文化を象徴する「ボデガ猫」

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茶白猫のSimbaは、ニューヨークに点在する「ボデガ」に住む数多くの猫の1匹です。
「ボデガ」とは、コンビニエンス・ストアとデリを兼ねた小さな店で、街角に多数立地しており、人々の生活に欠かせない存在になっています。こうしたボデガで、ネズミ捕り担当の「従業員」として猫を飼う店主が多く、お気に入りの猫と触れ合うためにボデガに買い物に行く猫好きニューヨーカーも多いのです。
ニューヨーク市内の約1万軒のボデガのうち、約3分の1の店舗に猫が住み着いているとみられています。
「Simbaはとても大切な存在です。ネズミが店に近寄らないようにしてくれています。よくお客さんから『猫の名前は何なの?』と尋ねられます。初めてSimbaを見た女の子たちがこの猫のファンになって、今では毎日来てくれるほど人気者です」というのは、マンハッタンにあるボデガ店のAustin Morenoさんです。
ニューヨークの文化を象徴する「ボデガ猫」ですが、実は食料品店で猫を飼うのは違法です。現在の規定では、200ドルから350ドル(約3万円から5万4千円)の罰金が科せられることになっています。これに対して、猫の法的権利を認めるよう求める動きが出ています。
合法化に向け署名活動

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「Bodega Cats of New York」を創設したDan Rimadaさんは、ソーシャルメディアにボデガ猫の写真を投稿してきました。2025年には「ボデガ猫の合法化を求める嘆願書」をまとめ、約1万4000人の署名を集めたのです。
「ボデガ猫はニューヨーク市に深く根付いており、残していくべき慣習です」とDanさん。
嘆願書を受け、ニューヨーク市議会のKeith Powers議員は「ボデガの猫の飼い主を罰則から免除する法案」を提案しました。この法案では、猫たちに無料でワクチン接種と避妊・去勢手術が提供されることとなっています。
しかし、動物保護施設や動物愛護団体は「これでは不十分」と指摘しているのです。Simbaのように店の隅で自由に昼寝をしたり餌を食べることができる場合はよいのですが、ボデガ猫の多くは地下室に閉じ込められ、餌や適切なケアが与えられず、高齢になったり病気になると捨てられるケースがあるからです。
猫たちの幸せのために

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ニューヨークで猫の保護活動をしているBecky Wisdomさんは、「罰金が撤廃されれば、ボデガ猫の世話をしなければならないという意識が薄れ、店主が手をかけずに放置してしまう恐れがあります。また猫の避妊手術代の補助は、本来は低所得世帯を対象に行うべきで、ボデガの事業主に公的資金で補助するのは見当違いです」と話しています。
野良猫の数が約50万匹いると推定されるニューヨークでは、猫の去勢・避妊手術は差し迫った課題なのです。
動物愛護団体「Voters for Animal Rights」のAllie Taylor代表は、次のように話しています。
「市がどのような決定を下すかに関わらず、規則制定の権限はニューヨーク州にあります。むしろ現在州議会に提案されている法案のほうが、効果的だと思っています。これは獣医による診察や避妊・去勢手術を義務化し、猫に十分な餌と水と安全な寝床を提供することを条件に、ボデガで猫を飼うことができるというものです」
「ボデガ猫にとどまらず、ニューヨーク州における動物保護の抜本的な改革が必要です。市は年間数千万ドルを支出して、避妊手術の無料化や低価格化を進めるとともに、獣医療が充実していくよう投資を増やす必要があります」とAllieさんはいいます。
ニューヨーク名物の「ボデガ猫」。今後の成り行きを、しっかり見守りたいですね。
出典:
・New York seeks rights for beloved but illegal 'bodega cats'
・NYの小型食品店で “猫の従業員” が合法化へ「この街の象徴」