険な状態に陥ってしまいます。
特に、まだ体力のない子猫や免疫力が落ちてきた高齢猫の場合、発症からわずか数日で命を奪われてしまうことも珍しくありません。
ワクチン未接種の猫にとっては、決して軽視できない脅威となる感染症だといえるでしょう。
予防のためにできることは?

これまでに紹介した恐ろしい感染症から愛猫を守るために、有効な予防策となるのが「完全室内飼いの徹底」と「ワクチン接種」です。
ケンカや接触でうつるFIV(猫エイズ)は、家の外に出さないことで大部分の感染を防げます。
また目に見えない脅威である猫パルボウイルスは、ワクチンをしっかり打てば予防できるのです。
さらに、日々の生活の中では以下のポイントにも気を配ってあげましょう。
- ウイルスの「運び屋」にならない
ワクチン未接種の子猫がいる家庭ではとくに、帰宅時の手洗いや着替え、靴底の消毒などを行うと安心です。
- 新入り猫のお迎えは慎重に
新しく猫を迎える際は、先住猫を守るためにも、対面させる前に健康診断やウイルス検査を受けることをおすすめします。
- ストレスフリーで免疫力アップ
トイレや食器を常に清潔に保ち、安心してくつろげる環境を整えてあげることは、病気に負けない免疫力を高く保つための立派な予防策になります。
ほかにも、少しでも「あれ?」と思う異変があれば、様子を見すぎず早めにかかりつけの動物病院を受診してくださいね。
まとめ

今回は、猫の命に関わる危険な感染症3つを紹介しました。
これらは一度発症すると完治が難しく、致命的になることが多い恐ろしい病気です。しかし正しい知識を持ち、完全室内飼いやワクチン接種を徹底することで、感染のリスクは大幅に下げることができます。
愛猫の健康を守れるのは飼い主だけです。もし「少し体調が変だな」と感じたら、手遅れになる前に、迷わずかかりつけの動物病院へ相談しましょう。