猫の行動には理由があります

猫の知能は、人の2〜3歳児程度だと言われています。猫は、子どものようには話せませんが、ある程度の単語を聞き取り理解できます。また猫は、自力で生存していくための能力が特に長けているとも言われています。
非常に慎重で警戒心が強かったり、過去に経験した自分の行動とその結果を結びつけて学習し、自分が取るべき行動や避けるべき行動を適切に選べるのは、生き抜く能力の高さを示していると言えるでしょう。
ただし、猫には意地悪をするとか、飼い主さんを困らせてやろうと思うことはありません。飼い主さんにとってやめてほしい行動でも、猫なりの理由や背景があるのだということを考慮しなければ、きちんと対処することはできないのです。
飼い主が愛猫にやめてくださいと願うこととその理由

1.飼い主さんの邪魔をする
飼い主さんが自宅でパソコン作業を行ったり、本や雑誌などを読んだりしていると、ディスプレイの前やキーボードの上や読んでいる本・雑誌などの上に座り込み、邪魔をしてくることがあります。
これは、自分以外に向いている飼い主さんの注意を自分に引き付け、構ってもらいたいという気持ちから引き出された行動です。「邪魔だからどいて!」などと怒鳴ったり抱き上げて別の場所に移動させると、「構ってもらえた!」と思わせてしまい、同じことを繰り返すようになるため、注意が必要です。
2.夜中に突然走り回る
明け方の4〜5時頃になると、突然狂ったように激しく室内を走り、勢い余って寝ている飼い主さんのお腹の上に飛び乗ったりと、猫が大騒ぎを始めることがあります。俗に「猫の運動会」と呼ばれている行動です。
猫は名ハンターとしての身体機能や狩猟本能を脈々と受け継いでいるため、主な獲物となるネズミなどの小動物が活発に活動を始める夕方や明け方などの薄暗い時間帯になると、狩猟本能が刺激されます。そこに日頃の運動不足が重なると、ストレス発散のために猫の運動会が始まるのだと考えられています。
3.トイレ以外の場所で排泄することがある
猫は、時々トイレ以外の場所で排泄することがあります。背景に消化器系や泌尿器系の疾患が潜んでいる場合もありますが、そうではない場合、猫は飼い主さんへの嫌がらせで粗相をしているわけではありません。
とてもきれい好きな動物なので、汚れたトイレを使いたがらない傾向が強いのです。長時間留守番をさせる場合や多頭飼育の場合は、注意が必要です。
4.休日も朝早くから起こされる
平日はいつも決まった時間に起床して、愛猫に朝ごはんを食べさせてから出勤する飼い主さんも、休日はいつもより朝寝坊をしたくなるものです。しかし、猫には平日も休日もありません。
朝いつもの時間になると、曜日に関係なく朝ごはんをもらおうと、あの手この手で飼い主さんを起こそうとします。
5.壁や家具で爪とぎをする
賃貸物件はもちろん、持ち家に住んでいる飼い主さんにとっても、最もやめてほしいと願う猫の行動が、壁や家具での爪とぎではないでしょうか。猫は頻繁に爪を研ぐため、爪が引っかかるような素材の家具や壁紙がボロボロにされてしまいます。
古くなった爪をはがし、下の層に控えている先端が鋭く尖った新しい爪を出すための行為が爪とぎです。そして爪とぎには、肉球の臭腺からの分泌物をこすりつけてマーキングを行ったり、ストレスを発散させたりといった目的もある、猫には必要不可欠な行動なので、やめさせることはできません。
やめさせたいことを上手にやめさせるためのコツ

飼い主さんの邪魔をする猫への対処法
飼い主さんの注意を引きつけて構ってもらいたいための行動なので、邪魔をしても構ってもらえないということを理解させることが大切です。
邪魔をしても無駄だということをわからせるためには、邪魔をされても「無視」することです。その代わり飼い主さんの用事が終わったら、声をかけたり一緒に遊んだりして、たっぷり構ってあげましょう。
猫の運動会の予防策
猫には、適切な運動が必要です。しかし完全室内飼育の飼い猫は、どうしても運動不足になりがちです。そのため、毎日寝る前に飼い主さんがおもちゃを使って一緒に遊び、猫を疲れさせてから就寝させましょう。たっぷり運動してから眠りについた猫は、明け方になっても静かに過ごしてくれることでしょう。
トイレ以外の場所への排泄の予防策
必要十分な数のトイレを設置し、こまめに掃除をすることで、猫が常に気持ちよくトイレを使えるようにしましょう。猫のトイレは、最低でも猫の頭数+1個は必要です。
休日の朝寝坊対策
猫がどんなに起こしても頑として起きずにいると、猫は起こすことを諦めるかもしれません。しかし、休日でも猫にいつも通りに朝ごはんを食べさせるための方法を検討することが、最も平和的な解決策でしょう。下記の方法などを検討してみてください。
- 一旦起きて給餌し、その後二度寝をする
- 自動給餌器を導入する
壁や家具での爪とぎ対策
まず、傷をつけられたくない家具は、猫の行動圏内から撤去しましょう。そしてよく爪とぎを行う場所を把握し、爪とぎ防止用シートなどで対策をし、そのすぐ近くに猫用の爪とぎ器を設置します。愛猫に爪とぎ器で爪をとぐように誘導し、爪とぎ器を使ったらすぐにほめておやつをあげ、「爪とぎ器で爪をとぐといいことがある」と学習させます。
まとめ

飼い主さんにとっては「困った」行動でも、猫にはその行動を行う正当な理由があります。そのため、猫が困った行動をした時に「こら!」と怒鳴っても、驚いて一瞬その行動を止めることはあっても、根本的にやめさせることはできません。
猫の行動の理由や目的が理解できれば、その行動を引き起こす要因を無くしたり、代替行動に切り替えさせることができます。獣医行動療法に詳しい獣医師のいる動物病院を見つけて、専門家の力も借りながら、上手に猫との暮らしを楽しめるようになりましょう。