息切れを繰り返す愛猫

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もうすぐ16歳になる猫Romeoは最近、かなり意外な「処方箋」を受け取りました。
とびきり元気で活動的だったRomeoが、2025年から動いたあとに息切れを繰り返すようになり、飼い主さんはずいぶん心配しました。そこで動物病院でスキャンなどの専門的検査を受けたところ、「肺線維症」と「肺高血圧症」にかかっていると診断されたのです。肺動脈の血圧が高くなることで、Romeoの心臓には相当の負担がかかっていたのでした。
獣医がくれたのは、驚くべき処方箋でした。通常は人間の「勃起不全」に使われる薬(商品名バイアグラ)だったのです。(※本記事で紹介する薬は獣医師の管理下で処方されたものであり、自己判断での使用は絶対に避けてください。)
人間用に開発された薬

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この薬の成分であるシルデナフィルクエン酸塩は、1989年に英国ケント州サンドイッチにあるファイザー社の研究所で初めて合成されました。狭心症と高血圧の治療薬を開発していた化学者が開発したものです。
10年後、この小さな青い錠剤は、「勃起不全の経口治療薬」として初めて承認され、米英の店頭に並びました。するとたちまち史上最も早いスピードで売れるようになり、年間売上高は2008年に20億ドル近く(現在の為替レートで3兆円超)に達しました。
でもこの薬を話題にしたとき、人々からは現在でも、くすくす笑ったり互いにつつき合ったり、皮肉を並べ立てたりする反応が返ってくるようです。
しかしRomeoにとって、この薬はたいへん効果がありました。
他の薬剤との併用には注意が必要

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動物病院でのこの薬の使用は、実は近年一般的になっています。
Romeoが服用したジェネリック製品のシルデナフィルクエン酸塩(ビーフ風味)は、血管を弛緩させ、酸素供給を改善するのに役立ちました。
米国ミズーリ大学の「犬猫の呼吸器・消化器クリニック」専門医であるReinero博士は「この薬を猫の肺高血圧症に使用したデータはごくわずかです。というのも、他の治療法が少ないときだけ使用されるからです。しかしシルデナフィルクエン酸塩を適切に使用すれば、猫の生活の質を向上させることができます」と話しています。
この薬は嘔吐などの副作用を引き起こすことがあり、ほかの薬剤に対して相互作用が起きる可能性があります。このため血圧を下げる他の薬剤と併用することはできません。
それでもRomeoにとっては、薬の名前やその歴史、そして人々の反応はまったく関係ありません。大好きな飼い主さんと暮らしながら、元気に16歳の誕生日を迎えることができるのですから。