1.トイレ環境と清潔

トイレは排泄をする場所ですが、猫にとっては「安全であるべき重要な空間」です。理由は、猫が野生時代の頃にさかのぼります。排泄中は無防備な状態になるので、ニオイが強く残る場所や、落ち着かない環境は、外敵に見つかるリスクが高いと判断されてしまうからです。
「猫はキレイ好き」と言われることがありますが、ただそれだけではなく、本能レベルで「落ち着かない」場所では、安心して排泄をすることができません。
また、人の出入りが多い場所や音が響きやすい場所にトイレがあるのもNG。本来のトイレを避け、別の場所で粗相をしてしまうこともあります。
猫にとってトイレ環境の条件は、こだわりというより生命を維持するための貴重な判断。イエネコにもその本能が組み込まれているので、限度を超えれば粗相をしてしまうのはしかたがないこと。妥協するわけにはいかないのです。
2.寝る場所の快適さと選択権

野生の中で生活していた時代の猫は、外敵の存在を警戒しながら眠らなければなりませんでした。眠っている間は無防備になるため、音や逃げ道の有無、ニオイの異変など、安心できる条件が整った場所を、猫は自分で選びます。したがって、猫にとっての寝る場所とは本来、決められるものではなく自分で選ぶものなのです。
猫は寝る場所を選ぶ際、温度・湿度・光の入り方・風通し・周囲の音、さらには残っているニオイまで、細かくチェックしています。室温が少し上がれば涼しい床へ、日差しが入れば暖かい場所へと、猫は自分にとって最も快適な環境を求めて移動するのです。
だからこそ、猫は自分が寝る場所を自分で選ぶことを重要だと感じています。ストレスを感じさせないように、自分で決めさせてあげましょう。
3.ニオイ環境

猫は視覚よりも嗅覚を頼りに生活しています。したがって、猫にとってニオイは「安心できる場所や存在を把握するための地図」です。猫は、ニオイが急に変わったり、いつものニオイが失われたりすると、強い不安やストレスを感じてしまいます。
たとえば、帰宅後の飼い主さんや入浴後に体をこすりつけてくるのは、普段の飼い主さんのニオイと異なる香りがするから。たとえ人間にとっては「よい香り」でも、猫にとっては「嫌なニオイ」「不慣れなニオイ」なので、落ち着かない場合もあります。
猫は変化を苦手とする動物ですが、飼い主さんや部屋のニオイが変化するのも得意ではありません。急に洗剤や柔軟剤を変えた日は、不安な気持ちで過ごす猫もいるかもしれません。
自分の体や身の回りのものを含め、できるだけお部屋の中でニオイは一定になるようにし、「ここは安全」「この人は家族」と落ち着けるような環境をつくってあげましょう。
4.高い場所へのこだわり

冷蔵庫やカーテンレールの上に乗る愛猫に「乗らないで欲しい」と感じたことはありますか?飼い主さんにとって喜ばしくない行動でも、猫は行動範囲を制限されると、不安やストレスが高まりやすくなります。
しかも、猫にとって高い場所は「逃げ場」であり「安心できる基地」のようなもの。周囲を見下ろせる位置にいることで、危険がないかを確認し、安心して過ごすことができるのです。
これも野生時代の猫の本能にさかのぼります。外で暮らしていた頃の猫にとって高所は、外敵から身を守るための重要な場所でした。その名残から、現代の室内飼いの猫でも「上から見渡せる場所」があることで、落ち着いたり、同居猫と距離を調節したりできるのです。
「危ないから」や「ほこりで汚いから」と、完全に登れない環境にするのではなく、掃除やメンテナンスで、安全に上れる高所を用意することが、猫の安心感を守るポイントといえるでしょう。
まとめ

猫が妥協できない「こだわり」は、かつて野生に暮らしていた頃の本能に由来することがわかりました。
トイレの清潔さや寝る場所など、どれも猫にとっては、生命維持に関わる大切なことです。猫のこだわりを理解し、尊重することは、甘やかすことではありません。人間の都合だけで制限したり矯正しようとせず、猫の目線で環境を整えることが、猫との信頼関係を深める第一歩といえるでしょう。