猫との生活でよくある困った行動

1.家具や壁での爪とぎ
猫の爪は、狩りをしたり天敵から身を守ったりする際になくてはならない大切な武器です。そのため、爪の先は常に尖った鋭い状態を保つことが理想ですが、時間の経過と共に爪は摩耗していきます。
実は、猫の爪の内側の層には新しい爪が作られて控えています。そこで猫は、古くなった外側の爪をはがし、内側の新しい爪を出すのです。それが猫の爪とぎです。また爪とぎには、肉球にある臭腺からの分泌物を擦り付けてマーキングをするという効果もあります。
このように猫の爪とぎは、家具や壁紙がボロボロになるからと強制的にやめさせたくてもやめさせられない、本能的な行動なのです。
2.トイレ以外の場所での粗相
猫は、とてもきれい好きな動物でもあります。汚れているトイレや、他の猫が使ったトイレを使おうとはしません。トイレが汚れていると、猫は排泄を我慢しようとしてしまいます。しかし我慢ができなくなると、仕方なくトイレの外に排泄してしまうのです。
病気や加齢による筋力低下などで間に合わなかったような場合を除き、トイレの外での粗相をやめさせるには、常にきれいなトイレを使える状態にしておくことが大切です。こまめにトイレの片付けをすることはもちろんですが、猫の頭数+1個以上のトイレを用意するといった対策も必要です。
3.脱走
猫は、見かけ以上に細い隙間も通り抜けられます。また爪を指の間に隠して歩くため、足音を立てずに歩きます。そのため、ちょっとした窓の隙間を利用して外に出たり、飼い主さんが出入りする際に、飼い主さんに気づかれずに一緒に外に出てしまうことがあります。
特にまだ若くて好奇心旺盛な若い猫は、ドアの外の世界に興味津々で飼い主さんの出入りを見ています。猫用に脱出防止柵を設置したり、網戸があるからと安心して窓を開けたまま目を離したりしないように気をつけましょう。
4.物を倒す
飼い主さんの気を引こうとして、猫は棚の上の物を下に落としたり、床に置かれた背の高い鏡や植木鉢などを倒すことがあります。力はそれほど強くはありませんが、ジャンプ力があるため、背の高いものに飛びついて倒してしまうことができるのです。
倒すと危険な物や壊されたくない物は、猫の手が届かない場所に保管しましょう。また猫が飼い主さんの気を引こうとするのは、退屈だったり飼い主さんの関心が猫以外に向いていることが主な原因です。毎日おもちゃで一緒に遊んだり、優しく声がけしながらケアも兼ねたスキンシップを計る時間を作ることが、気を引く行動の抑止につながります。
5.隠れて出てこない
飼い主さん以外の人と接したことのない猫は、人との付き合い方を知りません。そのため、来客があると部屋の隅などに隠れ、来客が帰るまでたとえ1日中でも出てこなくなることがあります。トイレも我慢してしまうため、飼い主さんは気が気ではないでしょう。
隠れて出てこない愛猫が心配だからと家に人を呼ばないようにすると、ますます猫の人見知りは激しくなります。大きな災害などで他人と一緒に過ごさなければならない状況になったときに、苦労するのは猫自身です。
知人に協力してもらい、まずは来客が猫に危害を加えない無害な存在であることを教え、慣れてきたら少しずつ交流させるようにして、飼い主さん以外の人とも交流できるように慣らすことが望ましいです。
困った行動の習性には強化の原理を応用しよう

猫の困った行動の動機には、悪気による「わざと」という作為性はないと言われています。そのため叱られても、猫にはなぜ叱られたのかを理解することができず、反省もしないと考えられます。
猫の困った行動をやめさせるために必要なのは、叱ることではなく、困った行動ができないような環境を作り、代替となる行動に誘導し、その行動ができたら褒めることで強化していくことです。
例えば家具での爪とぎをやめさせたい場合は、家具に爪とぎ防止用のツルツルした素材の防護カバーをかけ、そのすぐ近くに猫が使いやすい形態の爪とぎを設置して使うように誘導し、爪とぎを使ったら褒めることを繰り返すのです。
また飼い主さんの気を引きたくて物を倒す場合は、物を倒されても無視することで「物を倒しても飼い主の気を引けない」ことを教え、代わりに一緒に遊んだりスキンシップを計る時間を増やすことで、欲求不満を解消します。
猫を始め、伴侶動物の困った行動を改善させるための強化の仕組みをわかりやすく解説した書籍や講座などを利用したり、獣医行動療法に詳しい獣医師やトレーナーなどの専門家に相談しながら、上手なしつけ方を身につけましょう。
まとめ

同じ伴侶動物である犬と比べると、協調性や社会性が低い傾向のある猫への「しつけ」は難しいと考える飼い主さんが多いです。確かに難しいですが、猫にも高い学習能力があり、人間社会の中で一緒に暮らしていける社会性も持っています。
愛猫の困った行動を闇雲に叱ったり、逆に我慢したりするのではなく、上手に環境を整え、強化の原理を活用したトレーニングを根気よく積み重ねていくことで、お互いがストレスフリーな状態で快適に暮らせるよう、飼い主さんの方から歩み寄っていきましょう。