教会に現れた人懐こい猫

画像はイメージです
ノースカロライナ州ムーア郡にある、人口約1万人の小さな町サザンパインズ。ここにあるエマニュエル聖公会教会には、20年ほど前に猫が住んでいました。
その猫の名はSamuel Emmanuel(通称Sam)。2000年頃のある朝、どこか別の場所からふらりと教会の庭に現れました。当時教区の事務員だったSue Kjellsenさんが見つけ、この人懐こい猫に餌を与えたのです。
Hank Franklin牧師はSueさんに説得されて、この猫を教会で飼うことにしました。そして猫と牧師は、日に日に仲良くなっていったのです。
最初のうちは猫が住み着くのをいやがる人もいましたが、Samはすぐに人々の心をつかみ、教区の一員として多くの人から愛されるようになりました。
Samは教会内を自由に歩き回り、事務所にある猫用ドアから出入りしていました。礼拝中に尻尾をピンと立てて堂々と通路を歩く姿は、教会でおなじみの光景になったのです。
Samは居心地のよさそうなだれかの膝を見つけると、跳び乗って居眠りを始めました。司教の椅子もお気に入りで、公式の会議があってもそこに座ってくつろいでいました。教会の図書館の大テーブルにジャンプして、みんなに挨拶をしてから誰かの膝の上に落ち着くこともたびたびでした。近くの学校に出かけて行っては、子供たちに囲まれて大人気になっていたりもしました。
大切な牧師の突然の死

画像はイメージです
2005年、Hank牧師はクロスカントリースキー中に心臓発作を起こし、52歳で亡くなってしまいました。遺灰は教会のメモリアルガーデンに埋葬されましたが、Samはまるで主の死を悲しむ忠臣のようにその場に留まり、見守りを続けていました。
野良犬が走り寄ってきてもまったくその場を動かず、きっぱりと追い払ったのです。ある凍り付くような寒い夜に、墓の前で丸まって座っているSamが目撃されたこともあります。その人が近づいて撫でるとSamは鳴いて応えたものの、そこから決して動こうとはしませんでした。
Samは教会に来る人々と心を通わせることができる、特別な猫でした。
「どういうわけか、ただの猫以上の存在でした」と当時を知る人はいいます。Samは慰めを必要としている人々、たとえば高齢者や病人、悩みを抱えた人、そして悲しみに暮れる人を探し出す、ほとんど超自然的な才能を持っているかのようでした。
人々と心を通わせるその能力こそが、猫好きではない人さえも彼に惹きつけ、彼らの警戒心を解いたといえましょう。
牧師の隣に埋葬された猫

画像はイメージです
残念ながら、Samは2006年のクリスマス直前に虹の橋を渡りました。交通事故にあったようですが、体には傷1つありませんでした。
遺体は火葬され、教会の信徒のほとんどがメモリアルガーデンに集まり、この猫を偲んで短い朗読と祈りの儀式を行いました。Samの遺灰は、大好きだったHank牧師の墓の隣に埋葬されました。
教会で執事を務めていたTalmage Bandyさんは、次のような追悼文を寄せています。
「Samuel Emmanuelは、本当にみんなから愛されていました。Samが快適に座れるようにするため、わたしは祭壇の椅子の端っこに腰掛けなければならないこともよくありました。Samは説教中でも平気で通路を歩いてくるのです。Hank牧師やわたしが『おはよう、Sam』と声をかけると、うれしそうに祭壇に近づいて来たものでした。Samは司教の椅子もお気に入りで、それにふさわしい品格を備えた猫でした。この教会での日々は、猫のおかげで幸せなものになりました。わたしたちはHank牧師とSamを、とても恋しく思っています」