1.栄養不足となる可能性

そもそも猫と犬は別の動物。雑食性の犬とは違い、猫は「完全肉食動物」であり、犬とは根本的に栄養の必要量が違います。
特に重要なのが、タウリン。タウリンは猫にとって必要不可欠な必須アミノ酸。心臓や網膜の正常な働きに欠かせず、不足すると失明や心筋症などを招く危険があります。タウリンが長期的に不足すると、命に関わる心不全を起こすこともあります。
犬は体内である程度タウリンを合成できますが、猫は十分に作れないため、食事から摂取しなければなりません。
ドッグフードは犬の体や栄養に合わせて配合されているため、猫にとって必要な栄養が不足しがちです。毎日の食事をドッグフードにしてしまうと、猫の体は深刻な栄養不足が起きてしまいます。
2.原材料による中毒のリスクがある

ドッグフードには、犬にとっては無害でも猫にとっては有害になり得る原材料が含まれていることがあります。
たとえば、犬用ウェットタイプのフードにはしっとり感を保つためにプロピレングリコールという添加物が使われることがあります。ただ、猫が口にすると赤血球に異常が起きて貧血を招く危険があります。
実際、プロピレングリコールはキャットフードへの使用が法律(ペットフード安全法)で禁止されており、誤って混ざった製品が回収される事例も国内外で報告されています。こうした理由があるため、ドッグフードは猫に与えるべきではありません。
人間や犬にとっては安全な食材でも、猫にとっては毒になりえます。
3.消化不良を引き起こす心配もある

犬は雑食に近く、穀物や野菜など植物性の原料もある程度消化できます。しかし、猫は肉や魚など動物性タンパク質の消化に特化しているため、繊維質を多く含む野菜などの食べ物は消化しにくい体の仕組みになっています。
ドッグフードは犬に合わせた原材料が多く使われており、猫にとっては負担になりやすいです。結果的に、下痢や嘔吐などを繰り返す恐れがあります。さらに消化不良が慢性化すると、体重の減少や毛並みの悪化といった不調も目立つ可能性もあります。
まとめ

猫と犬は同じ人間の身近な存在ですが、体の仕組みや必要な栄養は大きく異なります。ドッグフードは犬のために設計された食事であり、猫が必要とする栄養を満たすことはできません。また、それだけでなく、猫にとって有害な成分を含む危険もあります。
大切な猫の健康を守るためには、必ず猫専用のキャットフードを与え、ライフステージや体調に合わせた食事管理を行うことが欠かせません。飼い主のちょっとした配慮が、猫の一生の健康を支えます。